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発注とは?意味や業務の流れ、発注書・WEB化のメリットまで徹底解説

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「発注」と「注文」は、ビジネスや日常の中でよく使われる言葉ですが、その違いをご存じですか?正しい使い分けは、取引先との円滑なコミュニケーションやミスの防止に欠かせません。また、発注業務には発注書の作成や確認など、さまざまな手順がありますが、近年はWEB化による効率化・省力化も進んでいます。
本記事では、「発注」と「注文」の違いから、発注業務の基本的な流れ、発注書の役割、そして発注業務をWEB化することで得られるメリットまで、わかりやすく解説します。

サクッと理解!本記事の要点まとめ

「発注」と「注文」の違いは何ですか?

法律上、「発注」と「注文」を区別する明確な定義はありません。実務では「発注」は主に事業者間(BtoB)の取引で使われ、「注文」はBtoB・BtoCを問わず広く使われます。どちらの言葉を使っても、契約の成立や効力そのものに違いはありません。

発注書の発行は法律で義務付けられていますか?

発注書そのものには一般的な発行義務はありません。ただし、取適法(旧・下請法)の対象となる取引では取引条件の明示が必要です。また、フリーランスへの業務委託では、フリーランス法に基づいて取引条件を明示する義務が生じる場合があります。

2026年の取適法改正で、発注業務は何が変わりましたか?

2026年1月1日の改正では、従業員基準の追加による適用対象の拡大、手形払いの禁止、一方的な代金決定の禁止などが行われました。また、メールや受発注システムなど電磁的方法で取引条件を明示する際、受注側の事前承諾が不要になりました。

発注書をメールやWEB受発注システムでやり取りしても問題ありませんか?

問題ありません。取適法では電子メールやEDI、受発注システムなど電磁的方法による明示が認められています。ただし、電子データで受け取った発注書は電子帳簿保存法の対象となるため、原則として元の電子データを保存する必要があります。紙に印刷することはできますが、電子データを削除して紙だけを保存する運用は認められません。

「発注」と「注文」は、どちらも何かを頼むことを指しますが、実務では使う場面が分かれています。発注は事業者が他の事業者に依頼する場面で使われ、注文はBtoB・BtoCを問わず広く使われます
もう一つ、2026年1月1日から下請法が改正され、略称「中小受託取引適正化法」、通称「取適法」となりました。取引条件を明示するルールも見直され、メールや受発注システムでの明示に、受注側の事前承諾が不要になりました。旧法のまま社内規程を運用している場合は確認が必要です。
この記事では、両者の違いと発注業務の流れ、書類、法制度、そしてWEB化した場合の効果と落とし穴を扱います。


発注とは?意味と注文との違い

どちらも日常的に使う言葉ですが、取引先とのやり取りでは使い分けに一定の決まりがあります。まず、それぞれが指す範囲を整理します。

発注の意味

発注とは、企業や組織が取引先やサプライヤーに対して、商品やサービスの提供を正式に依頼する行為を指します。BtoBの取引で使われることが多く、発注書や見積書といった書類を伴います。
たとえば、製造業の会社が部品メーカーに部品の納入を依頼する場合や、イベント会社が印刷業者にパンフレット作成を依頼する場合が該当します。

注文の意味

注文は、商品やサービスを頼むことを広く指す言葉です。飲食店で料理を頼む、ネットショップで買い物をする、といった消費者の場面で使われるほか、BtoBでも「注文書」「注文請書」のように普通に使われます。「発注」より適用範囲が広い言葉だと捉えると整理しやすくなります。

発注と注文の違い

「発注」と「注文」を区別して定義した法律はありません。いずれも契約を申し込む行為を指す言葉で、どちらを使っても契約の成立や効力に差は生じません。違いはあくまで実務上の慣習です。


  • 「発注」は主に事業者が他の事業者に依頼する際に使われます。一方「注文」はBtoB・BtoCを問わず使われ、BtoBでも「注文書」「注文請書」という書類名が一般的です。
  • 「注文」は「注文する」「注文を受ける」といったように、依頼する側・受ける側どちらにも使えますが、「発注」は依頼する側でのみ使われ、受ける側には「受注」という言葉が使われます。

