EDI(電子データ交換)とは?導入のメリットと注意点を解説

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EDI(電子データ交換)について、導入の目的やメリット、類似サービスを詳しく解説します。DX推進や業務効率化を目指す方必見!

EDI(Electronic Data Interchange)は、企業や行政機関間での注文書や請求書などの書類を電子化して交換する仕組みです。日本語では「電子データ交換」と訳され、取引の効率化やコスト削減が期待できます。

EDIを導入すると、以下のようなメリットがあります。

  • 1. 取引のスピードアップ:データの手動入力が不要になり、取引が迅速に行えます。
  • 2. コスト削減:紙の書類を使わないため、印刷や郵送のコストが削減されます。
  • 3. エラーの削減:手入力によるミスが減り、データの正確性が向上します。
  • 4. しかし、EDIを導入する際にはいくつかの注意点もあります。取引先も互換性のあるEDIシステムを導入している必要があるため、全ての取引先とスムーズに運用できるわけではありません。
本記事では、EDIのメリットとデメリットやWEB EDIとBtoB ECの違い、導入のポイントなどを電話やFAXなどのアナログ手法から脱却し、受発注業務をシステム化したいと考えている方に向けて、実際の事例を交えながら分かりやすく解説します。ビジネスの効率化を目指す方は、ぜひご一読ください。


\効率化だけじゃないEDIの代替製品!/

EDIでデータ交換が可能な文書と自動化される取引業務

EDI(電子データ交換)では、企業や行政機関間の取引業務において、以下のような文書をデータ化し、インターネットまたは専用回線(クローズドな企業間ネットワーク)を通じてやり取りします。

データ化される文書
● 契約書
● 受発注書
● 納品書
● 請求書



これらの文書を電子化することで、EDIは以下の取引業務を自動化することが可能です。


自動化される取引業務 ● 受発注
● 出荷
● 請求
● 支払

EDIのデータ変換機能

EDIには、データのフォーマットが異なる場合でも、問題なく利用できるようにするための変換機能が備わっています。具体的には、以下のようなデータを変換することができます。

変換できるデータ 概要
文字コード 企業ごとに異なるJISやUnicodeなどを自社の文字コードに変換
データコード 同一商品のコードが異なる場合に自社のデータコードに変換
レイアウト XML形式・CSV形式・固定長形式などのデータ形式を自社のシステムで扱えるレイアウトに変換

これにより、異なるシステム間でもデータの互換性を保ちつつ、スムーズな取引が可能になります。ビジネスの効率化を目指す企業にとって、EDIの導入は非常に有効な手段となるでしょう。

EDIの歴史と進化

EDI(電子データ交換)が普及する以前、法人や行政間の取引では見積書、発注書、出荷指示書、納品書、請求書、支払予定表、値札情報、仕入計上情報など、多くの紙の書類がFAXや郵送を通じてやり取りされていました。これらのアナログ手法は、膨大な手間とコストを生むだけでなく、保管の問題や紛失のリスクも抱えていました。

この課題を解決するために生まれたのがEDIです。特に大規模な取引を行う企業では、この問題を解消することで得られるメリットが大きく、主に大企業での採用が進みました。

EDIの進化の年代別概要

年代 概要
1970年代
(個別EDI)
大企業を中心に、個別EDIを用いて社外との取引をデジタル化する動きが広まる。
1980年代
(業界標準EDI)
業界標準EDIの登場により、通信手順やデータ構造の標準化が進み、専用回線を設けずに一元的なデジタル化が可能に。
1990年代
(WEB EDI)
一部の大企業がWebサーバ上にEDIシステムを構築し、取引相手がブラウザ上で閲覧・操作できるシステムを導入。

経済産業省『受発注のデジタル化に関する推進方策報告書』を基に作成

EDIの黎明期と標準化の動き

EDIの初期は、大手企業が中心となってシステムの推進を行いました。当時主流だったのは、取引内容や取引先の特性に合わせて自由に設計できる「個別EDI」でした。しかし、汎用性に乏しいため、広く普及するには至りませんでした。

この課題に対して、日本国内では標準的な規定を定める動きが始まりました。1982年には、日本チェーンストア協会と当時の通商産業省(現経済産業省)が制定したデータ交換方式「JCA手順」が誕生し、小売業界と卸業者やメーカーとのやり取りを標準化しました。

