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「るるぶ」Web群を、「ユーザーにもっと密接に寄り添う」ものに再構築。JTBパブリッシングが進めるメディアとECのシームレスな連携

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公開日:
▼導入システム・サービス
モール構築

JTBグループ本社の出版部門が独立する形で2004年に設立された株式会社JTBパブリッシングは、旅行情報分野をリードする出版物を発行しており、旅行ガイドブックシリーズの「るるぶ」は特に広く知られている。主力商品はこれまで図書中心だったが、旅行情報をベースに、メディア展開やECサイト、法人様向けのソリューションビジネスなど、多角的に事業を推進。Webにおける取り組みはその一つに位置づけられ、同社は2018年10月、レストラン予約とチケット販売を一つにまとめたモール型ECサイト「るるぶモール」をオープンした。

今回は、「るるぶモール」や同社のWebへの取り組みについて、竹内寛文さん、芝田直史さん、伊藤由貴さんに話を聞いた。

JTBパブリッシング 基本情報

<社 名>

株式会社JTBパブリッシング

<設立年月日>

2004年10月1日

<事業内容>

印刷出版物の発行・販売、自社媒体への広告掲載営業、トータルソリューション(カスタム出版・デジタルコンテンツ販売・Webサービス・会員サービス等)

<従業員数>

281名(2018年3月現在)

<資本金>

10億円

<所在地>

本社

〒162-8446

東京都新宿区払方町25-5


Webをゼロベースで見直す事業を立ち上げ、メディアとモールを構築

Webをゼロベースで見直す事業を立ち上げ、メディアとモールを構築

――初めにJTBパブリッシング様の事業について教えてください。やはり旅行ガイドの「るるぶ」が非常に広く認知されていますよね。

竹内:「るるぶ」は、お陰様で「発行点数世界最多の旅行ガイドシリーズ」としてギネス認定もされました。当社は、「るるぶ」をはじめとした旅行ガイドの出版事業を基点に事業を展開しています。


芝田:出版事業をもつ強みを活かしながらも、最近は「旅行を中心とした情報でサービスを行っていく会社」と言っています。紙媒体にとらわれず、持っている情報を価値あるものとして提供していく。そこで勝負している会社ですね。

――Webにはどのように取り組まれてきましたか? 今回新たに「るるぶモール」がオープンされましたね。

芝田:2000年に「るるぶ.com」というサイトをオープンしました。Webサイトによる情報発信が広がり出した頃で、自社や媒体の案内から始まったのですが、収益化・事業化を進めていく中で、Webサイトをゼロベースで見直そうと2017年度に「新るるぶWeb事業」プロジェクトを立ち上げました。Webでの収益は上がってきていましたが、さらに伸ばしていくために新たにWeb群を再構築しようというもので、モールもこの中に位置づけられます。


これまでの「るるぶ.com」は「旅行に関心のあるすべての方」向けでした。そこを、もっとセグメントを絞って「アナタ向けのものがちゃんとある」というものにし、また「旅行」にとらわれず、ちょっと外に出て何かするというのも含めて「お出かけ」で包含したいと考えています。


メディアで購入意欲が高まったユーザーに、モールで適切な商材を提示

メディアで購入意欲が高まったユーザーに、モールで適切な商材を提示

――そうすると、現在はそのプロジェクトが進行中ということになるでしょうか。

芝田:そうですね。2018年4月に、20〜30代の女性、いわゆるF1層向けの記事メディアとして「るるぶ&more.」をオープンし、時間をおいて2018年10月に「るるぶモール」をオープンした段階です。メディアをきちんと立ち上げ、ユーザーに寄り添ったメディアとして親和性を感じていただいてから、その記事を読んで購入意欲が高まったお客様に対して、適切に「これがいいよ」というものを差し出し、購入まで至れる道筋を用意しました。


今後、別のターゲット向けのメディアを増やし、さまざまなお客様にアプローチしたい。こうした形は、ターゲットを絞らない「るるぶ.com」ではサービスできていなかった部分をきちんとフォローすることになると考えています。

――現在、「るるぶモール」にはレストラン予約とレジャーチケット購入があります。この2つはもともと別々のサイトで展開されていて、モールにまとまったんですよね。

竹内:はい。すでに立ち上がっていたものを格納していますが、まず大事なのは「お客様に楽しんでいただく」ということです。ショッピングモールを訪れたお客様がモールの中を回遊しながら買い物を楽しむように「お出かけ」をキーにして、お客様がサイト内でいろいろな商材を次々体験して楽しめる“お出かけモール”を目指しています。
「るるぶ」という名称は「見る」「食べる」「遊ぶ」の語尾に由来するのですが、「見る」「遊ぶ」をレジャーチケットで、「食べる」をレストランで体験していただくことから始めようと考えました。


