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基幹システムのWEB受注とBtoB ECの違いとは
成果を出すための役割分担を解説
成果を出すための役割分担を解説
BtoB ECサイトの導入を検討する際、多くの企業で「今使っている基幹システムのWEB受注機能で十分ではないか?」という議論が起こります。
BtoB取引には、得意先ごとに異なる価格設定や掛け売り、締め請求といった特有の商習慣があり、在庫や会計データとの整合性も不可欠です。これらを考慮すると、基幹システムとの連携は避けて通れません。 そのため、「いつも使っている基幹システムベンダーが提供するWEB受注機能を使えば、新たにECベンダーを探す必要もなく、連携もスムーズで安心だ」と考えるのは、一見すると非常に合理的な判断に思えます。
しかし、この判断はBtoB ECの成功を左右する重要な視点を見落とす危険性をはらんでいます。なぜなら、「基幹システムのWEB受注機能」が既存業務の延長線上にある守りの効率化ツールであるのに対し、「BtoB EC」は売上拡大を目指す攻めの営業・マーケティングチャネルであり、その本質的な役割が全く異なるからです。本記事では、その理由と、本当に成果を出すためのBtoB ECの考え方について解説します。
サクッと理解!本記事の要点まとめ
基幹システムのWEB受注機能があるのに、なぜBtoB ECが必要なのですか?
基幹WEB受注は業務効率化のための仕組みであり、BtoB ECは顧客体験を高めて売上を伸ばすための仕組みです。目的が異なるため、役割分担が必要です。
「基幹システムと連携できるEC」であれば、どれも同じではないのですか?
いいえ。基幹連携は前提条件であり、成功の決め手は「顧客に使われ続けるかどうか」です。
BtoB ECにおける「守り」と「攻め」とは何を指しますか?
「守り」は基幹システムによる業務の正確性、「攻め」はBtoB ECによる営業・マーケティング機能を指します。両立が成功の鍵です。
BtoB ECを「攻め」だけに特化すると、何が問題になりますか?
基幹と分断され、手作業や二重入力が増え、売上が伸びるほど運用が破綻します。
成功している企業は、基幹システムとBtoB ECをどう使い分けていますか?
基幹は「正しい業務処理」、ECは「顧客体験と売上創出」を担い、API連携で両者をつなげています。
BtoB ECサイトの導入を検討する際、多くの企業で「今使っている基幹システムのWEB受注機能で十分ではないか?」という議論が起こります。
BtoB取引には、得意先ごとに異なる価格設定や掛け売り、締め請求といった特有の商習慣があり、在庫や会計データとの整合性も不可欠です。これらを考慮すると、基幹システムとの連携は避けて通れません。 そのため、「いつも使っている基幹システムベンダーが提供するWEB受注機能を使えば、新たにECベンダーを探す必要もなく、連携もスムーズで安心だ」と考えるのは、一見すると非常に合理的な判断に思えます。
しかし、この判断はBtoB ECの成功を左右する重要な視点を見落とす危険性をはらんでいます。なぜなら、「基幹システムのWEB受注機能」が既存業務の延長線上にある守りの効率化ツールであるのに対し、「BtoB EC」は売上拡大を目指す攻めの営業・マーケティングチャネルであり、その本質的な役割が全く異なるからです。本記事では、その理由と、本当に成果を出すためのBtoB ECの考え方について解説します。
なぜ「基幹システムのWEB受注機能」が選ばれやすいのか?
BtoB取引では、以下のような複雑な要件を日常的に処理する必要があります。
• 得意先ごとに異なる価格や取引条件の管理
• 掛け取引や締め請求といった日本独自の商習慣への対応
• 商品、在庫、顧客情報といったマスターデータの正確な管理
• 受注後の請求処理や会計処理とのシームレスな連携
これらはすべて、企業の業務を正確に管理・処理することを目的とした「基幹システム」が本来得意とする領域です。そのため、基幹システムと一体で提供されるWEB受注機能は、システム担当者にとって非常に魅力的に映り、導入の有力候補となりやすいのです。
しかし、ここには大きな落とし穴があります。

「処理の正しさ」だけでは不十分。BtoB EC成功の本当の条件とは?
