新規顧客の獲得と既存顧客のEC会員化でEC売上20倍に!
日阪製作所がおこなう会員獲得施策や営業の業務効率化の方法とは
日阪製作所がおこなう会員獲得施策や営業の業務効率化の方法とは
プレート式熱交換器事業とプロセスエンジニアリング事業、バルブ事業の3つを事業の柱とし、「今日を支える技術」を世界に届ける株式会社日阪製作所は、プレート式熱交換器及びそれに付随する部品等を取り扱う法人向けECサイトを運営しています。
今回は、プレート式熱交換器で国内トップシェアメーカーの日阪製作所が運営するBtoB ECサイト「まごころnet」について、2018年の新規構築時から現在に至るまでに直面した課題や乗り越えるためにおこなった取り組み、BtoB ECサイトを運営することによって得られた効果などについて木村 康治氏、三宅 規夫氏にお話を伺いました。
・営業の業務効率化
・EC サイトの売上20倍
・営業のルーチン業務の削減
プレート式熱交換器事業とプロセスエンジニアリング事業、バルブ事業の3つを事業の柱とし、「今⽇を⽀える技術」を世界に届ける株式会社⽇阪製作所は、プレート式熱交換器及びそれに付随する部品等を取り扱う法⼈向けECサイトを運営しています。
今回は、プレート式熱交換器で国内トップシェアメーカーの⽇阪製作所が運営するBtoB ECサイト「まごころnet」について、2018年の新規構築時から現在に⾄るまでに直⾯した課題や乗り越えるためにおこなった取り組み、BtoB ECサイトを運営することによって得られた効果などについて熱交換事業本部 デジタルマーケティング室 専⾨主任 ⽊村 康治⽒、熱交換事業本部 デジタルマーケティング室 室⻑ 三宅 規夫⽒にお話を伺いました。
株式会社⽇阪製作所 基本情報
<社名>
株式会社⽇阪製作所
<創業>
1942年
<資本金>
41億5千万円
<事業内容>
プレート式熱交換器事業、プロセスエンジニアリング事業、バルブ事業など
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新規顧客開拓やブランディング、業務効率化を狙ったサイト構築
BtoB ECサイトを構築・運営している⽬的について教えてください。
三宅⽒:⼀番の⽬的は、新規顧客の獲得のため我々が従来の営業活動では接点がなかった⼩⼝のお客様や、商社経由などで製品を購⼊されているお客様との接点をECサイトをきっかけに構築することです。
熱交換器を⻑期にわたって使い続けるためにはメンテナンスが重要ですが、商社経由で弊社の製品を購⼊された場合は、どこに納⼊されるかが分からずメンテナンスの案内ができないという課題がありました。ECサイトでメンテナンスのための部品を販売することでこの課題を解決したいと考えていました。
⽊村⽒:ECサイトを構築するまでは営業が電話やメールで⾒積発⾏から受注までを対応していましたが、このプロセスを⾃動化することで業務の効率化と属⼈化の解消を図るということも⽬的の⼀つでした。
また、だれでもアクセスできるECサイトで製品の販売や情報の発信をおこなうことによるブランドの浸透や、お客様からECサイトを通して情報を取り⼊れることで、今後の顧客満⾜度を向上させるということも⽬的でした。
複数のサービスの中からecbeingを選んで利⽤いただいている理由について教えてください
⽊村⽒:ecbeingを導⼊した理由は、イニシャルコスト、ランニングコストが他社と⽐較して安価であったというコスト⾯のメリットと、短納期で納品いただけるという納期⾯のメリット、さらには専任の担当がついてくれるというサポート⾯のメリットがあり、導⼊後も安⼼して運⽤をおこなえると判断できたからです。
導⼊後、毎期のようにカスタマイズをおこなっていますが、流⽯に実現が難しいのではないかと思った機能も過去の事例や経験から実装していただけることが多くあり、そういった対応⼒の⾼さから満⾜して今まで使い続けてきています。
2018年の構築から6年近く経っていますが、ecbeingの開発担当の⽅には今も⾊々と相談に乗っていただいており、とても助けられています。
お客様のEC利⽤率の増加のため営業にもメリットを⽤意
お客様に営業への発注からECサイトの利⽤に移⾏してもらうためおこなった機能⾯の取り組みについて教えてください。