使い方の違いは次のとおりです。

発注 注文
使われる場面 主に事業者間(BtoB)の取引 BtoB・BtoCを問わず広く使われる
使える立場 依頼する側のみ(受ける側は「受注」) 依頼する側・受ける側の双方
書類の有無 発注書・見積書などを作成することが多い 消費者取引では通常不要。BtoBでは注文書・注文請書を作成
法律上の定義 両者を区別して定義した法律はない 両者を区別して定義した法律はない
例文 「新製品を100台発注しました。」
「発注書を送付してください。」
「ランチセットを注文しました。」
「注文書をお送りします。」

「発注」と混同しやすい言葉(受注・購買・調達)

発注の周辺には似た言葉がいくつかあり、社内文書で混ざりやすい部分です。


  • 受注:発注の対義語。注文を受ける側の行為を指します。
  • 購買:主に生産活動に必要な原材料・部品を継続的に買い入れる業務を指します。発注はその一工程です。
  • 調達:購買より広い概念で、必要なモノ・サービスを確保する活動全般(仕入先の開拓・選定、契約、購買、外注管理など)を含みます。
  • 仕入:販売を目的として商品を買い入れることを指し、会計上の勘定科目としても使われます。

厳密な定義は企業によって異なりますが、「調達」>「購買」>「発注」という入れ子で捉えると整理しやすくなります。

発注業務の流れと必要書類

発注業務は、見積を取ってから支払いまでの一連の流れで動きます。順に見ていきます。

発注業務の基本的な流れ

基本は次の6ステップです。

  1. 見積依頼・取得
    必要な商品やサービスの内容・数量・納期などを明確にし、取引先に見積もりを依頼します。
  2. 見積内容の確認・合意
    取引条件(価格・納期・支払条件など)を確認し、内容に問題がなければ発注を決定します。社内の稟議・承認が必要な場合はこの段階で取得します。
  3. 発注書の作成・送付
    発注内容を明記した「発注書(注文書)」を作成し、取引先に送付します。発注書は正式な注文依頼の証拠となるため、記載内容に誤りがないよう注意が必要です。
  4. 注文請書(受注書)の受領
    取引先(受注側)は、発注書の内容を確認し、承諾したことを示す「注文請書」を発行します。なお民法では、申込みに対する承諾があった時点で契約が成立し、書面は必須ではありません。注文請書は承諾を証明する書類であり、その発行時点が必ずしも契約成立時点にあたるとは限りません。契約成立の時点は、基本契約の内容や承諾の方法によって変わります。
  5. 納品・検品
    取引先から商品やサービスが納品され、発注側は数量や品質を確認します。問題がなければ納品受領となります。
  6. 請求・支払い
    納品が完了したら、取引先から請求書が発行され、発注側は支払いを行います。

どの工程に負荷が偏るかは企業によって異なりますが、手作業が残っている場合に手間とミスが出やすいのはB発注書の作成・送付D検品です。FAXやExcelでの運用だと、型番の読み違いや数量の打ち間違いがそのまま誤納品になります。加えて、在庫や納期の問い合わせ対応に時間を取られているケースも多く、後述するWEB化はこうした工程の負荷を下げる施策です。


ただ、自社の受注業務に何時間かかっているかを把握していない企業は珍しくありません。アルパインマーケティング株式会社の場合、全国7拠点で受注を兼務する担当者11名が1人あたり1日約6時間を受注業務に充てており、全社で1日あたり66時間分の工数が発生していました。販売店からの注文をすべてFAXで受け、基幹システムへ転記して受注登録し、納期回答を再びFAXで返すという流れに加え、在庫や納期の電話問い合わせにも対応していたためです。
BtoB ECサイトを構築した後は、この業務にあたる人数が4名になり、1日あたり32時間程度(約5割減)まで削減しています。

出典:アルパインマーケティング様 導入インタビュー


発注業務で必要となる主な書類

  • 発注書(注文書)
    発注内容(品目、数量、金額、納期、支払条件など)を明記し、取引先に注文を正式に依頼する書類。
  • 注文請書(受注書)
    発注内容を受注側が承諾したことを示す書類。発注側への返送や押印が必要な場合もあります。
  • 見積書
    取引先から提出される、品目や価格、納期などを明記した書類。発注内容の確認や比較検討のために使われます。
  • 請求書
    納品後、取引先から発行される支払い請求用の書類。
  • 納品書
    商品やサービスの納品時に発行され、納品内容の確認・証明に使われます。

