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ユニファイドコマースとは?
オムニチャネルとは違う、次世代のマーケティング手法を事例と共に解説

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更新日:   公開日:

ユニファイドコマース(Unified Commerce)は、「顧客のあらゆる情報を統合し、顧客一人ひとりに対して最適化された価値のあるサービスや体験を提供するマーケティング手法」です。
ユニファイドコマースはO2Oのようなオンラインからオフラインの一方通行なコミュニケーションや、オムニチャネルのような様々なチャネルの接点を活用する手法よりもしっかりと、顧客一人ひとりの体験までをオンラインとオフラインの両方から得た情報の統合により提供します。

国内に店舗を持つ多くのEC事業者はOMO・オムニチャネルといったマーケティング手法を推進していましたが、次なる戦略として海外企業を筆頭に「ユニファイドコマース」と呼ばれる手法が導入されつつあります。
今回はユニファイドコマースについて、オムニチャネルなど従来の手法との違いや、ecbeingで構築した事例と併せて解説します。


ユニファイドコマースとは?

ユニファイドコマース(Unified Commerce)は、「顧客のあらゆる情報を統合し、顧客一人ひとりに対して最適化された価値のあるサービスや体験を提供するマーケティング手法」です。
ユニファイドコマースはO2Oのようなオンラインからオフラインの一方通行なコミュニケーションや、オムニチャネルのような様々なチャネルの接点を活用する手法よりもしっかりと、顧客一人ひとりの体験までをオンラインとオフラインの両方から得た情報の統合により提供します。

ユニファイドコマースでは、基本情報(氏名・住所・年齢)、検索履歴、行動履歴、購入履歴、ポイント情報、アプリ利用情報といったECや実店舗で得た顧客情報をデータ化した上で、ECサイト上ではおすすめ商品読んでもらいたいコンテンツを訴求するなど、情報をベースに顧客ごとの「One to One」の接客をすることが可能です。
また、購入履歴など実店舗でユーザー情報を活用する場合は、店舗来店時にスマートフォンアプリやショップカードなどを用いて情報を取得します。そしてスタッフが基本情報、購入履歴、よく来店する店舗、ポイント数などの情報を把握した上で、顧客に合わせた対応を行います。

具体例を挙げると下記のような施策がユニファイドコマースに該当します。

『以前店舗でシャンプーを購入したデータがあるユーザーに対して、使い切るタイミングでECサイトならびに定期購入サービスを案内するメールマガジンを配信する、もしくは別の香りのシャンプーの紹介などユーザーに合わせた提案を行う』

『店舗でブーツを購入したユーザーに対して、商品のメンテナンス方法やおすすめのコーディネートを案内するコンテンツの提供、ECで購入可能なメンテナンスグッズの紹介を行うサンクスメールを配信する』

『アパレル店で店舗とEC両方の購入履歴や来店日・問い合わせ・試着商品といった行動履歴、接客スタッフ情報等の情報を統合した会員データベースを作成し、接客時の案内・体験に反映させる』

ユニファイドコマースが注目される理由

スマートフォンやSNSの普及、生活様式の変容などにより、オムニチャネルやマルチチャネルのような実店舗とECといった複数の販売チャネルを用いる事業者が増えています。
その結果、事業者間の競争がこれまで以上に激しくなり、ユーザーに商品を購入してもらうためには、従来の画一的なマーケティング施策を脱却し、顧客一人ひとりに合わせた施策を行うことが求められるようになりました。

顧客体験を高めていくためには、チャネル間でデータを連携することが必要です。もし、店舗とECで相互に顧客情報の紐づけができていないのであれば、店舗で購入済みの商品が繰り返しECサイト上でおすすめ商品として表示されるようになるなど、ユーザーにとって適切な情報が提供されない可能性が大いにあります。

