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「発注」と「注文」は、ビジネスや日常の中でよく使われる言葉ですが、その違いをご存じですか?正しい使い分けは、取引先との円滑なコミュニケーションやミスの防止に欠かせません。また、発注業務には発注書の作成や確認など、さまざまな手順がありますが、近年はWEB化による効率化・省力化も進んでいます。
本記事では、「発注」と「注文」の違いから、発注業務の基本的な流れ、発注書の役割、そして発注業務をWEB化することで得られるメリットまで、わかりやすく解説します。
法律上、「発注」と「注文」を区別する明確な定義はありません。実務では「発注」は主に事業者間(BtoB)の取引で使われ、「注文」はBtoB・BtoCを問わず広く使われます。どちらの言葉を使っても、契約の成立や効力そのものに違いはありません。
発注書そのものには一般的な発行義務はありません。ただし、取適法(旧・下請法)の対象となる取引では取引条件の明示が必要です。また、フリーランスへの業務委託では、フリーランス法に基づいて取引条件を明示する義務が生じる場合があります。
2026年1月1日の改正では、従業員基準の追加による適用対象の拡大、手形払いの禁止、一方的な代金決定の禁止などが行われました。また、メールや受発注システムなど電磁的方法で取引条件を明示する際、受注側の事前承諾が不要になりました。
問題ありません。取適法では電子メールやEDI、受発注システムなど電磁的方法による明示が認められています。ただし、電子データで受け取った発注書は電子帳簿保存法の対象となるため、原則として元の電子データを保存する必要があります。紙に印刷することはできますが、電子データを削除して紙だけを保存する運用は認められません。
「発注」と「注文」は、どちらも何かを頼むことを指しますが、実務では使う場面が分かれています。発注は事業者が他の事業者に依頼する場面で使われ、注文はBtoB・BtoCを問わず広く使われます。
もう一つ、2026年1月1日から下請法が改正され、略称「中小受託取引適正化法」、通称「取適法」となりました。取引条件を明示するルールも見直され、メールや受発注システムでの明示に、受注側の事前承諾が不要になりました。旧法のまま社内規程を運用している場合は確認が必要です。
この記事では、両者の違いと発注業務の流れ、書類、法制度、そしてWEB化した場合の効果と落とし穴を扱います。

どちらも日常的に使う言葉ですが、取引先とのやり取りでは使い分けに一定の決まりがあります。まず、それぞれが指す範囲を整理します。
発注とは、企業や組織が取引先やサプライヤーに対して、商品やサービスの提供を正式に依頼する行為を指します。BtoBの取引で使われることが多く、発注書や見積書といった書類を伴います。
たとえば、製造業の会社が部品メーカーに部品の納入を依頼する場合や、イベント会社が印刷業者にパンフレット作成を依頼する場合が該当します。
注文は、商品やサービスを頼むことを広く指す言葉です。飲食店で料理を頼む、ネットショップで買い物をする、といった消費者の場面で使われるほか、BtoBでも「注文書」「注文請書」のように普通に使われます。「発注」より適用範囲が広い言葉だと捉えると整理しやすくなります。
「発注」と「注文」を区別して定義した法律はありません。いずれも契約を申し込む行為を指す言葉で、どちらを使っても契約の成立や効力に差は生じません。違いはあくまで実務上の慣習です。
使い方の違いは次のとおりです。
| 発注 | 注文 | |
| 使われる場面 | 主に事業者間(BtoB)の取引 | BtoB・BtoCを問わず広く使われる |
| 使える立場 | 依頼する側のみ(受ける側は「受注」) | 依頼する側・受ける側の双方 |
| 書類の有無 | 発注書・見積書などを作成することが多い | 消費者取引では通常不要。BtoBでは注文書・注文請書を作成 |
| 法律上の定義 | 両者を区別して定義した法律はない | 両者を区別して定義した法律はない |
| 例文 | 「新製品を100台発注しました。」 「発注書を送付してください。」 |
「ランチセットを注文しました。」 「注文書をお送りします。」 |
発注の周辺には似た言葉がいくつかあり、社内文書で混ざりやすい部分です。
厳密な定義は企業によって異なりますが、「調達」>「購買」>「発注」という入れ子で捉えると整理しやすくなります。
発注業務は、見積を取ってから支払いまでの一連の流れで動きます。順に見ていきます。
基本は次の6ステップです。
どの工程に負荷が偏るかは企業によって異なりますが、手作業が残っている場合に手間とミスが出やすいのはB発注書の作成・送付とD検品です。FAXやExcelでの運用だと、型番の読み違いや数量の打ち間違いがそのまま誤納品になります。加えて、在庫や納期の問い合わせ対応に時間を取られているケースも多く、後述するWEB化はこうした工程の負荷を下げる施策です。