発注書作成時の注意点

発注書の記載内容は、申込みの内容や取引条件を示す重要な証拠になります。品目・数量・金額・納期・支払条件の記載漏れと、社内承認の抜けが事故につながりやすい箇所です。


  • ・商品名、数量、金額、納期、支払い条件などを正確に記載する
  • ・記入ミスや記載漏れがないか、発行前に必ず再確認する
  • ・社内の承認フローに従い、必要な押印や承認を得る
  • ・見積書の有効期限や価格・条件の変更がないか確認する
  • ・発注書や注文請書などの書類は、法律や社内規定に従って一定期間保管する

【2026年1月改正】発注書に関する法制度と保存義務

2026年1月1日、下請法が改正され名称が変わりました

2025年5月に成立した改正法により、2026年1月1日から法律名が「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」に改められました。公正取引委員会が用いる略称は「中小受託取引適正化法」、通称は「取適法(とりてきほう)」です。あわせて「親事業者」は「委託事業者」、「下請事業者」は「中小受託事業者」に用語が改められています。
従来「3条書面」と呼ばれていたものは、現行法では取適法第4条に規定され、公正取引委員会は「4条明示」という略称を用いています。旧名称のままの資料や社内規程は、更新が必要です。

下請法は「中小受託取引適正化法」へ

発注書そのものに一般的な発行義務はありませんが、取引条件の明示が法律で義務づけられる場合があります。関係するのは取適法(旧・下請法)フリーランス法の2つで、両方が適用される取引もあります。まず取適法から見ていきます。


2026年1月1日施行の改正では、発注業務の実務に影響する変更が複数あります。主なものは以下のとおりです。


  • 適用対象の拡大
    従来の資本金基準に加え、従業員基準が追加されました。区分は取引の内容によって分かれます。
    300人基準:製造委託、修理委託、特定運送委託、および情報成果物作成委託・役務提供委託のうちプログラムの作成、運送、物品の倉庫保管、情報処理に係るもの
    100人基準:上記以外の情報成果物作成委託・役務提供委託
    なお従業員基準は、資本金基準が適用されない場合に適用されます(両方の要件を満たす場合は資本金基準)。資本金が少額でも実質的な事業規模が大きい企業を捉えるための変更で、これまで対象外だった企業が新たに規制対象になり得ます。また、発荷主が運送事業者に運送を委託する取引(特定運送委託)が対象取引に追加されました。
  • 電磁的方法による交付が承諾不要に
    旧下請法施行令では、電子メールやシステムで3条書面を交付するには下請事業者の事前承諾が必要でした。取適法施行令にこの規定はなく、事前承諾なしで電磁的方法による明示ができます。受発注システム導入時の実務負担が減った部分です(詳細は後述)。
  • 手形払いの禁止
    代金の支払について手形を交付することが禁止され、支払遅延に該当する行為として明確に位置づけられました。電子記録債権やファクタリングも、支払期日までに代金の額に相当する金銭と引き換えることが困難なものは使用できません。
  • 一方的な代金決定の禁止
    中小受託事業者から価格協議の求めがあったにもかかわらず、協議に応じない、必要な説明を行わないなど、一方的に代金を決定する行為が禁止されました。

出典:公正取引委員会「中小受託取引適正化法(取適法)関係」公正取引委員会「2026年1月施行!〜下請法は取適法へ〜 改正ポイント説明会」(PDF)

発注時に明示すべき事項(4条明示・旧3条書面)

取適法の対象となる取引では、発注時に取引条件を書面または電磁的方法で明示する必要があります。旧下請法では「3条書面」と呼ばれていたもので、取適法では第4条に規定されているため「4条書面」と呼ばれることもありますが、公正取引委員会が用いる略称は「4条明示」です。


