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    業界独特の商習慣に合わせたDX化で顧客サービスと業務効率が大幅に改善
    〜株式会社ヤギが考えるBtoB ECを活用した事業戦略とは?〜

業界独特の商習慣に合わせたDX化で顧客サービスと業務効率が大幅に改善
〜株式会社ヤギが考えるBtoB ECを活用した事業戦略とは?〜

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更新日:   公開日:

繊維専門商社として原料からテキスタイル、アパレル製品に至る分野、またブランドビジネスまで行う株式会社ヤギは、1893年の創業以来、「終始一誠意」の社是のもと、繊維のプロとして世の中に貢献するため成長を続けています。
そんな株式会社ヤギが2019年にテキスタイル販売オンラインサイト「Fably(ファブリー)」をecbeing BtoBで構築し、オンライン上で商品の在庫や納期の確認、注文等を行えるだけでなく、全国の様々なサプライヤーの商品も含め多くの商品を法人・個人問わずご購入いただける環境を実現しました。

今回は「Fably(ファブリー)」をオープンさせた背景や目的、商習慣に合わせた機能、効果、これからの展望などを株式会社ヤギ 営業第三本部 第三事業部 315課 課長 卜部 司氏にお話しいただきました。

左から
株式会社ヤギ 営業第三本部 第三事業部 315課 課長 卜部 司 氏
株式会社ヤギ 営業第三本部 第三事業部 315課 大久保 英太 氏

業界/業種
繊維専門商社
運用形態
オープン型 BtoBtoB
導入ソリューション
ecbeing BtoB
目的/課題
・電話やFAXで行っていたアナログな受注業務をDX化し業務効率化したい。
・プラットフォーム化し、サプライヤーの商品も掲載し販売できるようにしたい。
導入効果
・出荷業務に関わる工数を大幅に削減。
・データが蓄積されるようになり需給予測のレベルが向上し無駄な在庫を削減。
・英語表示や海外決済導入でサプライヤーの海外販売を展開。

繊維専門商社として原料からテキスタイル、アパレル製品に至る分野、またブランドビジネスまで行う株式会社ヤギは、1893年の創業以来、「終始一誠意」の社是のもと、繊維のプロとして世の中に貢献するため成長を続けています。
そんな株式会社ヤギが2019年にテキスタイル販売オンラインサイト「Fably(ファブリー)」をecbeing BtoBで構築し、オンライン上で商品の在庫や納期の確認、注文等を行えるだけでなく、全国の様々なサプライヤーの商品も含め多くの商品を法人・個人問わずご購入いただける環境を実現しました。

今回は「Fably(ファブリー)」をオープンさせた背景や目的、商習慣に合わせた機能、効果、これからの展望などを株式会社ヤギ 営業第三本部 第三事業部 315課 課長 卜部 司氏にお話しいただきました。

株式会社ヤギ 基本情報

<社名>
株式会社ヤギ
<創業>
1893年10月
<資本金>
10億88百万円
<事業内容>
繊維専門商社
<取扱商品>
綿・合繊糸等繊維原料、ニット・テキスタイル、メンズ・レディスアパレル、スポーツウエア、ナイティ・インナーウエア、寝装品・インテリア商品、生活関連および産業繊維資材

「受注管理のシステム化」と「新たな販売経路の確保」

「Fably(ファブリー)」を構築した背景と目的を教えてください。

卜部氏:構築検討当初は、電話やFAXで行っていたアナログな受注業務をDX化し業務効率化を狙うことを目的にしていました。
そもそも、「Fably(ファブリー)」は3つのフェーズに分けてシステム構築をしており、第1フェーズでは、自社商品の業務効率化を狙い在庫管理やお客様への在庫状況提示等の受注の自動化を実現しました。
実はその直後、コロナ禍になり会社への出社ができず在宅勤務中心の状況が続きましたが、第1フェーズで構築した機能が大変活躍しました。
出荷オーダーの処理を「Fably(ファブリー)」へ導入したことによって自宅で出荷業務ができました。お客様も今までであれば会社に電話をして在庫問合せをしていたのをWeb上で在庫を確認できるため、購入効率が格段に上がりました。

また繊維業界全体でもこういったDX化された機能が注目されるようになり、第2フェーズではプラットフォーム化し、自社商品以外の現在34社(2023年1月時点)のサプライヤーさんの商品も掲載できるような形に変えました。
日本の繊維産地はすごく品質やクオリティの高い商品を作っていますが、直接売る仕組みやお客様との接点が持てていないという実情がありましたので、いいものを作っているメーカーさんをより広く認知してもらう場所として「Fably(ファブリー)」を使ってもらえるようプラットフォーム化しています。

