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    ECを活用した新事業「ANA Mall」のプロジェクト秘話
    〜マイルを活用した既存顧客会員の囲い込みと事業の拡大戦略〜

ECを活用した新事業「ANA Mall」のプロジェクト秘話
〜マイルを活用した既存顧客会員の囲い込みと事業の拡大戦略〜

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公開日:

ANA X株式会社はANAグループのマーケティングプラットフォームの運営を担っている会社です。リアル・デジタル含めた様々なタッチポイントとビッグデータを武器に、魅力的なマイレージプログラムの拡充を通じて独自のお客様価値の創造を目指しています。
そんなANA X株式会社は航空運送事業で培ってきた経験やお客様との信頼関係を土台にマイルというポイントプログラムや顧客コミュニケーション機能を活かし、よりお客様と日常との接点を増やしていくための事業の一つとして、2023年1月31日に「ANA Mall」を新規構築しました。
今回は、ECモールを新規構築するに至った誕生のきっかけから、プロジェクト進行時の逸話、こだわり、今後の戦略について、ANA X株式会社 R&D推進部 ライフソリューションチーム マネジャー 永井 良明 氏とANA X株式会社 EC事業推進部 ANA Mallチーム リーダー 三ア 経信 氏にお話しいただきました。

左から
ANA X株式会社 R&D推進部 ライフソリューションチーム マネジャー 永井 良明 氏
ANA X株式会社 EC事業推進部 ANA Mallチーム リーダー 三ア 経信 氏

ANA X株式会社はANAグループのマーケティングプラットフォームの運営を担っている会社です。リアル・デジタル含めた様々なタッチポイントとビッグデータを武器に、魅力的なマイレージプログラムの拡充を通じて独自のお客様価値の創造を目指しています。
そんなANA X株式会社は航空運送事業で培ってきた経験やお客様との信頼関係を土台にマイルというポイントプログラムや顧客コミュニケーション機能を活かし、よりお客様と日常との接点を増やしていくための事業の一つとして、2023年1月31日に「ANA Mall」を新規構築しました。
今回は、ECモールを新規構築するに至った誕生のきっかけから、プロジェクト進行時の逸話、こだわり、今後の戦略について、ANA X株式会社 R&D推進部 ライフソリューションチーム マネジャー 永井 良明 氏とANA X株式会社 EC事業推進部 ANA Mallチーム リーダー 三ア 経信 氏にお話しいただきました。

ANA X株式会社 基本情報

<社名>
ANA X株式会社
<設立>
2016年10月21日
<資本金>
2,500万円
<事業内容>
・国内・海外旅行事業
・航空販促事業
・ライフサービス事業
・データドリブンマーケティング事業
・顧客コミュニケーションチャネル運営事業
・ANAマイレージクラブ運営事業

『航空一本足打法からの脱却』から始まったECモール事業

新しい事業として「ANA Mall」を構築するに至ったきかっけ、出来事、課題、戦略について教えてください。

三ア氏:元々ANAグループは複数のECビジネスが点在しており、それぞれが個社でEC運営をしていました。
そのため、それぞれが規模も小さいビジネスになってしまっていたというのは、コロナ禍に入る以前から課題でした。規模の観点でもマーケティング観点でも統合することのメリットは大きいと考え、既存ECを何らかの形で統合できないかと検討していました。

それからコロナ禍に入り、航空・旅行の利用が大きく減少し、経営危機的な状況に陥っていました。そんな中、「航空一本足打法」からの脱却という発想の下、新しい事業を生み出さなければまた同じことが起きてしまうという観点から、新たな収益源を生み出す事業戦略のひとつとして統合型EC(ECモール)の事業化に乗り出すことになりました。

検討時期においては、コロナ禍により「巣ごもり需要」ということでECマーケットが大きく伸長しただけでなく、ANAグループの既存ECにおいてもANA関連の商材を多数取扱いしており、ANAファンの多くのお客様に購入いただき支えて頂きました。この状況がECに一定の勝ち筋があるとANAグループ内で認識される要因の一助となり、事業化に踏み切るきっかけとなりました。

またモールを行うにあたって、大手競合への勝ち筋をどこに立てていくかというのは、社内でも何度も議論を重ねました。
航空会社が運営するECならではのニッチな世界で足場を立ててビジネスを組み立てていかなければならないと思っています。
ビジネスコンセプトとして航空事業が厳しくなると、マイルの価値も下がってしまうため、マイルがなくても勝ち筋を立てられるように、議論を重ねながら構築していきました。そのため、RFP(提案依頼書)の制作には3〜4ヶ月はかかりました。

ecbeingを選定された理由を教えてください。

永井氏:一番大きな理由としては、このスケジュールで「いけます!」と言っていただけたのがecbeingさんだったということです。
コロナ禍で航空事業が苦戦する中、航空事業以外の収益源を早期に生み出すべく、ECモールの早期リリースが求められていました。
いわゆるQCD (Quality:品質、Cost:コスト、Delivery:納期)のうち、Delivery(納期)を最優先としなければならない中で、内容と納期のバランスが一番よかったのがecbeingさんだったので、決めさせていただきました。
また当初から納期を最優先にしていたこともあり、フルスクラッチでの開発は難しいと判断したのも一つの条件でした。