明示すべき事項は、取適法第4条と「4条明示規則」により、次の12項目とされています。


  1. (1) 委託事業者及び中小受託事業者の名称(事業者別に付された番号・記号等でも可)
  2. (2) 製造委託、修理委託、情報成果物作成委託、役務提供委託又は特定運送委託をした日
  3. (3) 中小受託事業者の給付の内容(役務提供委託・特定運送委託の場合は、提供される役務の内容)
  4. (4) 給付を受領する期日(役務提供委託・特定運送委託の場合は、役務の提供を受ける期日又は期間)
  5. (5) 給付を受領する場所(同、役務の提供を受ける場所)
  6. (6) 給付の内容について検査をする場合は、検査を完了する期日
  7. (7) 代金の額
  8. (8) 代金の支払期日
  9. (9) 一括決済方式で支払う場合は、金融機関名、貸付け又は支払を受けることができる額(割合でも可)及びその期間の始期、委託事業者が金融機関へ支払う期日
  10. (10) 電子記録債権で支払う場合は、電子記録債権の額(割合でも可)及び支払を受けることができる期間の始期、電子記録債権の満期日
  11. (11) 原材料等を有償支給する場合は、品名、数量、対価、引渡しの期日、決済期日、決済方法
  12. (12) (1)〜(11)のうち、内容が定められないことに正当な理由があり記載しない事項(未定事項)がある場合は、定められない理由と、定めることとなる予定期日

旧3条書面にあった「手形を交付する場合の手形の金額及び満期」は、手形払いが禁止されたため項目から外れています。一方で(12)の未定事項に関する明示は、旧下請法でも「特定事項」として同様の扱いがありました。


実務上の注意点として、発注書と別に4条明示を作る必要はありません。契約書や発注書が12項目をすべて満たしていれば、それをもって4条明示としたことになります。逆に、契約締結までに日数がかかる場合は、契約書とは別に発注後すぐに明示する必要があります。


また、4条明示をしなかった場合は50万円以下の罰金が定められており、法人だけでなく違反行為をした担当者個人も対象になります。


出典:公正取引委員会・中小企業庁「中小受託取引適正化法テキスト」(PDF)製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律第四条の明示に関する規則(e-Gov法令検索)

電子メールや受発注システムで明示する場合の要件

4条明示は、書面の交付だけでなく電磁的方法でも行えます。認められているのは、受信者を特定して送信する方法(電子メール、EDI、SMS、SNSのメッセージ機能など)と、記録媒体の交付です。紙で出力されるFAXは書面の交付、ファイルに記録されるFAXは電磁的方法として扱われます。


旧下請法との違いで、受発注システムの導入に直接関わる点は次の3つです。


  • 事前承諾が不要になった
    旧下請法施行令では、電磁的方法で3条書面を交付するには下請事業者の事前承諾が必要でした。取適法施行令にこの規定はなく、事前承諾なしで電磁的方法による明示ができます。ただし、中小受託事業者から書面の交付を求められた場合は、原則として交付しなければなりません(取適法第4条第2項)。
  • ファイル記録・書面出力の要件が撤廃された
    旧下請法では、受注側のファイルに記録され、かつ書面として出力できることが要件でした。取適法ではこの要件はなくなっています。
  • 代わりに「画面上での明確な表示」が要件になった
    明示事項が中小受託事業者の使用する端末の映像面に文字・番号・記号等で明確に表示されることが求められます。また電子メールの場合、送信しただけでは足りず、受注側が受信して内容を確認し得る状態になっている必要があります。

出典:公正取引委員会・中小企業庁「中小受託取引適正化法テキスト」(PDF)4条明示に関する規則(e-Gov法令検索)

フリーランスへの発注は「フリーランス法」の明示義務も

見落とされやすいのがフリーランス法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)です。2024年11月1日に施行され、従業員を使用しない個人や、代表者以外に役員のいない法人(=フリーランス)に業務委託をした場合、直ちに書面または電磁的方法で取引条件を明示する義務があります。口頭で伝えることは認められません。この明示を「3条通知」と呼びます。


取適法と異なり、フリーランス法には資本金や従業員数による発注側の規模要件がありません。相手がフリーランスであれば対象になるため、取適法の適用対象外の企業でも義務が生じます