芝田:まとまったことで、ユーザーはシームレスに利用できます。今まではメディアやショップサイトなど別々に動いていましたが、新しいサイト群はアカウント連携されていますので、一つのサイトにログインすればほかもログイン状態で利用できます。当然、メディアでユーザーがログインして行った操作の内容がモールに引き継がれます。

異なるデータの整合性をとり、これまでのサービスと過不足なく整えることに腐心

異なるデータの整合性をとり、これまでのサービスと過不足なく整えることに腐心

――「るるぶモール」ではecbeingをお使いいただきました。選んだ理由を教えてください。

芝田:コンペを実施して複数社から提案いただいた中で、ecbeingさんは基本となるパッケージソフトがあり、カスタマイズを加える形で我々の望むクオリティを追求できました。ソフトウェアを持つ強みが出たように思います。ゼロベースで作る会社さんも含めて検討したのですが、それだとその分費用に跳ね返ってしまい、そう要求度が高くないこともかなり頑張らないとできなかったりして。


竹内:スケジュールも大事でした。「るるぶモール」は、先行した「るるぶ&more.」の半年後にオープンしましたが、それを要件定義から約9カ月という短期間で整えられたところは、ecbeingさんにお願いして良かった点でした。

――モールの構築ではどのような点で苦労したり工夫したりしたか教えてください。

伊藤:先ほど話に出たように、別々のサービスで既に取り扱いのある商材カテゴリを「るるぶモール」として1つのサービスに落とし込む点では、「るるぶモール」としてのカスタマージャーニーやUI/UXを考えつつ、これまでお客様が利用されていたサービスと過不足なく整えることが重要でした。商材カテゴリ毎にデータ項目が異なるため、整合性の整理には複雑なところも多く、相談させて頂きながらなんとかまとまりました。
ほかには、ユーザーのログイン状態と選択されたお支払い方法との掛け合わせによって決済フローが変わるため、設計時にはかなりフォローして頂きました。


竹内:商材の在庫の持ち方などの設定が細かく、うまく移行できるか不安がありましたが、ecbeingさんに頑張っていただき、バックヤード側も引き継ぐことができました。


伊藤:デザイン面では、「るるぶモール」は「るるぶ&more,」や「るるぶKids」など、様々なメディアサイトからお客様が着地する受け皿としての役割があるので、どんな層のユーザーでも馴染みやすく違和感なく閲覧頂けるものにする必要がありました。幅広い層に受け入れられるデザインを検討するのは難しかったと思うのですが、最初からイメージに近しいテイストやクオリティのデザインを出していただけました。


さまざまなターゲットに向けてメディアを増やし、そこで起こる「デザイア」を叶える商材を揃えたい

さまざまなターゲットに向けてメディアを増やし、そこで起こる「デザイア」を叶える商材を揃えたい

――「るるぶモール」オープン後の変化についてお聞かせください。お客様の反響や運用の変化はいかがですか。

竹内:ご利用いただいたお客様からのご意見をもとに、より良いUI・UXへと改善をしてゆきたいと考えています。

運用面では、ECモールをオープンしたことで、お客様に対してこれまでの商材単体のECサイトとは異なる販促アプローチができるようになりました。本格的なCRMはこれからですが、例えばレストラン予約されたお客様に周辺施設のオトクなチケット購入をおすすめする、というようなクロスセル展開にも取り組んでゆきたいと考えています。

――今後について教えてください。

芝田:すでに話に出ましたが、メディアは、いろんなターゲット向けのものを増やしていきたいです。さっそく1月末にファミリー向けのメディアが立ち上がります(※)。

モール側でも、現在の2つから、「宿泊予約」など商材を増やしていきたいと考えています。旅行やお出かけに寄与するあらゆることを扱い、メディアをみたことによって起こるデザイアをちゃんと叶える形で、必要な商材を揃えていきたいですね。

――ありがとうございました。最後に、EC事業を成功させるためのポイントを一言お願いします。

竹内:出版社のとくに制作現場は「作ったら任務完了」という風土があると思います。しかしWebのサービスは、オープンしたら改善し続けなければなりません。その大変さと面白さを、今身をもって体験しています(笑)。


(※)「るるぶKids」。取材時点では公開前だったが、2019年1月30日にオープンした。


――


竹内 寛文(たけうち・ひろふみ)

株式会社JTBパブリッシング デジタルコミュニケーション事業部 ECサービスチーム マネージャー。「るるぶモール」運営責任者。


芝田 直史(しばた・なおふみ)

株式会社JTBパブリッシング 総務部 システム開発チーム マネージャー。「るるぶモール」開発責任者。


伊藤 由貴(いとう・ゆき)

株式会社JTBパブリッシング デジタルコミュニケーション事業部 デジタルマーケティングチーム。「るるぶモール」開発担当者。


・サイト:https://rurubu.jp/mall/




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