ASPカートからのリニューアルで「購入率3倍」や「作業負荷の削減」を実現
林純薬工業が構築した情報取得機能で顧客と営業の負荷を軽減する国内業界唯一のECサイトとは

持続可能な社会の実現のため化学技術の可能性に挑戦することを理念に掲げる林純薬工業は、幅広い分野の試験研究をサポートする試薬化成品の製造や電子デバイス産業に貢献する電子材料の製造を軸に事業を展開。この度、試薬化成品を販売するECサイトをリニューアルいたしました。

今回は、林純薬工業のECサイト「試薬ダイレクト」について、ASPカートからのリニューアルの背景やecbeingを選定していただいた理由、用意した機能やその効果などについて林純薬工業株式会社 試薬化成品部 デジタルマーケティンググループ グループ長 田中 奈々氏、同グループ 大西 淳一氏、山下 幸宏氏にお話を伺いました。

林純薬工業株式会社 基本情報

＜社名＞
林純薬工業株式会社
＜創業＞
1904年
＜事業内容＞
分析用試薬、分析用標準品、電子工業用薬品、機能性薬品、高純度工業用薬品、化成品の製造販売
有機化合物の受託合成サービス、受託調液サービス

試薬ダイレクトトップページ

運用にあわせたカスタマイズも自由におこなえるECプラットフォームを採用

ASPで構築したECサイトからリニューアルをおこなうに至った理由とは？

大西氏：まだ同業界の競合が取り組んでいないECという分野において、いち早く取り組むことでリーディングカンパニーとなった当社ですが、ECサイトの会員数、訪問者数、売上が右肩上がりに推移していく中で、当時利用していたBtoB企業向けのASPカートでは制限が多く実現したいことが叶えられないという状況でした。用意された機能の数が少ないという制限だけでなく、当社の事業内容に最適化し、効率的な運用をおこなうためのカスタマイズも仕様上の問題で実装が難しく、リニューアルを検討し始めました。

また、ASPカートのセキュリティレベルでは継続して利用を続けることが難しいと考え、最終的により自由度の高いECカートへの乗り換えを決断しました。

ECサイト構築にecbeingを採用いただいた決め手は何だったのでしょうか？

田中氏：ecbeingさんにコンタクトを取ることになったきっかけは、私たちがECサイトでやりたいことをまとめ、いくつかの企業にお話を聞いていた際に、ecbeingさんと同じようなECサービスを提供されている企業から「それだけのものを実現したいならecbeingさんしかやってくれるところはない」と言われたことからです。

実際にecbeingの営業の方からお話を聞いてみると、いわゆるパッケージ型でありながら自分たちに合わせたカスタマイズも自由におこなうことが可能になっており、お客様に提供するECサイトのプラットフォームとしてecbeingが最適だと判断しました。

ECサイト上で顧客の信頼度の確認や資料提供を実施

厳重な取り扱いが必要な化学製品をECサイトで販売するためにどのようなことをおこなっているのでしょうか。

大西氏：法律上、毒物や劇物を販売する際に必要とされる譲受書の取り交わし以外に、会員登録時と製品購入時にも、お客様に質問に回答してもらうようにすることで、販売をしてもよいお客様かどうか厳格に判断をしています。

リニューアル前は、営業がお客様全員にメールで10個程度の質問を投げかけ、その質問に回答していただくことで販売可能なお客様かどうかの判断をおこなっていました。回答内容によってはさらに追加の質問が必要になるケースもあり、営業とお客様の両方の負担になっていました。

リニューアルによってECサイト上で製品を販売可能なお客様かどうか見極めることができるようになり、営業とお客様の負荷軽減が実現しました。

化学薬品を扱うお客様向けにどのような機能を追加しましたか？

大西氏： ECサイト上から各種資料のダウンロードを可能にする機能を用意しました。

当社の取り扱う試薬化成品は試験研究に利用されるため、製造ロットごとに検査成績書を用意し厳重に管理しています。お客様は製品購入後にこの検査成績書を必要とする場合があるため、簡単に入手できるようにダウンロードフォームをご用意いたしました。

資料ダウンロードフォーム

大西氏：業界大手もまだ取り組んでいない、SDSコードからの資料ダウンロードも同じフォームから可能となっており、多品種多容量の試薬について問い合わせする必要がなく専用フォームからまとめて必要な資料を入手することができる機能をご提供しています。