ただ、自社の受注業務に何時間かかっているかを把握していない企業は珍しくありません。アルパインマーケティング株式会社の場合、全国7拠点で受注を兼務する担当者11名が1人あたり1日約6時間を受注業務に充てており、全社で1日あたり66時間分の工数が発生していました。販売店からの注文をすべてFAXで受け、基幹システムへ転記して受注登録し、納期回答を再びFAXで返すという流れに加え、在庫や納期の電話問い合わせにも対応していたためです。
BtoB ECサイトを構築した後は、この業務にあたる人数が4名になり、1日あたり32時間程度(約5割減)まで削減しています。
\ 受注工数を1日66時間→32時間に削減した取り組みとは /
アルパインマーケティング様のインタビューを読む
発注書の記載内容は、申込みの内容や取引条件を示す重要な証拠になります。品目・数量・金額・納期・支払条件の記載漏れと、社内承認の抜けが事故につながりやすい箇所です。
2026年1月1日、下請法が改正され名称が変わりました
2025年5月に成立した改正法により、2026年1月1日から法律名が「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」に改められました。公正取引委員会が用いる略称は「中小受託取引適正化法」、通称は「取適法(とりてきほう)」です。あわせて「親事業者」は「委託事業者」、「下請事業者」は「中小受託事業者」に用語が改められています。
従来「3条書面」と呼ばれていたものは、現行法では取適法第4条に規定され、公正取引委員会は「4条明示」という略称を用いています。旧名称のままの資料や社内規程は、更新が必要です。
発注書そのものに一般的な発行義務はありませんが、取引条件の明示が法律で義務づけられる場合があります。関係するのは取適法(旧・下請法)とフリーランス法の2つで、両方が適用される取引もあります。まず取適法から見ていきます。
2026年1月1日施行の改正では、発注業務の実務に影響する変更が複数あります。主なものは以下のとおりです。
出典:公正取引委員会「中小受託取引適正化法(取適法)関係」/公正取引委員会「2026年1月施行!〜下請法は取適法へ〜 改正ポイント説明会」(PDF)
取適法の対象となる取引では、発注時に取引条件を書面または電磁的方法で明示する必要があります。旧下請法では「3条書面」と呼ばれていたもので、取適法では第4条に規定されているため「4条書面」と呼ばれることもありますが、公正取引委員会が用いる略称は「4条明示」です。
明示すべき事項は、取適法第4条と「4条明示規則」により、次の12項目とされています。
旧3条書面にあった「手形を交付する場合の手形の金額及び満期」は、手形払いが禁止されたため項目から外れています。一方で(12)の未定事項に関する明示は、旧下請法でも「特定事項」として同様の扱いがありました。
実務上の注意点として、発注書と別に4条明示を作る必要はありません。契約書や発注書が12項目をすべて満たしていれば、それをもって4条明示としたことになります。逆に、契約締結までに日数がかかる場合は、契約書とは別に発注後すぐに明示する必要があります。
また、4条明示をしなかった場合は50万円以下の罰金が定められており、法人だけでなく違反行為をした担当者個人も対象になります。
出典:公正取引委員会・中小企業庁「中小受託取引適正化法テキスト」(PDF)/製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律第四条の明示に関する規則(e-Gov法令検索)
4条明示は、書面の交付だけでなく電磁的方法でも行えます。認められているのは、受信者を特定して送信する方法(電子メール、EDI、SMS、SNSのメッセージ機能など)と、記録媒体の交付です。紙で出力されるFAXは書面の交付、ファイルに記録されるFAXは電磁的方法として扱われます。
旧下請法との違いで、受発注システムの導入に直接関わる点は次の3つです。
見落とされやすいのがフリーランス法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)です。2024年11月1日に施行され、従業員を使用しない個人や、代表者以外に役員のいない法人(=フリーランス)に業務委託をした場合、直ちに書面または電磁的方法で取引条件を明示する義務があります。口頭で伝えることは認められません。この明示を「3条通知」と呼びます。
取適法と異なり、フリーランス法には資本金や従業員数による発注側の規模要件がありません。相手がフリーランスであれば対象になるため、取適法の適用対象外の企業でも義務が生じます。
3条通知で明示すべき事項は次の8項目です。