第3フェーズとしては海外対応になります。当然自社商品を海外で売りたいというのもありますが、サプライヤーさんの商品を海外で売れるよう手助けしたいという考えもありました。
サプライヤーさんによっては海外に対する接点がなく、売り方や販売ルートもわからないなど、海外に向けて販売したくてもできない現状がありました。そういった方を手助けできるように、英語表示や海外決済導入などを第3フェーズで実現しました。

ecbeingを選定された理由を教えてください。

卜部氏:システム選定当初、他社も含め4〜5社ほど検討しており、一番求めていたのはセキュリティと信頼度・実績でした。
その中でecbeingさんはファッション・アパレル系の構築実績があり、生地独特の単位が「反(たん)」と「m(メートル)」の2つあることや、カットの際にカット賃が発生するなどの商習慣や複雑な業務フローに対しても、こういう風にやったらできますよといった状況認識・課題解決提案のレベルが高かった点で、安心してご依頼できると思いecbeingさんを選ばせていただきました。

繊維業界独特の商習慣に合わせた機能の実現

構築時に意識されていた「取り置き機能」「サンプルオーダー」「商品詳細の見せ方(単位)」について教えてください。

卜部氏:「取り置き機能」「サンプルオーダー」「商品詳細の見せ方(単位)」は構築当時から叶えたかった事で、生地業界の商流に沿った形でこれらの機能は実現し「Fably(ファブリー)」は作られています。

「取り置き機能」は在庫管理・生産工場と連携し本発注前の仮発注ができるもので、弊社の場合、受注即出荷というわけではなく、受注だけして後日そこから少しずつ出荷することがあります。例えば10反の発注が入り、その出荷が2日後に2反、1週間後に5反といった形で在庫の引き当てができます。

「サンプルオーダー」はパターン帳の無料配送で、出荷依頼も「Fably(ファブリー)」で行っています。そもそも出荷依頼は「原反カット」、「カット」、「サンプル」という3つの種類に分かれており、どのように切り分けてやるかというところはかなり苦労しました。

「商品詳細の見せ方」は、必要な情報を簡潔に見せるということを考え、かなり時間をかけてデザインしました。
特に単位が「反(たん)」と「m(メートル)」の2つあるためオーダーするときに、お客様が間違えないよう見せ方を工夫しました。また商品を探すときも品番や色、素材などでの検索ができ探しやすくしています。


商品詳細ページの表示例

その他の機能としては、出荷明細の確認や品質データの確認など、「Fably(ファブリー)」を見れば注文書に関するすべてがわかるようになっています。
苦労した甲斐もあり、同じ業界でもここまで全部をカバーできているシステムはそんなにないのではと感じています。

サイト内では自社商品を取り扱う「FablyBasic」とサプライヤー商品を取り扱う「FablyPlus」の2つに分類がされているかと思いますが、「FablyPlus」に該当する『サプライヤー商品』の販売に伴った機能について教えてください。


「FablyBasic」と「FablyPlus」

卜部氏:そもそも「FablyBasic」と「FablyPlus」は第2フェーズでプラットフォーム化した時に作った概念です。
この概念が必要になった経緯としては、サプライヤーさんの商品の中でも「在庫を積んでいる商品」と「在庫を積まずバイオーダーで注文が来てから作る商品」があります。
第1フェーズの時は「在庫を積まずに注文が来てから作る商品」の概念がなかったため、第2フェーズの段階でどうしても在庫を積んでいるものと、積んでいないもので同じ表現ができませんでした。
それをどうやってお客様にわかりやすく使い分けてもらえるかというところで、在庫を積みストックがあるものを「FablyBasic」、注文が来てから作る受注生産分を「FablyPlus」としてわかりやすく伝えるためにこういった分類の概念を作りました。


Fablyの全体図

機能面では「FablyPlus」はサプライヤーごとに在庫入力や出荷の確認ができるよう管理画面を切り分けています。
また受注生産する商品に関しては繊維業界の文化もあり、対面営業でのやり取りが多い商材です。EC上での販売のハードルの高さはありますが、サイト内に掲載しているのを見てお問い合わせ頂くことが増えています。受注生産する商品の認知拡大・顧客との接点を持つという点では効果が出ていると感じています。