3条通知で明示すべき事項は次の8項目です。


  1. (1) 業務委託事業者及び特定受託事業者の名称
  2. (2) 業務委託をした日
  3. (3) 給付・役務の内容
  4. (4) 給付・役務提供の期日
  5. (5) 給付・役務提供の場所
  6. (6) 報酬の額及び支払期日
  7. (7) (検査をする場合は)検査完了日
  8. (8) (現金以外の方法で支払う場合)支払方法に関すること

取適法の4条明示との違いで注意したいのが(2)「業務委託をした日」の解釈です。取適法では発注日を指しますが、フリーランス法では業務委託をすることについて合意した日、つまり契約成立の日を指します。両法が適用される取引では、発注日と契約締結日を分けて記載する必要が生じる場合があります。


両法が適用される場合の実務対応について、公正取引委員会は同一の書面や電子メール等で、両法が定める記載事項を併せて一括で示すことが可能としています。ただしこの場合、いずれか一方の法律のみに基づく記載事項があるときは、その事項も記載する必要があります。受発注システムの発注書フォーマットを設計する際は、両法の明示事項を網羅した様式にしておくのが安全です。


出典:公正取引委員会「フリーランス・事業者間取引適正化等法 Q&A」(問33、問35〜37)

発注書の保存義務と印紙税

まず、4条明示そのものには取適法上の保存義務はありません。委託事業者が保存すべきものとして規定されているのは、給付の受領や代金の支払といった取引の履歴を記録した「7条記録」(旧・5条書類)で、こちらは2年間の保存義務があります。


一方で、発注書は帳簿書類にあたるため、取適法とは別に法人税法上の保存義務が生じます。期間は7年間で、起算日は発注日ではなく、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日です。ただし、青色申告書を提出した事業年度で欠損金が生じた場合、または青色申告書を提出しなかった事業年度で災害損失欠損金が生じた場合は10年間となります(欠損金の繰越控除が10年間適用されるため)。


会社法では会計帳簿および事業に関する重要な資料に10年の保存義務が定められていますが、発注書がこれに該当するかは見解が分かれます。該当しないとする解説もある一方、税法上の7年より長い会社法の期間に合わせて一律10年で運用するほうが管理上は安全という考え方もあります。社内規程を定める際は、税理士など専門家に確認してください。


印紙税については、通常の発注書に収入印紙は不要です。発注書は発注側から一方的に申込みの事実を伝える文書であり、契約の成立を証明するものではないため、原則として課税文書にあたりません。


ただし、記載内容によって契約書として扱われ、課税対象になるケースがあります。国税庁は、申込書・注文書等が一般的に契約書に該当するものとして、次の3つを例示しています。


  • ・契約当事者双方の署名または押印があるもの
  • ・見積書その他、相手方が作成した文書に基づく申込みであることが記載されているもの(ただし、別途、請書などの契約の成立を証明する文書を作成することが記載されている場合は除く)
  • ・基本契約書などに基づき、発注書の交付によって自動的に個別契約が成立することとされているもの

取引基本契約を結んだうえで個別の発注書をやり取りする形は、BtoBでは一般的な運用です。この場合、発注書が課税文書に該当する可能性があります。なお、見積書等に基づく申込みであることが記載された発注書については、別途、請書などの契約の成立を証明する文書を作成することが記載されている場合には課税文書として取り扱わない、という扱いがあります。ただしこれはあくまで一定の場合の取扱いであり、双方の署名・押印があるなど別の類型で契約書とみなされる場合もあるため、個別の判断が必要です。


もう一点、WEB化を検討する際に押さえておきたいのが、印紙税は紙の課税文書を作成したときに課されるという点です。発注書をPDFなどの電子データで授受する場合は文書の作成にあたらないため、印紙税はかかりません。前述のとおり通常の発注書はそもそも非課税ですが、基本契約に基づく個別契約として課税文書に該当し得るケースでは、電子化によって印紙税が発生しなくなります。ただし紙の契約書を別途取り交わす場合は、そちらは課税対象になり得ます。


電子データでやり取りした発注書は電子帳簿保存法の「電子取引」にあたり、2024年1月から電子データでの保存が義務化されています。紙への印刷そのものが禁止されているわけではなく、印刷して社内で回覧・保管することは可能です。ただし紙だけを保存して元の電子データを削除する運用は認められません。電子データのまま、真実性と可視性の要件を満たして保管する必要があります。