山下氏：試薬化成品の中には原料入手の都合上、販売価格を設定できないものがあります。そのような一部の製品で、販売価格を照会いただける機能を用意しました。該当の製品は、製品詳細ページ内に設置された「価格を知りたい」というボタンから簡単に価格の照会ができるようになっています。照会後、販売価格にお客様が納得いただけましたら当社側でecbeing機能にて、該当のお客様専用購入ページをご用意し、そこからご注文いただいております。このように価格を設定できない製品も販売可能にしています。

時価製品一例

田中氏：会員限定のダウンロードコンテンツとして、研究者の方とおこなった共同研究について、研究者の先生方に執筆いただいた記事を閲覧いただけるようにしました。サイトを利用される方の多くは研究者ですので、他の研究者の研究は有用なコンテンツとして利用いただけると考えています。また、このコンテンツは既存顧客の満足度向上だけでなく、新規顧客の獲得の面でも活用できています。

他にも、当社が培ってきた独自技術による溶液の調製といった無形サービスも提供することで、研究者や開発技術者、品質管理に携わるお客様に満足いただけるECサイトを構築しました。

無形サービス：ラボダイレクト

ECサイトの構築において苦労したことはありましたか？

大西氏：製品情報の移行や、エンドユーザーと商社の両方に製品を販売する商流への対応、追加した機能への慣れなど、あらかじめ想定していたものもありましたが一筋縄ではいきませんでした。

またリリース後には、拾い切れていなかった課題への指摘やサイトについての要望などをお客様からいただき、対応に追われることもありました。解決のために課題と要望に優先順位をつけ、順に対応することで使いやすいサイトとして品質を高めていきました。

購入率3倍、分析機能の活用でさらなる効果獲得へ

ECサイトリニューアルで得られたメリットについて教えてください。

大西氏：まだ構築したばかりではありますが、リニューアルによって、お客様とのやり取りをECサイト内で一部仕組み化することで作業負荷を軽減したり、多様な機能による内製化の推進、購入に関するポジティブなお問い合わせの増加に加え、購入率がリニューアル前と比較して3倍になるなど、結果が数値としても表れてきています。

山下氏：これまでは管理画面から十分なデータの分析ができませんでした。ecbeingさんの機能でデータの確認や分析ができるようになり、今後、全社的にECサイトを販売ツールとして活用できる期待が高まっています。

今後の展望について教えてください。

大西氏：スタートしたばかりのECサイトですので、実施すべきことはたくさんあります。今後は、お客様に合わせた情報をメルマガなどで提供することによる接点構築や、商社向けの機能追加、利用者の声を聞くためのアンケートの実施などを中心に顧客満足度の向上を図っていく予定です。

ECサイト構築を検討されている方へ一言お願いします。

大西氏：ASPカートとecbeingさんのECプラットフォームの両方の運営経験から言えることとしては、シンプルなECサイトを構築したい場合はASPカートでも問題ないと思いますが、製品点数が多かったり特殊な売り方が必要な製品だったり、製品を売るだけではなく他にもECサイトで実現したいことがあったりする場合はecbeingさんを検討されることをおすすめします。

田中氏：ecbeingさんの魅力は様々な面でフレキシブルに対応いただけるところです。一つの会社の中でシステム、デザイン、バックオフィスといくつものセクションに対応するサービスを持たれていて、それぞれの規模も大きくサポート範囲も広いため、私たちにスキル不足等があっても、安心感を持ってECサイトの構築から運営までおこなうことができます。

山下氏：ecbeingさんはサポートも手厚く、リリース前はもちろん、リリース後も保守メンテナンスに柔軟に対応をしてくださいます。ECサイトを成長させるためにカスタマイズで機能を追加することができる点もecbeingさんの良いところだと思います。

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林純薬工業株式会社
試薬化成品部 デジタルマーケティンググループ グループ長
田中 奈々氏

林純薬工業株式会社
試薬化成品部 デジタルマーケティンググループ
大西 淳一氏

林純薬工業株式会社
試薬化成品部 デジタルマーケティンググループ
山下 幸宏氏

林純薬工業様ECサイト「試薬ダイレクト」はこちら

●取材・文：大川 智暉