ECプラットフォームの中でも、ecbeingさんはフロントも管理画面も基本的な機能が充実していながら、弊社の要件も柔軟にカスタマイズで取り入れられるという点や他社様の導入実績も多く信頼できる点が大変魅力的でした。

プロジェクトが進行する中で苦労されたことについて教えてください。

永井氏:2021年11月頃から要件定義を始め、2023年1月リリースということで、スケジュールに余裕がないうえに、ANAグループとしては初めてのECモールを作るということで、知識や経験が乏しいというところは非常に苦労しました。
ただ、そのあたりはecbeingさんから事情を汲み取っていただいたうえで全体的にリードいただき、こまめなミーティングによる密な情報連携を図った事で、当初のスケジュールから遅れることなくリリースできたというのは非常に良かったと思っています。

今回ECモール構築にあたり、ANAマイレージクラブ会員(以下、AMC会員)情報との連携も必須となり、弊社独自の会員システムや、会員の情報を分析するための基盤との連携など弊社独自システムへの連携も多いところも非常に苦労しました。
関係者も多岐に渡りシステム間の連携仕様など我々に難解な点もありましたが、各関係者とのミーティングにも積極的にご同席いただくことで、スムーズに調整を進めることができました。
オープン後のecbeingさんの対応に関しても、オープン前には気づかなかったような細かい修正点も、こちらの要望を最大限汲み取っていただき、スムーズに対応いただいたと思っています。

マイルを活用した「日常」から「非日常」へ繋げるための取り組み

「AMC会員連携(ANAのマイルがたまる会員組織)」に伴う、施策やマイルの利用・付与についての戦略を教えてください。

三ア氏: AMC会員にとって貯めたマイルの使い道に対して様々な用途での利用をご提案していますが、その中でも特典航空券が多く利用されています。
ANAグループが掲げている「マイルで生活できる世界」を早期に実現させていくには、マイレージプログラムの力で強く結ばれているAMC会員をANA Mallへ速やかに取り込んでいくことが成功させる近道だと考え、それにあたってどのような施策を打つかが重要だと捉えています。

そのためには顧客エンゲージメントの媒介となるポイント(マイル)施策は非常に重要です。
100円で1マイル貯まるという基本ポイント(マイル)は運営側が付与しています。
ANA Mallにおいては、ご利用に応じて付与する基本ポイント(マイル)や、ANA Mallに出店するショップ様が実施するポイント(マイル)施策などのANA Mall内キャンペーン施策等を積極的に実施していき、AMC会員の皆様に非日常の世界(=特典航空券でのご旅行)へつながるマイルが貯まるショッピングライフを楽しんで頂きたいと考えています。

ANA Mallで買い物をする「日常」から、特典航空券でのご旅行という「非日常」へ繋げていく取り組みについてお伺いさせてください。

三ア氏:マイルは1マイル1円(相当)で利用できますが、特典航空券に関しては国内で往復1万5千マイル(例:羽田=大阪のハイシーズン)、「今週のトク旅マイル」なら場合によっては片道4千5百マイルほどでご利用できるとなると、1マイル1円(相当)よりも価値があるものになり、お客様にとって魅力的なサービスなのではないかと考えています。
もちろん、特典航空券を利用したいAMC会員ばかりではないので、お客様それぞれがマイルを欲しいものに使えるよう、「欲しいものがない」ということがない状態を目指してショップ数を拡大し、商品ラインナップを拡大していくことでマイルのニーズも満たしていき、マイルを貯める意欲にも繋げていきたいと考えております。

マイルを「貯める」と「使う」がANA Mallをご利用いただくお客様にストレスなくご提供できるようシステムで実現させていくことを重要な開発要件としてecbeing様と一緒に検討をさせていただきました。
ANAのシステムとの連携を含めた構築はスケジュールも限られる中とても大変ではありましたが、リリース後はシステムのトラブルもほぼ皆無で運用ができているのでありがたく思っています。