JCA手順とその限界

JCA手順は歴史が古く、これまでに最も多く利用されてきたEDIの標準手順です。しかし、通信速度の遅さや、漢字や画像が送れないなどの制約があり、現代のビジネス環境には適していませんでした。

Web EDIの登場と普及

1990年代には、JCA手順に代わりインターネット上にシステムを構築する「Web EDI」が導入され始めました。Web EDIは、取引先が互換性のあるEDIを導入していなくても、PCやスマートフォンから簡単にアクセスできます。高速な回線速度により、場所や時間にとらわれずスピーディーな取引が実現できるほか、通信費や運用・保守コストの削減、最新のセキュリティ対策により安全に利用できる点も大きなメリットです。

現在の動向

従来のEDIで利用されていたISDN回線が2024年1月から順次廃止されることに伴い、Web EDIの利用がさらに進んでいます。現代のビジネス環境に適応したEDIシステムとして、Web EDIはますます重要な役割を果たすでしょう。

EDIが求められる理由

EDI(電子データ交換)が求められる背景には、政府によるDX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進や働き方の変化など、さまざまな要因が影響しています。以下に、主な3つの理由を紹介します。

1.DXの推進

日本では、政府が産業界のDXを推進しています。経済産業省は、DXについて以下のように定義しています。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること

引用元:経済産業省ミラサポplus『「デジタル・トランスフォーメーション」DXとは何か? IT化とはどこが違うのか?』

コロナ禍における事業や業務推進のあり方、業界の再編などに対応するため、多くの企業でDXの視点による事業・業務改革が進められています。企業が中長期的に発展するためには、デジタル化の視点による業務改善が欠かせません。アナログな方法で受発注業務を行っている企業がEDIを導入・活用することで、電子データでのやり取りを実現し、DXの推進に大いに貢献すると期待されています。

2.テレワーク率の上昇

働き方の変化とともに、テレワーク率が上昇していることもEDIを後押しする要因の一つです。2020年度、新型コロナウイルスの感染拡大によりテレワーク率が急上昇しました。その後も高い数値を維持し、2022年度には27%、2023年度には26.1%となっています。

令和4年までの日本全国のテレワーク導入率のグラフ

画像引用元:国土交通省『令和4年度テレワーク人口実態調査−調査結果(概要)

テレワークで受発注業務を行うには、電子データでのやり取りが欠かせません。調査によれば、現在テレワークを行っている労働者の8割以上が今後もテレワークの継続を希望しており、テレワーク率は大きく下がることはないと予想されます。EDIの導入により、テレワークでも受発注業務が可能になれば、採用活動時に自社の強みとしてアピールできるでしょう。

3.産業構造の変化

コロナの感染拡大は、製造や輸送などの世界的なサプライチェーンに甚大な影響を与えただけでなく、企業の働き方や業務推進方法を抜本的に見直すきっかけとなりました。非接触による取引や手続きの際に必要な押印・印紙の省略・撤廃が増加傾向にあります。

2018年から2022年までのBtoB取引におけるEC化率についてのグラフ

参考:経済産業省 令和4年度 電子商取引に関する市場調査 報告書

実際に、ものづくり産業におけるEC化率は右肩上がりで徐々に伸びています。多様な取引に対応するためにも、EDIの導入が求められています。

以上の理由から、EDIは現代のビジネス環境において欠かせないツールとなっています。企業の効率化と競争力強化のため、今後ますます重要性が高まるでしょう。

EDIの導入メリット

EDIの導入では、様々なメリットが期待できます。ここでは、EDIの導入がおすすめな理由として挙げられるメリットを3つ紹介します。

1.業務の効率化|担当者の手間を省く
2.人的ミスの低減|簡単なミスを発生させない
3.ランニングコストの削減|用紙代や印刷代を節約

1.業務の効率化|担当者の手間を省く

EDIを利用して、受発注業務で発生する業務の一部を自動化することで、業務の効率化を実現できます。

EDIの導入により、現在の受発注業務において紙の書類や帳票などで行っている取引が、電子データの取引になります。これによって、書類を準備したり、送付したりする手間を省くことが可能です。