なお、要件に従って保存できないことについて所轄税務署長が相当の理由があると認める場合は、税務調査時に@出力した書面の提示・提出と、A電子取引データのダウンロードの求め、その両方に応じられれば要件違反とならない猶予措置があります。ただし例外的な扱いなので、WEB化を検討するなら、システムが保存要件に対応しているかを早めに確認しておく箇所です。


出典:取適法第7条(7条記録)/国税庁「帳簿書類の保存」/会社法第432条第2項/電子帳簿保存法(国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」)/国税庁「No.7118 申込書、注文書、依頼書等と表示された文書の取扱い」

発注業務をWEB化するメリット

紙の発注書を郵送やFAXでやり取りし、届いた内容を手で入力する。この形が残っている現場では、担当者の時間の多くが転記と確認に消えています。WEBシステムに載せ替えると何が変わるのかを、効果の大きい順に挙げます。


■業務効率化・省力化
発注書の作成・送付・保管が一箇所にまとまるため、転記作業を大きく削減できます。FAX受注で起きる型番の読み違いや、Excelへの打ち間違いといった誤納品の入口を、運用の注意ではなく仕組みで減らせます。なお、受注データを基幹システムに手入力する運用が残れば転記はなくなりません。転記を不要にするには基幹システムとの連携まで組む必要があります。

■ペーパーレス化・コスト削減
印刷も郵送もなくなり、書庫のスペースも空きます。ただし電子データでのやり取りは電子帳簿保存法の対象になるので、システム側が保存要件に対応していることが前提です。

■リアルタイムな情報共有
受注側にとって効果が大きいのはここです。取引先が自分で状況を確認できるようになると、「あの発注どうなっていますか」という電話が減ります。在庫や納期の問い合わせ対応に時間を取られている現場では、削減幅がいちばん大きく出る部分です。

■トレーサビリティの向上
発注履歴が自動で残るため、過去の取引を遡って確認する作業が検索で済みます。

■内部統制・コンプライアンス強化
承認フローと権限をシステムで持てるので、監査で聞かれたときに答えられる状態になります。2026年1月の法改正で電磁的方法による明示に事前承諾が不要になったため、システム経由での発注書交付は以前より進めやすくなっています。

受注業務の負荷を実際に下げた企業の事例もまとめています。


発注業務WEB化の注意点と導入のポイント

WEB化がうまくいかないケースには、だいたい共通の原因があります。導入前に潰しておきたい論点から。

WEB化における主な注意点

■現場の業務フローとの適合性
システムを現行フローに無理に合わせると、例外処理だらけになって誰も使わなくなります。現場に確認したうえで、業務フロー自体を変える判断も含めて検討したほうが結果的に早いです。

■情報セキュリティ対策
扱うのは取引先名と単価です。事故が起きたときの影響が大きい情報なので、アクセス制御とバックアップの体制は選定段階で確認しておく必要があります。

■法令・社内規程の遵守
電子帳簿保存法と中小受託取引適正化法(旧・下請法)の両方が関わります。2026年1月の改正で従業員数基準が追加され適用対象が広がったため、これまで対象外だった企業も自社が委託事業者にあたらないか確認しておくべきです。

■操作性・定着化への配慮
機能が多いほど良いわけではありません。画面が複雑だと現場が使わず、結局Excelに戻ります。

■取引先との連携
ここが見落とされやすい分かれ目です。WEB受発注では、自社の使いやすさ以上に「取引先が移行してくれるか」が効果を左右します。移行が一部にとどまればFAXとシステムの二重運用が続き、想定した削減効果が出ないおそれがあります。

とはいえ、短期で移行しきった例もあります。アルパインマーケティング株式会社は稼働から2ヶ月で受注のEC切り替え率99%に到達しました。同社が挙げた要因は次の3点です。

  • FAXでの注文受付に猶予期間を設け、以降はEC一本化する方針を明確に打ち出した(期限を切ることで、取引先・社内双方にとって切り替えの目安が明確になる)
  • ・切り替え状況を定期的に確認し、営業担当を通じて未移行の取引先を個別にフォローした
  • ・経営層が施策を後押しし、全社一丸の取り組みとして推進した

