セレクトショップのSHIPSがサイトを統合しオムニチャネル化を実現。いまアパレルで求められるECの在り方とは?

有名セレクトショップと知られ、多数のブランドで商品を送り出している株式会社シップスは、1952年に東京・上野の創業からスタートし、1977年、銀座にシップス1号店をオープン以降、全国80店舗を超える直営店を展開している。ECにも積極的に取り組み、2018年11月にWebサイトをリニューアルオープン。コーポレートサイトとマガジンサイト、ネットショップを統合し、オムニチャネル化を推進している。

今回は、採用されているecbeing社長の林雅也との対談という形で、 本リニューアルにあたっての目的や課題、経緯、サイト構築後の変化などについて聞く。


※写真左: 株式会社ecbeing代表取締役社長 林雅也
 中央: 株式会社シップス デジタルマーケティング部 部長 高橋雅典
  右: 株式会社シップス デジタルマーケティング課 課長 萩原千春

シップス 基本情報

<社 名>

株式会社シップス

<設立年>

1975年

<事業内容>

メンズ・ウィメンズ・キッズウエアと服飾関連商品の小売販売及び企画・製作

<従業員数>

1201名(平成30年8月現在)

<資本金>

6,000万円

<本社所在地>>

東京都中央区銀座1-20-15


オムニチャネルが当たり前の時代。お客様に合わせてシームレスに情報を届けるメディアプラットフォームを

オムニチャネルが当たり前の時代。お客様に合わせてシームレスに情報を届けるメディアプラットフォームを

 ※写真右: 株式会社シップス デジタルマーケティング部 部長 高橋雅典
    左: 株式会社シップス デジタルマーケティング課 課長 萩原千春

林:シップスさんは日本を代表する老舗のセレクトショップとして成長されていて、ファッションに関心の高い層にフォーカスされていますよね。そんな中で、Web〜EC事業はどう位置づけられているでしょうか?


萩原: お客様の幅広いニーズに応えるために、戦略上の最重要課題と捉えています。お客様もWebルーミングが当たり前であり、Webに適切且つ魅力的な情報がなければ店舗にも足を運んでいただけなくなってしまいます。ユニファイドコマースという言葉もありますが、これからはWebだけではなく店舗のデータも活用したお客様へのアプローチが必至ですからね。


林:今回は先頃実施されたサイトのリニューアルに関して伺いますが、経緯としては、その前段でシステム、プラットフォームをecbeingに移していただき、その後に、今回のサイトリニューアルがあったという流れでした。リニューアルにあたっては、どんな課題感をお持ちでしたか?


萩原:現在はオムニチャネル戦略がどの企業でもマーケティングの中心かと思いますが、実店舗でもネットでもアプリでも、お客様の状況やご希望に合わせてシームレスに情報をお届けできるメディアプラットフォームを構築することが、ユーザーエクスペリエンスの向上には不可欠と考えたことが最初です。そこでサービスを一元化し、利便性を追及しようと。それまでは、お客様もどのサイトを見たら良いかが分かりにくく、店舗スタッフもどのサイトを案内してあげるかが明確ではなかった。先ずはそれを集約しようと考えました。


商品を軸に、お客様が情報を手に入れやすく、気づきを得られるようUI/UXを設計

商品を軸に、お客様が情報を手に入れやすく、気づきを得られるようUI/UXを設計


林:もともとWebコンテンツはいろいろありましたよね。現在いい形でまとまっていますが、どのように最適化したのでしょうか?


萩原:今回のリニューアルでは、ECサイト、ブランドサイト、「SHIPS MAG」というマガジンサイトの統合がメインでした。お客様が欲しい情報としては商品が一番強いというのが数値的にも明確化されていたので、商品を軸に据えながらも、店舗やスタッフ、イベントの情報などを、お客様がいかに手に入れやすく、気づきを得られるようにと、UI/UXを設計していきました。


林:一元化して、より商品情報が伝わりやすくなった訳ですね。御社の場合、コーディネートやマガジンコンテンツなど、一つの商品に関して語る角度が多い。あの面白さですよね。コンテンツは多すぎると埋もれてしまうし、少なすぎると探しやすいかもしれないけれどつまらなくなってしまう。どう整理されたのかなと思うのですが。