そうした中で、ECや店舗など複数の販売チャネルの情報を統合しながら顧客ごとにマッチした情報やサービスを提供できるユニファイドコマースが注目されています。

ユニファイドコマースとオムニチャネル・OMOの違い

ユニファイドコマースを説明する上でよく似ている用語として、「オムニチャネル」や「OMO(Online Merges with Offline)」という言葉があります。
ここでは、ユニファイドコマースとそれぞれの用語の違いについて見ていきましょう。

オムニチャネルとの違い

オムニチャネルは実店舗やECサイト、アプリといったあらゆる販売チャネルやコミュニケーションチャネルを統合することで、顧客の好きなタイミングや好きな販売チャネルで情報収集や商品購入がきる環境を作るマーケティング手法です。そんなオムニチャネルとユニファイドコマースの大きな違いは、それぞれの顧客に合わせたアプローチを行うという点です。

オムニチャネルは店舗やECの顧客情報と在庫情報を統合した上でユーザーが好きな時間、チャネル等で情報収集や商品購入が可能な状態を作り、ユーザーの利便性や売上をより上げていくということにサービスの主軸を置いています。

一方でユニファイドコマースは、こうしたオムニチャネルの仕組みを構築した上でチャネルの垣根を越えて取得した顧客情報を活用してマーケティング施策を行い、ユーザー体験の向上を目的としてサービスを提供することが可能です。

オムニチャネルについて詳しくはこちら
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OMOとの違い

「オンラインとオフラインを併合する」という意味を持つOMOは、オンラインとオフラインの垣根にこだわらず、あくまでも人がモノやサービスに触れて得られる体験や経験を主軸にしたマーケティング手法です。

こうしたOMOの考え方はユニファイドコマースに似ていますが、ユーザーの利便性や売上アップに主眼を置いているOMOに対して、ユニファイドコマースは顧客体験を充実させるに主眼を置いているという点が大きく異なります。

OMOについて詳しくはこちら
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ユニファイドコマースで実現できること

ユニファイドコマースが大きく知られるようになる以前から、顧客をセグメント分けして施策を実装することはあったかと思います。例えばGoogleやYahoo!のリスティング広告(検索連動型広告)や、ディスプレイ広告などのプロモーションを入稿する際は、年齢や性別、地域などにセグメント分けをした上でよりターゲットに近い方にアプローチできるはずです。
しかし、あくまでもこのセグメント分けは予測であり、不特定多数のターゲットに対してアプローチしているため求めていた顧客が流入するかどうかは正直読めない部分があります。

ユニファイドコマースを導入することで、こうした不特定多数のユーザー全員に同じサービスやコンテンツを提供するのではなく、一人ひとりの属性や購買・行動履歴などのデータに基づいて最適な情報を提供するパーソナライズされたOne to Oneのマーケティングを行うことができます。

パーソナライズされたOne to One

広告のような予測に基づいたセグメントではなく、自社の店舗やECサイト等の接点からマーケティングを行えるので、事実に基づいたデータから施策を実装できます。この正確な情報を活用して一人ひとりに合った施策を打つことにより、流入の確度が高まります。

オンラインではECサイトやアプリでの購入経験のあるユーザーやコンテンツを求めて会員登録しているユーザーから、オフラインでは店舗のPOSレジから接点を作ってデータ収集をすることができます。そして、これらのデータをユニファイドコマースで活用するためには、BIならびにCRMツールに集約した上で施策に落とし込まなければなりません。

ただ企業がユニファイドコマースに踏み切る上で課題となるのが、テクノロジーの進化、多様化する消費行動への対応です。
そもそも顧客情報を収集できたとしてもそれを分析するツールがない、分析できても施策に結び付けて考えられないなど、やりたくてもなかなか踏み出せない現状があります。
そのため、消費体験の向上、買い物しやすい仕組み作りなど、システム面での環境整備が重要になります。環境整備を行う際は、下記の2点に気を付けながら進めるようにしましょう。