出典:アルパインマーケティング様 導入インタビュー


使える状態にしておくだけでは移行しません。期限を切り、進捗を見て、残った取引先を個別に叩く。この運用を導入計画と同時に決めておくかどうかで差が出ます。


導入のポイント

準備段階でやっておくと後が楽になることを挙げます。


  • ・現状の受注業務に何時間かかっているかを先に測る(削減効果を後から説明できなくなる)
  • ・必要な機能と予算、運用担当を決めたうえで複数社を比較する
  • ・主要な取引先に事前にデモを見せ、要望を反映できる余地を残しておく
  • ・標準機能で足りる範囲とカスタマイズが必要な範囲を早い段階で切り分ける
  • ・取引先の移行率をKPIに置き、FAX受付をいつ止めるかを最初に決める

WEB受発注システムの種類と選び方

「WEB発注システム」と呼ばれるものは、受発注をデジタル化するだけのものから、販促機能まで持つものまで幅があります。目的別に分けると3つです。


  • 受発注特化型
    既存取引先との受発注をデジタル化することに主眼を置いたタイプ。導入は比較的速い一方、販促機能は限定的です。
  • EDI型
    基幹システムとのデータ連携が前提のタイプ。大量・定型の取引に強いですが、ISDN(INSネット)のディジタル通信モードは2024年1月から地域ごとに段階的に終了し、現在は「切替後のINSネット上のデータ通信(補完策)」での運用に切り替わっています。この補完策を含むINSネットのサービスは2028年12月31日に提供終了が予定されているため、従来型EDIを使っている企業はインターネットEDIなどへの移行が課題になっています。
  • BtoB EC型
    受発注に加えて商品検索やレコメンド、キャンペーンを持つタイプ。効率化と並行して、売上拡大も狙えます。

出典:NTT東日本「INSネット」のサービス終了


効率化だけで足りるのか、売上機会も取りにいくのか。ここを決めないまま比較を始めると、機能表の突き合わせで終わります。


関連記事:受発注システムで効率化!BtoB ECのメリットや選び方

発注業務の効率化に役立つ
BtoB ECシステム「ecbeing BtoB」とは

ECサイトはもともと一般消費者向けが中心でしたが、法人間取引での活用も広がっています。ただ、BtoBの発注には取引先ごとの単価や承認フローといったBtoCにない要素があるため、BtoC向けのシステムをそのまま使うことは難しいのが実情です。

「ecbeing BtoB」は、そのBtoB特有の要件を標準で持つ受発注システムです。発注や履歴確認に加えて、見積の発行依頼、価格交渉、発注者ごとに異なる承認フローの設定に対応します。前述のアルパインマーケティング様の事例も、基幹システム(SAP)との連携を含めて構築したものです。


導入を検討している場合は、事例と機能の詳細をご覧ください。

ecbeing BtoBについて詳しくはこちら

ecbeing BtoBパッケージ紹介資料(抜粋版)
当社のサービスBtoBパッケージ紹介資料になります。
詳細はこちら



BtoB ECで何が改善できるかは、こちらでも扱っています。
BtoB ECで実現できる業務改善について詳しくはこちら

まとめ

「発注」と「注文」に法律上の違いはなく、使い分けは慣習の問題です。実務で問われるのは言葉選びより、発注業務そのものにどれだけ人手を取られているかでしょう。

2026年1月の法改正では、適用対象の拡大や手形払いの禁止といった規制強化と同時に、電磁的方法による明示の事前承諾要件が撤廃されました。WEB化は効率化の手段であるだけでなく、法対応をやりやすくする側面も持っています。

まずは自社の受注業務に何時間かかっているかを測るところから始めると、判断材料が揃います。





ecbeing

この記事の監修者

株式会社ecbeing
塩見 駿介
ECサイト構築プラットフォーム「ecbeing」・BtoB専用ECサイト構築プラットフォーム「ecbeing BtoB」をご導入いただいている企業のへの取材を通じて得た知識をもとに、EC構築・運用するうえで役に立つ情報や最新トレンド情報を発信。
  

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