萩原:そこは、メディアへの導線やそこから商品に戻ってくるといった設計を、御社のご担当者とも相談しながら作り上げていきました。


高橋:それと、今まで、実店舗に比べるとWebは展開品番数が少なかったのですが、品番数を拡大してECサイトをカタログ代わりにできるようにと考えています。Webルーミングできるには、Webが魅力的でなければいけない。


林:なるほど。販売につなげるという意味で、ECの展開商品拡充とともに、Webルーミングされるお客様のための情報拡充でもあると。EC行為の促進とともに、店舗への誘導は狙いとして大きかったと思いますが、工夫点はありますか?


萩原: ECサイトの機能としては当たり前ですが、絞り込み検索です。統合によってパーソナライズした情報を届けやすくなりました。本当に欲しい店舗情報への気づきや新しい発見を増やすことができたと思っています。


林:今までもいろいろ情報がありましたけど、ありすぎて埋もれてしまっていたのですね。


統合による一元化で、運用面では工数削減し、情報連携しやすくなった

統合による一元化で、運用面では工数削減し、情報連携しやすくなった


林:少し遡りまして、リニューアル前のecbeing導入の経緯や理由を伺えますか。


高橋:豊富な構築実績があって、既存データの移行、基幹システムとの連携などがきちんとできること、柔軟なカスタマイズができることが大きかったです。そして「安心確実」というところが心強かったですね。


萩原:その前はフルスクラッチでチャレンジしていたのですが、やはり難しかった。ecbeingさんはパッケージがありつつ、カスタマイズも柔軟です。


林:安心感と拡張性ですね。それで土台をしっかり作ってからリニューアルされた。規模の話になりますが、多くの部署が関わっていましたよね。従来、ばらばらに作っていたのを統合しようということじゃないですか。これはすごく難しいことで、企業力が出ると思います。


萩原:はい、店舗を含めて全社を巻き込むビッグプロジェクトでした。オムニチャネル戦略、ユニファイドコマース戦略ということで、早くデータを一元化して、お客様にしっかりと情報を届け、販売できるようにしなければならなかったことが大きかったですね。統合については店長、関連部署に対し社内で啓発しました。それぞれが自分のサイトだと共通認識を持てるよう説明し、全スタッフが参加型で構築するサイトにしたかったのです。


高橋:その方が、EC購入促進、店舗への誘導などで必ず成長すると認識が一致したから、スムーズに進んだのではないですかね。これまでは実店舗の関わりが少し薄かったですが、今回はより関係性が築けていると自負しています。


林:直営店の強さが出たのかもしれませんね。でもそうした中で、皆さん変わったところもあるのではないでしょうか?お店の人もコーポレートの人もやらなきゃいけないことがそれぞれあると思いますし。


萩原:これまで別々のプラットフォームを使っていたのが一元化され、運用面でも工数削減に繋がり、かつ、情報の連携がしやすくなったので、メリットばかりです。


林:それはすばらしい。今まで使っていたシステムがあると変更するのが大変で、うまくいかない企業様もありますが、変化に対応できたのでしょうか?


萩原:そこは御社に相当カスタマイズしていただいたお陰ですかね。開発の方もどうやって使われるかなど親身に考えて構築してくれて、移行に関して不自由はなかったです。


高橋:関連部署が同本部にいるので、組織体系としてやりやすいかもしれません。ブランドで事業部が分かれていたりもしませんし。


集客は集中化され、売上好調。従来比で、セッション、PVが150%以上に

集客は集中化され、売上好調。従来比で、セッション、PVが150%以上に

※写真: 株式会社ecbeing代表取締役社長 林雅也

林:リニューアルからまだ間もないですが、その後の状況はいかがですか。


萩原:サイト利用者の滞在時間が上がっており、シップスの公式サイトとして、お客様が、買うだけではなく発見したり楽しんだりする要素が増えたと捉えています。CVRも、買う目的でないお客様も増えるので下がることを予想してましたが、ほぼ変わらない状態で推移しています。その分集客は集中化され、売上は好調です。