基幹システムとの連携は、あくまで受注や在庫、請求といった業務を「正しく処理する」ための前提条件に過ぎません。しかし、BtoB ECの成否を本当に分けるのは、「顧客に選ばれ、継続的に使ってもらえるかどうか」という点です。
どれほどバックエンドの基幹連携が完璧であっても、サイトを利用する顧客にとって、
• 操作が分かりにくく、使いづらい
• 欲しい商品がなかなか見つからない
• 結局、慣れている電話やFAX、メールで注文してしまう
という状態では、せっかく導入したBtoB ECは形骸化してしまいます。これでは、業務効率化も売上向上も実現できません。 つまり、「基幹システムと連携できること」と「BtoB ECとして成功すること」は、決してイコールではないのです。
BtoB ECが果たすべき「2つの役割」
BtoB ECを成功に導くためには、システムが持つべき役割を「守り」と「攻め」の2つに切り分けて考えることが重要です。
@ 業務効率化の役割(守りの側面)
これは、受注処理の自動化や社内業務の効率化を目的とする役割です。基幹システムとのデータ連携により、正確性と安定性を担保します。
• 主な目的:正確な受注処理、基幹データとの整合性確保、社内業務の効率化
• 重視される価値:正確性、安定性
• 主戦場:基幹システム(ERP)
A 営業・マーケティング活動の役割(攻めの側面)
これは、顧客の購買体験を向上させ、売上拡大に貢献する役割です。使いやすいインターフェースや便利な機能を提供し、顧客接点を強化します。例えば、顧客の閲覧・購買履歴にもとづく推奨商品の表示(レコメンド機能)、Webサイト上でのオンライン見積もり、過去の注文履歴からの簡単再注文機能など、営業活動をデジタル上で能動的に支援する仕組みがこれにあたります。
• 主な目的:新規顧客の獲得、既存顧客の満足度向上、アップセル・クロスセルの促進
• 重視される価値:使いやすさ(UI/UX)、柔軟性、拡張性
• 主戦場:ECシステム
BtoB ECの成功には、この「守り」と「攻め」の両輪をバランス良く機能させる設計が不可欠です。
どちらか一方だけでは失敗する典型的なパターン
この2つの役割のどちらか一方に偏ったシステムは、多くの場合、期待した成果を出せずに終わってしまいます。
•「守り(業務効率化)」だけを重視した場合
営業部門から見れば「ただの業務効率化ツール」であり、売上を伸ばす仕組みには見えません。顧客の検討状況も分からず、積極的な提案にもつながらないため、結果として顧客の利用率が上がらずに形骸化します。
•「攻め(営業活動)」だけを重視した場合
見た目や機能は優れていても、基幹システムや既存の受注業務と分断されているため、データの二重入力などが発生します。売上が伸びるほどバックオフィスの手作業が増え、結局は「人を増やさないと回らない」状態に陥り、事業がスケールしません。
これらは、BtoB EC導入で実際に多く見られる失敗パターンです。
役割が全く違う!基幹システムとECシステムの本質的な違い
重要なのは、どちらのシステムが優れているかという議論ではなく、両者の「役割」が根本的に異なるという事実を理解することです。
| 観点 | 基幹システム(ERP) | ECシステム |
| 主な目的 | 社内の情報を整理・管理する | 顧客に情報を届ける・伝える |
| 得意領域 | バックオフィス(社内業務の最適化) | フロントオフィス(顧客接点の強化) |
| 重視する価値 | 正確性・安定性 | 使いやすさ・柔軟性 |
| UI/UX | 業務担当者向け(効率重視) | EC利用者向け(体験重視) |
| 販促機能 | 限定的 | 豊富(検索、レコメンド、特集など) |
| 拡張性 | 堅牢で変更しにくい | 顧客ニーズに合わせて柔軟に改修可能 |
この違いを無視して、「基幹システムの延長線上」でBtoB ECを構築しようとすることが、多くの失敗プロジェクトの根本原因となっているのです。

結論:BtoB EC成功へのロードマップは『戦略的な役割分担』から始まる
BtoB ECは、基幹システムの延長線上では成功しません。しかし同時に、基幹システムを無視したECもまた成り立ちません。
真の成功を収めている企業は、例外なくこの2つのシステムの「棲み分け(役割分担)」を戦略的に設計しています。
• 基幹システムの役割:取引条件や在庫、会計といった業務の「正しさ」を担保する(守り)
• ECシステムの役割:優れた顧客体験(CX)を提供し、「売上」を最大化する(攻め)
この役割分担こそが、成果を出すBtoB ECの要諦です。
具体的にどのように連携すればよいのでしょうか。理想的な形は次の通りです。
1. 基幹システム(ERP):商品マスター、在庫、顧客ごとの取引条件、与信、債権など、業務の根幹となる「正」のデータを一元管理します。
2. ECシステム:商品検索、見積もり、プロモーション、注文、マイページといったすべての「顧客接点」を担い、優れたUI/UXを追求します。
3. API連携:両システム間をAPIでシームレスに連携させます。ECサイトからの注文情報はリアルタイムで基幹システムに渡り、出荷指示や請求処理へとつながります。
この役割分担により、バックオフィスの「業務の正確性・効率性」と、フロントの「優れた顧客体験・売上拡大」を同時に実現する、持続可能なBtoB ECが完成するのです。
これからBtoB ECの導入を検討される際は、ぜひこの「戦略的な役割分担」という視点を持って、最適なパートナーとシステムを選定してください。




















