
ECの新たな販売形式「ライブコマース」とは?
メリットと注意点を紹介!
メリットと注意点を紹介!

ECの新たな販売形式として近年注目を集めている「ライブコマース」。中国ではすでに膨大な市場規模になっていますが、近年日本でも多くの企業が興味を示しています。今回の記事では、ライブコマースのメリットや実施する上での注意点を紹介していきます。
ECの新たな販売形式として近年注目を集めている「ライブコマース」。中国ではすでに膨大な市場規模になっていますが、近年日本でも多くの企業が興味を示しています。今回の記事では、ライブコマースのメリットや実施する上での注意点を紹介していきます。
ライブコマースとは?
ECの新たな販売形式として近年注目を集めている「ライブコマース」。中国ではすでに巨大な市場を形成していますが、日本でも多くの企業が関心を寄せています。今回の記事では、ライブコマースのメリットや実施する上での注意点、そして成功のポイントを詳しく紹介していきます。
ライブコマースの定義と特徴
ライブコマースとは、インターネットのライブ配信を通じて商品を紹介し、視聴者に購買を促す販売手法のことです。 テレビショッピングと似ていますが、最大の違いは、配信者と視聴者がリアルタイムでコミュニケーションを取れる「双方向性」にあります。
視聴者はコメント機能を使ってその場で質問したり、リクエストを送ったりできます。配信者はそれに応えることで、視聴者の疑問や不安を即座に解消し、納得感を高めた上で購入を後押しできます。
配信には、企業の社員や店舗スタッフが登場するケースのほか、影響力のあるインフルエンサーや専門家を起用するケースもあります。
注目される背景
近年、ライブコマースが注目される背景には、いくつかの要因があります。
1. 個人の影響力増大: 企業からの広告よりも、親近感のあるショップ店員や信頼するインフルエンサーが薦める商品を購入したい、という消費者心理が高まっています。
2. プラットフォームの多様化: InstagramやYouTubeなどのSNSで誰でも手軽にライブ配信ができるようになり、ECサイトとの連携も強化されたことで、実施のハードルが下がりました。
3. オンライン接客の需要増: コロナ禍を経て、実店舗での対面接客が制限されたことから、アパレルや化粧品業界などを中心に、オンライン上で顧客と繋がる手段としてライブコマースの導入が加速しました。
ライブコマースの市場規模
世界を牽引する中国市場
ライブコマースが特に大きな盛り上がりを見せているのが中国です。経済産業省の調査によれば、2020年時点のKOL(Key Opinion Leader:影響力の強いインフルエンサー)経由のEC市場規模は、約3,000億元(当時のレートで約4.5兆円)に達しています。 中国では「信頼できる人から買いたい」という消費者心理が強く、絶大な人気を誇るライバー(配信者)が巨大な売上を生み出すなど、社会的な現象となっています。
日本の市場規模と今後の展望
一方、日本のライブコマース市場はまだ発展途上です。MMD研究所が2021年に行った調査では、ライブコマースの認知度は43.2%に留まり、「視聴して商品を購入したことがある」と回答した人はわずか5.8%でした。
しかし、SNS経由で商品を購入する「ソーシャルコマース」が普及しつつあることや、若年層が動画コンテンツに慣れ親しんでいることから、市場拡大の余地は十分にあると考えられます。 特に、2025年以降に日本でも本格的なサービス開始が噂される「TikTok Shop」の動向は、市場を大きく活性化させる可能性があり、今後の成長が期待されています。
ライブコマースと相性の良い業界
ライブコマースは、動画で伝える情報量が多く、双方向のやり取りが可能なため、特に以下のような業界で効果を発揮しやすいとされています。
アパレル業界
サイズ感や生地の質感、着心地といった、写真だけでは伝わりにくい情報を、モデルが実際に着用して動いて見せることで具体的に伝えられます。「思っていたのと違った」という購入後のミスマッチを防ぎ、顧客の不安を解消できます。
化粧品業界