統合前と比べ、セッション、PV含め150%以上という成果を上げているのですが、以前もあった店舗検索も増えました。これは、商品と連動して検索できることが大きいと考えています。これまでもECサイトでは店舗在庫表示はしていましたが、コーポレート側の店舗を探す機能と統合されたことによって、商品からの逆引きも増えましたし、店舗を探していた方が商品をみて、その在庫のある店舗を探したりなどもあります。


林:すごいですね。なるほど、以前は、お客様に活用いただけていなかった機能もあったのでしょうね。お客様は今かなりストレスフリーで動いているから、ちょっとした違いで動きが変わってしまう。


萩原:リニューアルによって可能になったところでは、店舗在庫検索機能の拡張で、ECに在庫がなくても店頭在庫を取り寄せて購入いただけるようになったのは大きいです。


高橋:欲しいお客様にきちんと手当てはするべきです。欲しいのに買えないというのが一番良くない。


萩原:そして、アプリからの新規流入が非常に増えています。シップスのアプリは会員証アプリからスタートしていて店舗での親和性が高いので、そこからWebにつながりやすくなったことは間違いないです。統合して、全店施策を一緒にやれるようになり、お客様のシーンと状況に合わせてWebでも店舗でも用意ができているという形になってきています。


林:気づけば、カスタマージャーニーも本当に変わりましたよね。


萩原:あと、御社のvisumoを導入したのも大きいです。店舗の魅力的な情報を今まで表現し切れていないもどかしさがありました。Instagramを活用してそこをお客様にしっかり伝えられることによって、サイト内での各店舗固定ファンの構築、ファン化促進になっています。


林:意外にInstagramの公式に普通にある情報も、サイトに載せてちゃんと導線をつけてあげるだけでだいぶお客様の利便性が変わりますよね。



Webをゼロベースで見直す事業を立ち上げ、メディアとモールを構築

Webをゼロベースで見直す事業を立ち上げ、メディアとモールを構築


林:ではいろいろデータも集まってきて、今後はそれをどう活用していくか、ということになるでしょうか?


萩原:サービスの拡充がまず必須と考えています。決済手段の拡張や、サイズの比較検討サービスの充実など、まず購入周りのケアから、お客様にストレスなく使っていただけるように。そして公式サイトとして、どう全社の売上、LTVを向上させていくか。お客様が求める情報のパーソナライズ化、One to Oneの配信や表現が直近の課題ですね。


林:情報の触れ方ですよね。ナチュラルに入ってくるといいですよね、「嫌味じゃないプッシュ」。お店で懇意にしているスタッフの人が「今はこれですよ」と持ってきてくれる、あれが究極の姿かもしれません。お店では実現できていて、お店に行く前にできればといつも思います。


高橋:そうですね。コミュニケーションの作り方、「人」を軸にどうマーケティングできるか。


林:いよいよ「人」ですね。これをどうWebに持ってくるか。そこをお手伝いできるといいのですが。では最後に、EC事業におけるアドバイスや注意点などお聞かせください。


萩原:留意した点になりますが、やっぱり店舗があってこその当社なので、デジタル領域は社内で意識を統一して進めるのが大事と考えています。


高橋:実店舗とECは共存共栄なので。店舗の意見を聞いたりECでやることをきちんと伝えたり、そういう社内での関係性ができていると、ECも店舗も相互に伸びるのではないかと思うんですよね。


萩原:それと、オンラインサービスはテクノロジーあっての実装がもちろんですが、先ずはお客様が本当に求めているのかという観点で、しっかりUI/UXの設計をするのが大事だと思います。当社ができているという訳ではなく、口に出して自分たちに言い聞かせている面もあるのですが(笑)。


――


高橋 雅典(たかはし・まさのり)

株式会社シップス デジタルマーケティング部 部長


萩原 千春(はぎわら・ちはる)

株式会社シップス デジタルマーケティング部 デジタルマーケティング課 課長


SHIPS 公式サイトはこちら

このエントリーをはてなブックマークに追加

お問合せ・資料請求

お電話でのお問合せ
03-3486-2631
営業時間 9:00〜20:00