取適法の4条明示との違いで注意したいのが(2)「業務委託をした日」の解釈です。取適法では発注日を指しますが、フリーランス法では業務委託をすることについて合意した日、つまり契約成立の日を指します。両法が適用される取引では、発注日と契約締結日を分けて記載する必要が生じる場合があります。
両法が適用される場合の実務対応について、公正取引委員会は同一の書面や電子メール等で、両法が定める記載事項を併せて一括で示すことが可能としています。ただしこの場合、いずれか一方の法律のみに基づく記載事項があるときは、その事項も記載する必要があります。受発注システムの発注書フォーマットを設計する際は、両法の明示事項を網羅した様式にしておくのが安全です。
出典:公正取引委員会「フリーランス・事業者間取引適正化等法 Q&A」(問33、問35〜37)
まず、4条明示そのものには取適法上の保存義務はありません。委託事業者が保存すべきものとして規定されているのは、給付の受領や代金の支払といった取引の履歴を記録した「7条記録」(旧・5条書類)で、こちらは2年間の保存義務があります。
一方で、発注書は帳簿書類にあたるため、取適法とは別に法人税法上の保存義務が生じます。期間は7年間で、起算日は発注日ではなく、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日です。ただし、青色申告書を提出した事業年度で欠損金が生じた場合、または青色申告書を提出しなかった事業年度で災害損失欠損金が生じた場合は10年間となります(欠損金の繰越控除が10年間適用されるため)。
会社法では会計帳簿および事業に関する重要な資料に10年の保存義務が定められていますが、発注書がこれに該当するかは見解が分かれます。該当しないとする解説もある一方、税法上の7年より長い会社法の期間に合わせて一律10年で運用するほうが管理上は安全という考え方もあります。社内規程を定める際は、税理士など専門家に確認してください。
印紙税については、通常の発注書に収入印紙は不要です。発注書は発注側から一方的に申込みの事実を伝える文書であり、契約の成立を証明するものではないため、原則として課税文書にあたりません。
ただし、記載内容によって契約書として扱われ、課税対象になるケースがあります。国税庁は、申込書・注文書等が一般的に契約書に該当するものとして、次の3つを例示しています。
取引基本契約を結んだうえで個別の発注書をやり取りする形は、BtoBでは一般的な運用です。この場合、発注書が課税文書に該当する可能性があります。なお、見積書等に基づく申込みであることが記載された発注書については、別途、請書などの契約の成立を証明する文書を作成することが記載されている場合には課税文書として取り扱わない、という扱いがあります。ただしこれはあくまで一定の場合の取扱いであり、双方の署名・押印があるなど別の類型で契約書とみなされる場合もあるため、個別の判断が必要です。
もう一点、WEB化を検討する際に押さえておきたいのが、印紙税は紙の課税文書を作成したときに課されるという点です。発注書をPDFなどの電子データで授受する場合は文書の作成にあたらないため、印紙税はかかりません。前述のとおり通常の発注書はそもそも非課税ですが、基本契約に基づく個別契約として課税文書に該当し得るケースでは、電子化によって印紙税が発生しなくなります。ただし紙の契約書を別途取り交わす場合は、そちらは課税対象になり得ます。
電子データでやり取りした発注書は電子帳簿保存法の「電子取引」にあたり、2024年1月から電子データでの保存が義務化されています。紙への印刷そのものが禁止されているわけではなく、印刷して社内で回覧・保管することは可能です。ただし紙だけを保存して元の電子データを削除する運用は認められません。電子データのまま、真実性と可視性の要件を満たして保管する必要があります。
なお、要件に従って保存できないことについて所轄税務署長が相当の理由があると認める場合は、税務調査時に@出力した書面の提示・提出と、A電子取引データのダウンロードの求め、その両方に応じられれば要件違反とならない猶予措置があります。ただし例外的な扱いなので、WEB化を検討するなら、システムが保存要件に対応しているかを早めに確認しておく箇所です。
出典:取適法第7条(7条記録)/国税庁「帳簿書類の保存」/会社法第432条第2項/電子帳簿保存法(国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」)/国税庁「No.7118 申込書、注文書、依頼書等と表示された文書の取扱い」

紙の発注書を郵送やFAXでやり取りし、届いた内容を手で入力する。この形が残っている現場では、担当者の時間の多くが転記と確認に消えています。WEBシステムに載せ替えると何が変わるのかを、効果の大きい順に挙げます。
■業務効率化・省力化