また、業務の効率化による業務スピードの向上により、担当者の業務負担を軽減して、リードタイムの削減にも貢献します。

2.人的ミスの低減|簡単なミスを発生させない

紙の書類や帳票を使用しないということは、人的ミスの低減にもつながります。具体的には、取引データの入力ミスや記入漏れなど、手作業に起因する人的ミスです。

紙媒体を使った受発注業務では、工程数が多くなるほど業務に携わる担当者が増え、人的ミスが発生しやすい状況が生まれます。

一方、EDIであれば、電子データで取引を行うため、手書きや手入力といった作業が不要になります。これにより、人的ミスの低減を実現し、スムーズな業務の遂行が可能になります。

3.ランニングコストの削減|用紙代や印刷代を節約

EDIの導入では、受発注業務で発生するランニングコスト削減も実現できます。

紙の書類や注文書を使ったアナログな受発注業務では、用紙代や印刷代、郵送費、紙の帳票の保管など、何かとランニングコストがかかります。

EDIの導入によってペーパーレスが促進されれば、受発注業務で必要となるこれらのランニングコストを大幅に削減することが可能です。

EDIからの移行先として注目が集まるBtoB EC

2024年のISDN回線の廃止にともない、従来のEDIから代替サービスへの移行が進むなか、Web EDIと同様に注目されているサービスがBtoB ECです。

BtoB ECは、企業や行政間における取引の効率化のみが可能なEDIとは異なり、新規顧客の獲得や売上アップなどにも貢献できる機能を豊富に搭載したシステムです。取引方法は一般消費者に向けたBtoC ECサイト同様、商品を1点ずつ閲覧しながらカートに投入して決済を進めていく方法が基本となります。

EDIと比較して出来ることが増え、メリットが多数あるBtoB ECは、従来のEDIからの移行先として選ばれることが増えています。

ただし、EDIでは型番や注文個数を記載し、それを送るだけで発注が出来ていた企業からすれば機能が増えたことでかえって使いづらいと感じるかもしれません。特に、注文品数が多かったり、注文する商品が常に固定されていたりする場合は、BtoB EC側にEDIに準じた取引を可能とする機能がなければEDIの方が使いやすいと感じることが多いと考えられます。

EDIと同じ利用方法も可能なBtoB ECのご紹介

BtoB ECプラットフォームecebing BtoBのEDI形式注文画面

BtoB ECプラットフォームecebing BtoB注文画面

ecbeing社が提供するBtoB EC構築プラットフォーム「ecbeing BtoB」は、新規顧客の獲得や売上アップなどが可能な機能を豊富に搭載したBtoB ECでありながら、支払い方法や配送などを含めて注文時に必要な項目の入力をWEB EDIのように1ページで完結できる「EDI注文入力」の機能も搭載しています。

EDIの利用に慣れている方にはEDIベースの発注方法を利用していただきながら、それ以外の方にはマーケティング施策を打ち売上アップや新規顧客の獲得を狙うといった、EDIとBtoB ECの良いところを取った運用も可能です。

その他にも、BtoB取引のなかで発生する業務を効率化できる機能や、課題を解決する機能、様々なマーケティング施策を支援する機能も標準で抱えているので、BtoB取引で発生しているお悩みの解決を一挙に狙えるシステムとなっています。

まとめ

EDIは、1970年代から現在まで50年ほど日本で展開されてきました。企業が導入することで、業務効率化や人的ミスの削減をはじめ様々なメリットがあるEDIの需要は、DXの推進や人々の働き方の多様化、産業構造の変化など、様々な理由から今後も伸び続けると考えられます。

しかし、2024年のISDN回線廃止にともない従来のEDIからの移行が余儀なくされています。
従来のEDIを強化したWeb EDIやEDIの機能に加え売上アップや新規顧客獲得などの豊富な機能を持つBtoB ECについて深く学び、自社でやりたいこと、そして取引先の利便性それぞれを実現できるWIN-WINなシステムを導入することを考え、移行を進めていくことをお勧めします。

この記事の執筆者
株式会社ecbeing
大川 智暉

BtoC向けECサイト構築プラットフォーム「ecbeing」やBtoB向けECサイト構築プラットフォーム「ecbeing BtoB」といった自社サービスを導入していただいた企業へのインタビューを実施する中で得た、ECサイトを構築・運用するうえで役に立つ情報をお役立ち情報として執筆、掲載をおこなう。





  

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