美容部員やメイクアップアーティストが実際に商品を使いながら、使い方や発色、テクスチャーを実演することで、視聴者はまるで店頭でカウンセリングを受けているかのような体験ができます。肌に関する悩みにその場で答えることもでき、購入の決め手になります。
食品業界
生産者がこだわりを語ったり、調理風景を見せたり、実食レポートをしたりすることで、商品の鮮度や味わいを臨場感たっぷりに伝えられます。おすすめの食べ方やレシピを提案することで、視聴者の購買意欲を刺激します。
ライブコマースのメリット
動画で商品の魅力を直感的に伝えられる
ECサイトの基本である写真と文章に比べ、動画は圧倒的に多くの情報を伝えることができます。 アパレル商品のシルエットや素材感、家電の動作音、食品のみずみずしさなど、静止画では表現しきれない商品の魅力を、いきいきとリアルに訴求することが可能です。
双方向のコミュニケーションで顧客の不安を解消できる
ライブコマース最大の特長は、リアルタイムの双方向性にあります。 視聴者からの「サイズ感を詳しく知りたい」「他の色も見たい」といったコメントにその場で応えることで、ECサイト利用時に顧客が抱きがちな「実物を確認できない不安」を解消できます。 この丁寧なやり取りが、企業やブランドへの信頼感を醸成し、顧客との関係構築にも繋がります。
インフルエンサーや店舗スタッフのファンにアピールできる
商品やブランドと親和性の高いインフルエンサーを起用すれば、そのファン層に一気にアプローチでき、高い集客効果が期待できます。 また、日頃から顧客と接している店舗スタッフが出演することで、そのスタッフを支持するファンに視聴してもらえるだけでなく、プロならではの知識や親しみやすい人柄を通じて、商品の魅力を効果的に伝えることができます。
購入までの導線がスムーズで、購買意欲を高める
多くのライブコマースプラットフォームでは、配信画面から直接、あるいは数クリックで商品購入ページへ移動できる仕組みが用意されています。 視聴者が「欲しい!」と感じた瞬間の熱量を逃さず、スムーズに購入まで誘導できるため、衝動買いを促しやすいという利点があります。 ライブ配信中限定のクーポンやタイムセールを組み合わせることで、さらに効果を高めることができます。
テレビショッピングより低コストで始められる
大規模な設備や放映権料が必要なテレビショッピングと比較して、ライブコマースはスマートフォンや基本的な機材さえあれば始められるため、広告費や制作コストを大幅に抑えることが可能です。 自社のスタッフが出演すれば、費用をさらに圧縮できます。
ライブコマースを実施するうえでの注意点(デメリット)
多くのメリットがある一方、ライブコマースを成功させるためには、いくつかの注意点を理解しておく必要があります。これらを怠ると、期待した効果が得られないだけでなく、企業の信頼を損なうことにもなりかねません。
事前の集客が不可欠
どれだけ良い配信を準備しても、視聴者がいなければ商品は売れません。 ライブ配信は基本的にリアルタイムのイベントであるため、SNSやメールマガジン、公式サイトなどを活用して、配信日時や内容を事前に広く告知し、視聴者を集める努力が不可欠です。
配信トラブルのリスク
生放送である以上、予期せぬトラブルはつきものです。 インターネット回線の不調で映像が途切れたり、マイクの不具合で音声が聞こえなくなったりする可能性があります。 事前に機材のテストやリハーサルを徹底するとともに、万が一トラブルが発生した際の対応策を決めておくと安心です。
出演者のスキルや言動に成果が左右される
ライブコマースの成否は、配信者の力量に大きく依存します。 商品知識はもちろん、視聴者と円滑にコミュニケーションをとる能力や、カメラの前で魅力的に商品をプレゼンテーションするスキルが求められます。 また、出演者の不用意な発言や態度が、そのまま視聴者に伝わってしまうリスクもあります。
ブランドイメージを損なう可能性
配信の雰囲気や出演者のキャラクターが、自社のブランドイメージと合っていない場合、視聴者に違和感を与え、ブランド価値を損なう恐れがあります。 例えば、高級ブランドがチープなセットで配信を行い、視聴者から不評を買ったという事例もあります。 配信を行う際は、自社のブランドイメージを念頭に置いた企画・演出が重要です。