⽊村⽒:ecbeingの機能を活⽤し、お客様ごとの購買実態に即した売り⽅を実現しました。
私がECサイトの担当となったのは2020年で、構築から約2年がたったころでしたが、その当時は毎⽉の新規会員数が1件あるかないか、受注数・売上⾼もわずかなものでした。当然会員数や受注数は当初の⽬標に遠く及んでおらず、社内からも厳しい⽬で⾒られていました。
この事態を改善すべく、なぜECサイトが利⽤されないのかを弊社の営業に相談したところ、今のECサイトでは営業が製品を販売する際と勝⼿が違い、お客様は利⽤することができないという意⾒をもらいました。
お客様ごとに製品を販売する際の掛率が異なるということはよくあることだと思いますが、弊社の場合、同じお客様に販売する製品の中でも掛率が異なることがあります。当初⼀定の掛率で販売してしまっていたことで営業から購⼊するときと⽐べ価格が前後し、ECサイトを利⽤するという選択をお客様がとることができない状況でした。
ECサイトを利⽤していただくためには、このような実態にそぐわない売り⽅を改善しなければならないということに気づき、ecbeingさんに協⼒いただきながらお客様ごとに詳細に価格設定をおこないました。
製品詳細
また、忘れてはいけないことは、営業にも得られるメリットがあるということを理解してもらうことです。
弊社のECサイトでは、お客様がECサイトを利⽤して製品を購⼊した場合も売上は担当営業に紐づけられるので、営業からすればECサイトにお客様を誘導することで売上を重ねつつ、⼤量の商品を購⼊いただける得意先への訪問や新規顧客の獲得のために活動できるようになるため、積極的にECサイトの利⽤をお客様に勧めてもらえるようになりました。
この他にも特定のお客様にしか表⽰されない特殊な製品の掲載などをおこなうことで、今では毎⽉多くのお客様に利⽤されるECサイトになっています。
EC会員限定の特典が⽤意されていますが、これらの特典を⽤意した意図を教えてください。
⽊村⽒:お客様にECサイトで購⼊していただくことで、受注にあたっての諸々の書類の処理や納期調整など弊社の営業の作業⼯数がかなり削減されます。しかし、お客様としてはECサイトを利⽤する理由がなければこれまで通り弊社の営業に製品を発注する形式から変わることはありません。
ECサイトから問題なく購⼊できる環境を機能的に整えることとあわせ、お客様が利⽤したくなるようなメリットとしてEC会員限定の特典をご⽤意しています。
EC会員限定特典
⽊村⽒:ECサイトから購⼊いただくことで当⽇発送や2%割引、CAD図⾯のダウンロード、オンラインサポートなど計6つの特典を利⽤可能になります。
これらの特典は⽣産性のないお問い合わせの削減につながるなど弊社にとってもメリットがあるものとなっています。
2%の割引も、⼀⾒売上が下がるデメリットのあるサービスに⾒えますが、ECサイトが利⽤されることで従来営業が対応しなければいけなかった注⽂書の処理や納期通りに製品を届けるための社内外の調整業務などを対応しなくてよくなり、⽬に⾒えないコストが下がります。これは⾦額に換算すると割り引く2%よりも多くなるため、結果、割り引いたとしても売上が下がることはありません。
■BtoBでも重要なOne to Oneマーケティング
新規会員獲得のためにおこなった取り組みについて教えてください。
⽊村⽒:先ほどお話にあがった会員限定の6つの特典以外にはリスティング広告やディスプレイ広告、ターゲティング広告もおこなっています。特にディスプレイ広告とターゲティング広告は集客のための⼯夫をしており、業界ごとに専⽤のバナーを作っています。また、広告をクリックした際の遷移先のLPも業界に合わせて複数⽤意しています。
その他としては、サイト上にWEB SIMULATORとREF SIMULATORというシミュレーターを2種類⽤し、お客様がどの熱交換器を購⼊すればよいか迷ったときに⽤途や温度などから簡単に製品にアクセスできる機能を⽤意することで、熱交換器に詳しくないお客様であってもサイトを利⽤しやすいようにしています。
REF SIMULATOR
海外輸出時に制限がかかる製品を販売していますが、どのように対応していますか?