リアルとの取り組みで認知を拡大

展示会などのリアルな場にも積極的に露出されているかと思いますが、リアルとECの繋がりを意識した取り組みについて教えてください。

卜部氏:現在、SNS運用を積極的に行っており、BtoBにしてはInstagramのフォロワーも2000人を超えています。
またYouTube配信を通じて、弊社の若手営業が生地の授業を行い認知拡大に貢献しています。


「Instagram:fably_official」と「YouTube:Fably Channel」

また、服飾・ファッション専門学校の文化服装学院という学校との交流もあります。学生とコラボしてYouTube動画を撮影することや、学校内にFablyコーナーを設置してもらい学生の卒業制作で必要になる生地を「Fably(ファブリー)」上で購入できるようにしています。

学生が「Fably(ファブリー)」で生地を買うという経験をしていただくことで、将来、服飾やアパレル関係に就職した際に生地を「Fably(ファブリー)」で購入できると思っていただけるように、学生の段階から啓蒙活動をしています。

3D化した最先端の取り組みもされていたかと思いますが、具体的な活用法を教えてください。

卜部氏:世の中的に3Dは、車やインテリア、建築業界などでは当たり前になってきていますが、ファッション業界ではスニーカーやフットウェアは別として、3Dをうまく活用できているところはまだ少なく遅れている印象があります。
そのような中で生地の3D化に力を入れ始めた理由の一つとして、SDGsの観点からも考えて「サンプルの廃棄ロス」や「サンプル作成の過程で出る余り布などの廃棄」が社会問題化されており、出来る限り無駄なサンプルは減らそうという考えから始まっています。

実際、3DCGを作るためには素材のデータが必要で素材のデータをスキャンして物性データを取得するのがすごく大変ですが、「swatchbook」という米国のサービスを活用することで効率よく3DCGを作ることができています。
ただ、やはり実物と液晶画面上で見た3Dでは質感や風合いなどは伝わりづらい部分はありますので、3Dで作った生地を見てもらい、気になった方はショールームに来ていただきリアルで見て購入するという流れを今作ろうとしています。


ショールーム サンプルエリア

顧客サービスと業務効率が大幅に改善

サイト構築によって得られた効果などを教えてください。

卜部氏:1番は顧客サービスが向上したことだと感じています。
今まではFAXや電話で発注を受け、紙の台帳で在庫確認していたため、発注を受けた担当のタイミングによっては在庫数が変わってしまうことや、お客様も電話が繋がりづらくイライラさせてしまうこと、メールの返信を待たせてしまうこと等の問題もありましたが、「Fably(ファブリー)」により一気に解決され、新規顧客獲得にもつながっています。
また、間違いなく業務効率も格段に上がりました。
出荷業務も「Fably(ファブリー)」上でオーダーしていただければ出荷オーダーできるようになり、出荷業務に関わる工数を大幅に削減できています。

さらに、DX化されたことによりデータが蓄積されるようになり、需給予測のレベルが上がったと感じています。
今までのアナログ管理は、出荷履歴や品番ごとの過去の発注の推移等は見ることができませんでしたが、DX化することでデータが溜まり分析ができるようになりました。
それにより、例えばこの商品は年間でこういう動きをするといったことがわかるようになり、商品を仕込むときの精度が上がりました。
それによって販売機会ロスが減り、無駄な在庫を作らなくなったため当然売上も伸び、在庫コントロールもうまくできるようになりました。

今後ecbeingを活用して取り組んでいかれたい構想や、戦略をお聞かせください。

卜部氏:サプライヤーさんの生地の売上をもっと増やしていきたいと考えています。
繊維業界だけではないとは思いますが、職人の人手不足で商品を作るキャパが減ってきている実情があります。
弊社としては今残って頑張っているメーカーや繊維産地がこれ以上減らないように何とか力添えできればと考えており、繊維産地の悩みや課題、問題点等をデジタルの力で解決出来たらなと考えています。

これからECを構築したい方や、ECのリニューアルを検討している方にアドバイスがあればお願いします。

卜部氏:構築後のコミュニケーションやフォロー、サポートが充実しているシステム会社に依頼するのがいいと感じています。
ECサイトの運営はシステムを構築して終わりではなく、構築してからがスタートですので、アフターサービス、セキュリティ面、何か問題があったときに対応できるだけの体制があるかは重要だと思いますので、検討する際は運用を意識して構築するといいかと思います。



――
株式会社ヤギ
営業第三本部 第三事業部 315課 課長
卜部 司 氏


・テキスタイル販売オンラインサイト「Fably(ファブリー)」はこちら
・Instagram:「fably_official」はこちら
・YouTube:「Fably Channel」はこちら


●取材・文:塩見 駿介





  

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