データ統合やセグメント分けを手軽に実施

ユニファイドコマースで使用するデータは、ECなどオンラインで得るもの、店舗などオフラインで得るものなど多岐に渡ります。それらをセグメント分けするには手間と時間がかかります。BIやCRMの導入する際は、ユニファイドコマースで使いやすいように円滑なデータ統合や、細かい顧客のセグメント分けができる機能を持ったシステムを選定して、業務を手軽に行える環境を整えるようにしましょう。

また、ユニファイドコマース用にデータ統合を行う場合は下記のような対応をすることがおすすめです。
・店舗とECの会員データを連携させる
・ポイントプログラムをECと店舗で統合させる
・在庫情報を店舗とECで一元化させる
・店舗接客だけではなく、問い合わせ対応等の履歴もユーザー情報に紐づける

分析結果を可視化した上で表示

ユーザー情報などユニファイドコマースで使用するデータを分析できても、その結果を上手く理解することができなければ、ユニファイドコマースの施策に落とし込むことが難しくなってしまいます。分析結果を見やすいビジュアルで可視化させることで理解しやすくなる上、マーケティングでも活かしやすくなるので、分析結果を簡単に可視化できる仕組みを検討してみてください。

実際ツールを触ってみないとわからないこともありますが、せっかく導入したツールも活用できなければ意味がないうえ、ツール導入コストも月額でかかります。また、ツール自体も入れた後に、自動バージョンアップされないと時が経つにつれ、時代にそぐわないツールを使い続けることになります。
こうした部分も考慮しながらツールを選定することが必要です。

ユニファイドコマースのデータ連携を支援する「Sechstant(ゼクスタント)」

これまで業界・業種問わず1,600以上のECサイトの構築支援を行ってきたecbeingでは、サイト構築だけではなく、消費体験の向上、買い物がしやすい仕組み作りなど、より良いシステムを実現するために、自動でバージョンアップするマーケティング機能「マイクロサービス」の提供も行っています。
マイクロサービスは全ての機能を1ヶ所のシステムにまとめる従来型のシステム設計に対して、各サービスをそれぞれ独立して構成しています。そのため、世の中の時流に合わせて常に新しい最適なサービスが利用できるようになるのがメリットです。

そんなecbeingが提供するマイクロサービスの1つに、デジタルマーケティング活動を視覚的にサポートする「Sechstant(ゼクスタント)」というユニファイドコマースの実現に欠かせないデータ分析ツールがあります。

Sechstantにはユニファイドコマースを行う上で必要な機能を多く実装しています。例えば、Web広告の実店舗でのコンバージョン分析や、EC・店舗の購買データ統合分析、流入チャネルごとのF2転換分析などを簡単に行うことができます。店舗単位やエリア単位で顧客データを分析できるため、ある店舗で新規客が獲得できていなかったり、新規獲得ができていても離脱が多かったりといったことを把握することも可能です。

またSechstantは、基本的には専門知識がなくてもすぐに始められるため、初心者から上級者までご利用いただけるツールになっています。

Sechstantを活用して在庫の可視化を行い販売機会の損失を減らした事例はこちら
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Sechstantを活用してクロスユース率が
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ecbeingで実現したユニファイドコマースサイト

ecbeingが手掛けてきた数多くのECサイトの成功事例の中には、ユニファイドコマースサイトもあります。その中から今回は、特に皆様にご紹介したい2つのユニファイドコマースの事例をピックアップしました。

株式会社TSI(nano・universe)

全国で64店舗を展開しているファッションブランドnano・universe(ナノ・ユニバース)は、店舗とECが一体化したブランド体験を提供するべく、ユーザーの趣味嗜好のデータを統合した「ユニファイドコマース戦略」を推進しています。その中でナノ・ユニバースは、「店頭スタッフのデジタルサービス活用」「ECから店舗へと繋がる新たな顧客導線の創出」を軸にユニファイドコマースに関する様々な施策を強化しました。