ライブコマースを成功させるポイント
では、実際にライブコマースを成功させるには、どのような準備が必要でしょうか。ここでは4つのポイントに分けて解説します。
1. プラットフォームを選定する
ライブコマースを行うには、専用ツールを利用する方法と、SNSのライブ機能を活用する方法があります。 InstagramやYouTubeは無料で手軽に始められ、多くのユーザーにリーチできる可能性があります。 一方、専用ツールは決済機能が一体化しているなど、よりスムーズな購入体験を提供できます。 自社の目的やターゲット層に合わせて最適なプラットフォームを選びましょう。
2. 配信者を慎重に選ぶ
出演者には、商品知識が豊富で、視聴者の質問に的確に答えられる人物を選ぶことが大前提です。 社員を起用する場合は、人柄が良く、話すことに慣れている人物が適任です。インフルエンサーに依頼する場合は、フォロワー数だけでなく、そのファン層が自社のターゲットと一致しているか、そして何よりも商品に愛情を持って紹介してくれるかを見極めることが重要です。
3. ターゲットに合わせた配信時間と告知を行う
ターゲットとする顧客層が最も視聴しやすい時間帯に配信を設定することが、成功の鍵です。 例えば、主婦層向けなら平日の昼間、社会人向けなら平日の夜や週末などが考えられます。配信日時が決まったら、SNSなどで繰り返し告知を行い、視聴を促しましょう。
4. 配信後の分析と改善を行う
配信はやりっぱなしにせず、視聴者数やコメント内容、ECサイトへの流入数、売上などを分析し、次回の改善に繋げることが大切です。 どのような商品が反応が良かったか、どのようなトークが盛り上がったかを振り返り、PDCAサイクルを回していくことで、配信の質と成果を高めていくことができます。
日本国内のライブコマース成功事例
日本でも、多くの企業がライブコマースを活用して成果を上げています。
ユニクロ(UNIQLO)
「UNIQLO LIVE STATION」という自社サイト上のコンテンツで、店舗スタッフや著名人が出演するライブ配信を定期的に実施。着用者の身長や骨格タイプを明記したり、視聴者の質問にスムーズに答えたりするなど、オンラインでも安心して買い物ができる工夫が凝らされています。
資生堂
美容部員やメイクアップアーティストが専門知識を活かして、商品の使い方やメイク術をレクチャー。視聴者からの美容に関する悩みに直接答えることで、高い信頼と満足度を獲得しています。インスタライブと自社サイトでの同時配信など、集客の工夫も見られます。
三越伊勢丹
百貨店ならではの強みを活かし、バイヤーやスタイリスト、多彩なゲストが登場。お中元・お歳暮といったギフト商材や、ファッション、コスメなど、専門性の高い情報を発信し、ECサイトでの売上を大きく伸ばしています。
まとめ
ライブコマースは、単に商品を売るための新しい手法ではありません。写真やテキストだけでは伝えきれない商品の魅力を深く伝え、お客様とリアルタイムで繋がることで、ECにおける顧客体験を革新する可能性を秘めています。
インフルエンサーや自社のスタッフを起点としたファン作り、顧客との直接対話による信頼関係の構築は、長期的なブランド価値の向上に繋がります。 もちろん、紹介する商品や出演者の選定、配信の準備など、成功には慎重な計画が必要です。
ライブコマースの特性を理解し、うまく活用していくことで、EC事業の次なる成長の扉を開くことができるはずです。
また、ecbeingでも動画を活用した商品案内が可能なサービス「visumo」を取り扱っています。ライブコマースによるリアルタイムでの視聴者とのやりとりではなく、あらかじめチェックされた動画を設置可能な事故が起きにくいサービスとなっています。
visumoの導入事例が掲載された資料もございますので、是非ご確認ください。


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