三宅⽒:熱交換器のうち材質やサイズによっていくつかの製品は、兵器を製造する際に利⽤できる製品とみなされています。そのため、弊社の製品を購⼊し、⾃社製品に組み込むなどして海外に輸出する企業は、熱交換器が兵器製造に利⽤可能な製品に該当するか否かの書類を経済産業省に提出する必要があります。
書類の⼀部には弊社が⽤意するものもあるため、これまでは製品を輸出する段階になった際にお客様からお問い合わせが届き、書類が必要と⾔われればお渡しするという運⽤をおこなっていました。これではお客様に⼿間がかかってしまっていたため、Webからのお⾒積もり時に輸出する製品に熱交換器を利⽤するかを確認する仕組みを⽤意し、輸出するお客様にはあらかじめ書類をお送りするようにしました。
これまで接点を持つことができなかった新規層もECサイトが獲得
ECサイトによって得られているメリットについて教えてください。
⽊村⽒:ECサイトによって得られたメリットは新規会員の獲得と売上の向上、営業の業務効率化です。
私がEC担当になった当初、新規会員登録が⽉1名だったものが、改善を繰り返し現在では毎⽉40名程度の新規会員がうまれています。そのうち8割が弊社を知らなかったお客様です。これらのお客様は従来の営業活動では接点を持つことができなかった企業であり、ECサイトを運営していたからこそ獲得できたお客様だと思っています。
ECサイトの年間売上も伸び続け、いまでは当初の20倍にもなっています。この売上は、新規顧客の創出からくるもの以外に、既存顧客のEC顧客化によってもたらされたものでもあります。
既存顧客のEC顧客化は、従来営業が対応していた⽣産性のないルーチン業務をなくすことに繋がり、営業の業務効率化も実現しています。
今後の展望について教えてください。
⽊村⽒:定期的にサイトを訪れ、購⼊してもらえるサイクルの構築をおこなっていく予定です。現在ECサイトでは、製品のメンテナンスに必要な部品の販売もおこなっていますが、まだまだ販売数は伸びる余地があるとみています。熱交換器購⼊後のフォローを強化することで、このメンテナンス⽤品をECサイトから購⼊し続けてもらえるようにすることが今後の取り組むべき課題です。
また、製品の拡充も並⾏しておこなう予定です。熱交換器本体のうち、今はまだ⼩さなタイプのみをECサイトで扱っているので、営業が販売している⼤型の熱交換器を購⼊できるようにすることや、熱交換器に付随する部品を⼀気通貫すべてECサイトで購⼊できるようにすることにも取り組んでいきます。
EC サイトを検討されている⽅へ⼀⾔お願いします。
⽊村⽒:ecbeingさんとお付き合いをしていく中で⼀番感じていることは、⾼い対応⼒と提案⼒です。ECサイトを運⽤していく中で、事業を成⻑させようとすると必ず出てくるのが「もっとこういうことをしたい」という要望です。そこで出る要望に対して対応していただけるところや、もし対応が難しくても代案を必ず出していただけるところがecbeingさんの強みだと思っています。
――
株式会社⽇阪製作所
⽊村 康治⽒
株式会社⽇阪製作所
三宅 規夫⽒
⽇阪製作所様ECサイト「まごころnet」はこちら
●取材・文:大川 智暉