ユニファイドコマースに関する具体的な取り組みとしてスタッフのデジタルサービス活用の部分ではECやSNSでのスタッフコーディネートの掲載、チャットやSNSを利用するアイテム選びをサポートするオンライン接客を展開しています。
またオンラインからリアルへの顧客導線を作るべく、ECで気になった商品を店頭で試着して購入できる「試着予約」や、来店時の接客を行うスタッフを指名予約できる「接客予約」、アプリのチェックイン機能を活用してECと店舗を統合したユーザーの行動データから来店時におすすめ商品を表示するなどしています。

株式会社Zoff(Zoff)

国内外で300以上の店舗を展開しているメガネブランドZoff(ゾフ)のECは、オムニチャネルを実現すべくecbeingでリニューアルを実施しました。店舗とECのユーザーデータを紐づけたことでEC上から度数やレンズの種類、過去に購入した商品画像を確認できるようになり、ユーザーの鮮度の高い情報を提供できるようになりました。

そしてユニファイドコマースの施策として、顔写真からメガネのバーチャル試着ができる「Zoff Virtual Counter」をスマートフォンサイトで展開しています。このサービスを利用することでユーザーは、顔写真をアップしていくつかの質問に回答すると、AIがマッチしたメガネを提案してくれるので、気に入った場合そのままEC上での買い物が可能になります。

Zoff様の詳しい事例はこちら
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株式会社シップス

有名セレクトショップと知られ、多数のブランドで商品を送り出している株式会社シップスは、Web上のデータだけを活用し、お客様にアプローチするのではなく、国内に展開している80店舗を超える直営店から得られる情報も含めお客様の状況やご希望に合わせてシームレスに情報をお届けするプラットフォームを構築することが、顧客満足度の向上に不可欠と考えたことをきっかけに、コーポレートサイトとマガジンサイト、ネットショップを統合する形でWebサイトをリニューアルし、ユニファイドコマースの強化を推進しています。

ユニファイドコマースが実現したことで、ECサイト上に店舗に来店されるお客様にも満足いただけるコンテンツを用意できるようになり集客が増加、セッション、PVは150%以上にまで伸長しています。ECサイトから店舗を検索する数も増え、相互に送客しあうことで売上も順調に成長しています。

シップス様の詳しい事例はこちら
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ユニファイドコマースの構築はecbeing

ecbeingでは、1600を超えるECサイトの構築実績をもとに幅広い業種・業界のお客様が理想とするユニファイドコマースを構築可能です。また、ECサイトは構築するだけで成功するものではありません。

ユニファイドコマースの構築だけでなく、その後の売上向上のために欠かせないデータ分析やその後の施策を効率的に展開するためのサービス、これまでに成功したECサイトから得たノウハウを提供するサポート体制もご用意しているため、構築後の運用まで安心しておこなうことが可能になっています。

次なるステップに進むためにユニファイドコマースの展開を検討している方は、まずはecbeingまでご相談ください。

まとめ

ECや実店舗などから得た様々な顧客情報を統合して、パーソナライズされたサービスや体験を提供する「ユニファイドコマース」は、オムニチャンネルやOMOに次ぐ次世代のマーケティング施策として導入する企業が増えています。
また、ユニファイドコマースを実現させるためには、手間のかかる複数の販売チャネルの情報の統合やセグメント分けが手軽にできる、そしてこの情報を分析してその可視化できるようにするといった土台となるシステムの環境を整えることが大切です。

ここまでユニファイドコマースの説明をしてきましたが、時代が進むにつれて消費者の考えや商品を購入する手段・傾向は変わってきます。その度に戦略を検討し施策へと打ち出していかなければなりません。
ユニファイドコマースのマーケティング手法がすべての店舗とECを持つ事業者に当てはまるかと言うと、そういう訳ではありませんが、顧客一人ひとりにあったマーケティングを実装することが顧客の購入確度を高めることに繋がります。

是非この機会にユニファイドコマースを検討し、新しいマーケティング手法へ挑戦してみてはいかがでしょうか。




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