購入のしやすさを意識し、ANAグループサイトとのシングルサインオン(SSO)の導入をされているかと思いますが、導入にあたっての戦略について教えてください。

三ア氏:ANAグループでは、現在10桁のANAマイレージクラブお客様番号(以下、お客様番号)とパスワードの組み合わせで各種サービスを提供しています。お客様の大切な個人情報を守るため、その組み合わせが複雑になることはあっても、簡素になることはなく、ログインの度にお客様番号とパスワードを入力いただくことはお客様にとって大変なストレスになっていると思われます。
そのため、出来る限りサービス利用時にストレスなくログインができるようにしたいと考え、日頃より使い慣れたANA SKY WEBやAMCアプリからANA Mallへ遷移する際には、ログイン情報が引き継がれ、新たなログイン操作が不要となるようサービス設計をしました。

デザイン面を含め、UIUXや見せ方、訴求で意識されていたことについて教えてください。

三ア氏:商品の構成や表示を極力シンプルに見せていくことに加え、出店ショップ様によるショップページの自由度をある程度担保しつつ、商品軸での見せ方を意識して設計を検討しました。
特にサイトの色味については、コーポレートカラーである「青」に対して、あえて強くこだわらないことを意識しました。
弊社は「青い翼の航空会社」ではありますが、物販ECとして利用者様の購買意欲を刺激する色味を検討することを優先しました。
物販ECモールは多くの個性あるショップ様に参画いただくことを前提としたビジネスと理解していますので、ショップ様の個性が消えないような、色味やデザインになるよう気を付けていました。

購買意欲を刺激しながら、邪魔にならないデザインは両立するのか悩ましかったですが、完成してから実際にショップ様のカラーなどが入ると、イメージしていたものよりもオリジナル感もでて、感慨深いものがありました。
デザインについては日進月歩だと思っているのでショップ様とのコミュニケーションをしたりしながら工夫していかなくてはならないと思っています。


ANA Mall出店ショップ商品詳細画面(タマチャンショップ)

分析機能の活用について教えてください。

三ア氏:今回、「AdobeAnalyticsへの連携」「ショップ様向けの分析機能」を分析関連の機能として構築しています。
弊社では主に解析ツールとしてAdobeAnalyticsを活用しており、システムへデータを連携させることで、流入元別のパフォーマンスやサイト内での顧客の動きなどを可視化することができるので、サイト動線やクリエイティブの見直しなどに役立てていきたいと考えています。
「ショップ様向けの分析機能」に関しては、ANA Mallに出店頂いたショップ様がそれぞれアクセス数・売上等のパフォーマンスをクイックに管理画面で確認できるよう設計し、ショップ様側でもサイト改善策を検討できるようにと考えています。

リリーススケジュール最優先の中、トラブルなくオープン

実際、ecbeingにご依頼していかがだったでしょうか。

三ア氏:ANAグループでは過去に経験のないECモールの構築だったにもかかわらず、スピード重視の早期のリリースを依頼し、ecbeing様にはかなり無理のあるスケジュール設定に協力をいただきました。
さらに納期だけでなく、ショップ様への負荷も最低限にすることも重要でしたので、トラブルなくECモールがオープンできたことが何よりecbeingさんにご依頼してよかったと実感しているところです。
リリース直前にも修正をたくさんお願いしてしまいましたが、クイックに対応していただいて感謝しています。

今後ecbeingを活用して取り組んでいかれたい構想や、戦略をお聞かせください。

三ア氏:今回立ち上げたANA Mallはまだ物販のみの取り扱いですが、先行する多くの大手ECモールは物販以外の様々なサービスをECプラットフォームにのせて提供しています。
弊社としても今回立ち上げたECモールを1つのプラットフォームに見立て、そこにお客様にとって有益な機能やサービスをどんどん加えていくことを検討したいと思っています。
世の中の状況やニーズも日々変化してきていますので、改めてお客様にANA Mallをベースとしてどのような付加価値を提供していくかは考えていきたいと思っています。

これからECを構築したい方や、ECのリニューアルを検討している方にアドバイスがあればお願いします。

三ア氏:これから初めてEC構築するという企業にとっては、機能面だけでなく使いやすさや体制面が充実している点を考慮して、ECシステム選定を行うことをおすすめします。
その中でも、システムに付加価値を独自で搭載できることや実際に一緒にプロジェクトを取り組んだことで実感している信頼感という点で、ecbeingさんはおすすめできると思います。

永井氏:重複してしまいますが、私自身ももともとシステムをやっていた人間ではありませんが、なにもない中でECをはじめてシステムの統括をやれたのはecbeingさんに助けていただいたというのが一番大きいです。
自身に知見がない中でも、リードしていただいたことでANA Mallができたと思っているので、そういった企業様にもecbeingさんはおすすめだと思います。



――
ANA X株式会社
EC事業推進部 ANA Mallチーム リーダー
三ア 経信 氏

ANA X株式会社
R&D推進部 ライフソリューションチーム マネジャー
永井 良明 氏


「マイルが貯まる・使えるショッピングモール ANA Mall」はこちら


●取材・文:塩見 駿介




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