発注書の作成・送付・保管が一箇所にまとまるため、転記作業を大きく削減できます。FAX受注で起きる型番の読み違いや、Excelへの打ち間違いといった誤納品の入口を、運用の注意ではなく仕組みで減らせます。なお、受注データを基幹システムに手入力する運用が残れば転記はなくなりません。転記を不要にするには基幹システムとの連携まで組む必要があります。
■ペーパーレス化・コスト削減
印刷も郵送もなくなり、書庫のスペースも空きます。ただし電子データでのやり取りは電子帳簿保存法の対象になるので、システム側が保存要件に対応していることが前提です。
■リアルタイムな情報共有
受注側にとって効果が大きいのはここです。取引先が自分で状況を確認できるようになると、「あの発注どうなっていますか」という電話が減ります。在庫や納期の問い合わせ対応に時間を取られている現場では、削減幅がいちばん大きく出る部分です。
■トレーサビリティの向上
発注履歴が自動で残るため、過去の取引を遡って確認する作業が検索で済みます。
■内部統制・コンプライアンス強化
承認フローと権限をシステムで持てるので、監査で聞かれたときに答えられる状態になります。2026年1月の法改正で電磁的方法による明示に事前承諾が不要になったため、システム経由での発注書交付は以前より進めやすくなっています。
受注業務の負荷を実際に下げた企業の事例もまとめています。
\ 受注業務の負荷軽減に関する事例をご紹介 /
詳しくはこちら
WEB化がうまくいかないケースには、だいたい共通の原因があります。導入前に潰しておきたい論点から。
■現場の業務フローとの適合性
システムを現行フローに無理に合わせると、例外処理だらけになって誰も使わなくなります。現場に確認したうえで、業務フロー自体を変える判断も含めて検討したほうが結果的に早いです。
■情報セキュリティ対策
扱うのは取引先名と単価です。事故が起きたときの影響が大きい情報なので、アクセス制御とバックアップの体制は選定段階で確認しておく必要があります。
■法令・社内規程の遵守
電子帳簿保存法と中小受託取引適正化法(旧・下請法)の両方が関わります。2026年1月の改正で従業員数基準が追加され適用対象が広がったため、これまで対象外だった企業も自社が委託事業者にあたらないか確認しておくべきです。
■操作性・定着化への配慮
機能が多いほど良いわけではありません。画面が複雑だと現場が使わず、結局Excelに戻ります。
■取引先との連携
ここが見落とされやすい分かれ目です。WEB受発注では、自社の使いやすさ以上に「取引先が移行してくれるか」が効果を左右します。移行が一部にとどまればFAXとシステムの二重運用が続き、想定した削減効果が出ないおそれがあります。
とはいえ、短期で移行しきった例もあります。アルパインマーケティング株式会社は稼働から2ヶ月で受注のEC切り替え率99%に到達しました。同社が挙げた要因は次の3点です。
使える状態にしておくだけでは移行しません。期限を切り、進捗を見て、残った取引先を個別に叩く。この運用を導入計画と同時に決めておくかどうかで差が出ます。
\ 稼働2ヶ月で切り替え率99%を実現した進め方 /
全社連携による移行の舞台裏を読む
準備段階でやっておくと後が楽になることを挙げます。
「WEB発注システム」と呼ばれるものは、受発注をデジタル化するだけのものから、販促機能まで持つものまで幅があります。目的別に分けると3つです。
効率化だけで足りるのか、売上機会も取りにいくのか。ここを決めないまま比較を始めると、機能表の突き合わせで終わります。
ECサイトはもともと一般消費者向けが中心でしたが、法人間取引での活用も広がっています。ただ、BtoBの発注には取引先ごとの単価や承認フローといったBtoCにない要素があるため、BtoC向けのシステムをそのまま使うことは難しいのが実情です。
「ecbeing BtoB」は、そのBtoB特有の要件を標準で持つ受発注システムです。発注や履歴確認に加えて、見積の発行依頼、価格交渉、発注者ごとに異なる承認フローの設定に対応します。前述のアルパインマーケティング様の事例も、基幹システム(SAP)との連携を含めて構築したものです。
導入を検討している場合は、事例と機能の詳細をご覧ください。
ecbeing BtoBについて詳しくはこちら

BtoB ECで何が改善できるかは、こちらでも扱っています。
BtoB ECで実現できる業務改善について詳しくはこちら
「発注」と「注文」に法律上の違いはなく、使い分けは慣習の問題です。実務で問われるのは言葉選びより、発注業務そのものにどれだけ人手を取られているかでしょう。
2026年1月の法改正では、適用対象の拡大や手形払いの禁止といった規制強化と同時に、電磁的方法による明示の事前承諾要件が撤廃されました。WEB化は効率化の手段であるだけでなく、法対応をやりやすくする側面も持っています。
まずは自社の受注業務に何時間かかっているかを測るところから始めると、判断材料が揃います。
