ECサイトのオムニチャネル成功事例から3つご紹介!

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近年のマーケティング・販売・EC戦略において注目度の高い施策のひとつが「オムニチャネル」です。マーケティングの本場であるアメリカにおいて確立され、最近では国内のECサイトを行っているEC事業者はオムニチャネル化を推進している企業が増えています。しかし、「オムニチャネル」という用語のみが先行し、思ったような効果を上げられていないケースが見受けられます。
今回はECサイトにおけるオムニチャネルの成功事例として、3つの企業をご紹介します!

オムニチャネルとは?

「オムニチャネル」は直訳すると「全販路小売り」の意味ですが、ありとあらゆるチャネル(販売経路)を統合し活用する試みを指します。

ユーザーとの接点となるチャネルには、実店舗やECサイト、スマホ・タブレットのアプリなどがあります。ユーザーの要望に沿って複数のチャネルを用意するマルチチャネルとは違い、オムニチャネルは複数のチャネルに加えて在庫管理やユーザー管理などを統合し、ユーザーにシームレスな購買体験をもたらします。言い換えると、ユーザーが「いつでも」「どのチャネルでも」一貫して商品情報や実店舗の情報、商品を購買できる状況をつくりだすということです。

マルチチャネル時代は実店舗とECサイトは競合関係にあり、ECサイトが実店舗の売上を侵食しているという考え方がありました。しかし、第一歩のオムニチャネルでは実店舗とECサイトの連携が重要となっています。

例えば、実店舗で実際に商品を手にとって吟味し、帰宅後により安い他店のECサイトから注文するというユーザー行動は「ショールーミング」と呼ばれ、小売業界で問題視されていました。しかし、オムニチャネルは、実店舗での体験とECサイトでの購買をつなぐ仕組みになっているため、ショールーミングの回避に貢献します。

オムニチャネルが成功しない理由

まずオムニチャネルの第一歩は実店舗とECサイトとの連携です。ユーザー情報や注文情報、在庫情報などを統合し、チャネルの垣根をなくして一元管理できるようにするのが一般的な施策です。

しかしこのようなインフラ整備だけ行っても、実際の売上につながらないといった声が多いのも事実です。

オムニチャネルが成功しない最大の理由は、事業者側のメリットにばかり目を取られ、“ユーザーへのサービス強化”がされていないことです。オムニチャネルを成功させるためには、ユーザー視点に立ったサービスの提供が欠かせません。サービスを強化すると、ユーザーメリットが明確になり、利用にもつながります。どうすればユーザーにメリットを与えられるかを重点的に検討することが必要とされます。

オムニチャネルの成功に重要なシステム連携について解説
詳細はこちら

オムニチャネル成功事例

ユーザー視点に立ったオムニチャネルとはどういったものなのでしょうか?ecbeing導入企業のオムニチャネル施策から、成功の秘訣を探っていきます。

ダイアナ様


レディースシューズを扱っているダイアナ様は、早くからオムニチャネル施策に取り組んでいます。

ECサイトは自宅にいながら商品を探すことができますが、サイズ感はブランドや型によって違うため、実際に試着してみないと購入に踏み切れないというユーザーも多くいます。

そこでダイアナ様は「購入前に試着したい」というニーズに着目し、ECサイトで選んだ商品の店舗在庫照会や店舗情報の詳細を簡単に確認できるようにしました。


ダイアナ様


ダイアナ様


元々この施策を実施した目的は、実店舗とECサイトの売上におけるバッティングを防止することでした。店舗での売上をECサイトに奪われてしまうと、店舗側がECサイトの存在や活用方法を店頭で紹介しづらくなるためです。

しかし、店舗在庫照会機能を取り入れたことにより、ECサイトから流入したユーザーを実店舗に誘導できるようになりました。また、ECサイトの活用方法紹介も抵抗なくできるようになったため、全社一丸となってサービス拡大を実現することに成功しました。

やはりシューズは自分のサイズがわかっていても、品番によって履き心地も違いますし、履いてみないとわからないですよね。ECサイトでは返品やサイズ交換も無料でという企業も多いですが、返送の手間など考えるとこのサービスはユーザーメリットが高いと思います。

ABC-MART様

ABC-MART様

スニーカーを中心としたシューズを販売しているABC-MART様は、国内外に1,000店以上の実店舗を有する強みを活かした巨大なオムニチャネル施策を行っています。ダイアナ様同様、サイズ感の問題をクリアする必要があったため、ECサイトで選んだ商品を最寄りの店舗で試着、購入ができる「店舗受取りサービス」を実現しました。


ABC-MART様


ABC-MART様


実店舗の出店戦略として、同一商圏内にドミナント出店(多店舗出店)を行っております。主要都市ではお客様の歩くエリアも決まっており、同一商圏内で大きな店舗を1店舗出店するより、小さな店舗でも通りごとに構えるほうがご来店のお客様が増えるということを戦略とし、このオムニチャネル施策を最大化しています。



ABC-MART様

店舗に欲しい商品の在庫がない場合、ドミナント出店している他店舗の在庫を参照し、走って取りに行くということも行っております。すぐ商品を取りにいってくれるなんて、お客様としては嬉しいですよね。

もし近くの店舗に在庫がなかった場合、店頭のタブレットでEC在庫の照会と自宅配送が指定できるサービス、「iChock」の提供を行っています。


ABC-MART様


【iChockを導入前】

今までのフロー

【iChockを導入後】

iChockを活用すると

以前であれば他店の在庫を確認し、取り寄せ後の受け渡しという流れだったため、商品を受け取るまでに時間がかかっていました。しかし「iChock」により、再来店せずに自宅で商品を受け取れるようになったため、在庫切れによる機会損失を減らすことができ、年間1億5,000万円もの売上創出に成功しました。


ABC-MART様

これも多店舗展開しているABC-MART様ならではのオムニチャネル施策ですね。

アカチャンホンポ様

アカチャンホンポ様

ベビー用品などを販売しているアカチャンホンポ様は、都心部の実店舗に訪れる若いファミリー層のニーズを的確に捉えたオムニチャネルを展開しています。

小さな商品だけでなくベビーカーなど大型商品も販売しているため、実店舗で購入した場合、自動車を所有していないユーザーは持ち帰りが大変でした。そこでアカチャンホンポは店頭にタブレット端末を設置し、商品を共通在庫から自宅に配送するというサービスを導入しました。


アカチャンホンポ様


このサービスにより、ユーザーは店頭で決済でき、最短で翌日には自宅に商品が届くという「手ぶら感覚」のショッピングができるようになりました。もちろんECサイトでも購入はできるのですが、自分の子供のこととなると商品は手にとって選びたいというニーズが多く、でも持ち帰るのは大変と、そんなお客様のニーズを解消するサービスとなっております。また事業者側から見ても「都心部のファミリー層にアプローチしたい」という目的にかなった施策となっています。

大型店の出店費用がかかる都心部において、売り場スペースの限られた小規模店舗でも、大型商品を販売することが可能になりました。

オムニチャネルは全社をあげた施策

今回は3社のオムニチャネル成功事例をご紹介しました。いずれの会社も企業側のメリットだけでなく、いかにユーザー側にメリットをもたらすかという点に注力しています。

また、オムニチャネルの実現にあたっては、EC関連部門のみで進めようとするケースも多いですが、実店舗や物流部門、マーケティング部門も巻き込み、会社全体にとってどんな効果があるのか考える必要があります。

全社にとってメリットがあり、そして何よりユーザーにメリットのある施策を実現できるようにしましょう。





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