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リベート・割戻とは?
意味・会計処理・仕訳・注意点を徹底解説【BtoB取引にも】

日常的な買い物でも目にする機会は多い割戻。BtoB ECにおいても割戻は効果的な施策であり、正しく理解しておく必要があります。今回の記事では、割戻の仕訳の方法や注意点について解説していきます。

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日常的な買い物でも目にする機会は多い割戻。BtoB ECにおいても割戻は効果的な施策であり、正しく理解しておく必要があります。今回の記事では、割戻の仕訳の方法や注意点について解説していきます。
リベート・割戻とは
リベート・割戻(割戻し、割り戻し)とは、買い手が商品やサービスを一定数量以上購入した場合などに、売り手が購入金額の一部を後日返金(還元)する仕組みのことです。「割戻」や「割戻し」はあまり耳馴染みのない言葉かもしれませんが、「リベート」や「キックバック」というと聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。 企業間取引(BtoB)では特に頻繁に活用される販売促進の手法です。1個700円の商品を3つ買うと、2,100円になるところ、100円値引きの2,000円になるといった、まとめ買いによる値引きも「リベート」に含まれます。
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リベート・割戻のメリット
例えば、「年間で○○万円以上購入した場合に、購入額の○%をキャッシュバックする」といった条件が、企業間取引(BtoB)でのリベートの典型的な例です。 このような仕組みにより、取引先の購買意欲を高めたり、長期的な取引関係を築いたりすることができるため、買い手は商品やサービスを試すきっかけになったり、取引額を増やす動機付けになったりします。一方、売り手も新規顧客の獲得や安定した売上拡大につながるなど、競合他社よりも有利な立場で取引ができるメリットがあります。
リベート・割戻の会計処理・仕訳方法
リベート・割戻は、会計処理や仕訳の際に「売上割戻」や「売上割戻引当金」といった勘定科目を用いて処理します。 リベートは、商品やサービスの販売後に、取引先が一定の条件を満たした場合に返金や値引きが発生するため、売上高の修正として扱われるのが一般的です。ここでは、リベート・割戻の基本的な仕訳方法や会計上のポイントについて解説します。
リベート・割戻の仕訳方法
例えば、取引先に対して年間の購入額に応じて10,000円のリベートを支払う場合、以下のような仕訳を行います。
<リベート・割戻支払い時の仕訳例>
借方 | 貸方 | ||
売上割戻 | 10,000 | 売掛金 | 10,000 |
この場合、「売上割戻」は販管費や売上高のマイナスとして処理されます。リベートの発生時点で、売掛金などの債権を減額する形となります。
・期末にリベート・割戻の引当金を計上する場合
リベート・割戻は、実際の支払いが決算日をまたぐことが多いため、期末時点で将来発生が見込まれるリベートについて「売上割戻引当金」として引当金を計上します。
借方 | 貸方 | ||
売上割戻引当金繰入 | 30,000 | 売上割戻引当金 | 30,000 |
・翌期にリベート・割戻を支払った場合
翌期に実際にリベートを現金などで支払った場合は、次のような仕訳となります。
借方 | 貸方 | ||
売上割戻引当金 | 30,000 | 現預金 | 30,000 |
売上値引との違い
売上割戻とよく混同されるのが「売上値引」ですが、両者には明確な違いがあります。「売上値引」はひとつの商品を販売した場合にも適用され、売上として計上されるのは値引き”後”の金額となります。一方、「売上割戻」は複数の商品を販売した場合のみに適用され、代金の割戻しは購入後に行われるため、売上として計上されるのは値引き”前”の金額となります。
リベート・割戻を活用する際の注意点
リベート・割戻は売上拡大や取引先との関係強化に有効な施策ですが、運用方法を誤ると自社や取引先に思わぬリスクをもたらす場合があります。ここでは、リベート・割戻を導入・活用する際に特に注意すべきポイントを解説します。
商品・サービスの価値低下リスク
リベートを恒常的に実施していると、顧客が「リベート後の価格」を通常価格と認識してしまうことがあります。その結果、リベートを適用しない通常価格での購入をためらわれ、商品やサービス本来の価値やブランドイメージが下がってしまう恐れがあります。リベートの適用範囲や還元率が過剰にならないように設定し、期間限定のキャンペーンとして実施するなど、慎重な運用が求められます。
コンプライアンス・法令違反のリスク
過度なリベート・割戻はコンプライアンスに抵触するおそれがあるという点です。同業他社に比べて圧倒的に条件の良い割戻を行えば、独占禁止法違反になる可能性があります。特に、割戻の還元率を高く設定したり、過去に遡って割戻を行ったりすると独占禁止法の「排除型私的独占」に該当するおそれがあるため注意が必要です。排除型私的独占に該当する場合は、公正取引委員会から排除措置命令や課徴金納付命令が下されるおそれがあり、場合によっては競争者(同業他社)から損害賠償請求を受ける可能性もあります。
また、取引先にリベートと称して過度な値引きを要求すれば、下請法違反にあたるおそれもあります。下請法とは、正式には「下請代金支払遅延等防止法」と呼ばれる法律です。下請法では、親事業者が下請事業者に対して自身が優位な立場にあることを利用して、不当な要求を下請事業者につきつけることを禁じています。仮に下請事業者と値引き(リベート)について合意した場合でも、下請事業者に責められる理由がない限り、下請法違反になるおそれがあります。下請法に違反した事業者は、公正取引委員会から指導・勧告を受け、企業名も公表されます。
いずれにしても、リベート・割戻を行う際は顧客ごとにその場で決めるのではなく、事前に契約内容を明文化しておくことが重要です。
運用ルールの明確化と契約内容の明文化
リベート・割戻の条件や適用範囲が曖昧なまま運用すると、トラブルの原因になりやすいです。顧客ごとにその場で条件を決めるのではなく、事前にリベートの内容や条件を契約書などで明文化し、双方が合意したうえで運用することが重要です。これにより、後々の誤解や法的トラブルを未然に防ぐことができます。
まとめ
リベート・割戻は、新規顧客の獲得にも既存顧客との関係維持にも役立つ施策です。ただし、むやみにリベート・割戻を行うのは危険です。恒常的な割戻は商品価値の低下につながるだけでなく、過度な割戻を行えば、コンプライアンスに抵触するおそれもあります。どのような割戻を実施するのか慎重に検討したうえでルールを定めておきましょう。