
因幡電機産業が二次卸・工事店向け BtoBtoB ECサイトを構築し
取引・流通の活性化に向け始動
取引・流通の活性化に向け始動

電設資材及び産業機器等の卸販売並びに空調部材等の製造販売を通じて「省エネルギー、省資源など地球環境に配慮し、豊かで快適な社会づくりに貢献する」ことを経営の基本理念におく因幡電機産業株式会社は、電設資材業界No.1の専門商社として、照明・空調・音響・通信設備など、建物に欠かせない電気設備を供給、さらにはメーカーとして、全国シェアトップクラスの空調部材や住宅設備・防災製品などの開発も行い、街づくりを支えています。
そんな因幡電機産業株式会社がDX化の一環として、2024年に電設資材卸売りBtoBtoB ECサイト「Yattaro(ヤッタロウ)」を構築しました。
今回は新規で二次卸・工事店向け BtoBtoB ECを構築した背景から戦略・活用状況・効果などについて因幡電機産業株式会社 井上 勝史 氏 杉野 愛璃 氏 吉田 美波 氏にお話しいただきました。
左から
因幡電機産業株式会社 井上 勝史 氏
因幡電機産業株式会社 吉田 美波 氏
因幡電機産業株式会社 杉野 愛璃 氏
・ローコストオペレーション実現・事業領域売上の拡大に向けた環境の構築。
電設資材及び産業機器等の卸販売並びに空調部材等の製造販売を通じて「省エネルギー、省資源など地球環境に配慮し、豊かで快適な社会づくりに貢献する」ことを経営の基本理念におく因幡電機産業株式会社は、電設資材業界No.1の専門商社として、照明・空調・音響・通信設備など、建物に欠かせない電気設備を供給、さらにはメーカーとして、全国シェアトップクラスの空調部材や住宅設備・防災製品などの開発も行い、街づくりを支えています。
そんな因幡電機産業株式会社がDX化の一環として、2024年に電設資材卸売りBtoBtoB ECサイト「Yattaro(ヤッタロウ)」を構築しました。
今回は新規で二次卸・工事店向け BtoBtoB ECを構築した背景から戦略・活用状況・効果などについて因幡電機産業株式会社 井上 勝史 氏 吉田 美波 氏 杉野 愛璃 氏にお話しいただきました。
因幡電機産業株式会社 基本情報
Yattaro(ヤッタロウ)について
<社名>
因幡電機産業株式会社
<設立>
1949(昭和24)年5月
<事業内容>
電設資材の卸販売、空調部材の製造販売
<資本金>
145億円(2025年3月31日現在)
<本社>
大阪市西区立売堀4丁目11-14
工事業者(発注元)と電材店(二次卸)間のDX化
新規でBtoB ECサイト「Yattaro(ヤッタロウ)」を構築した背景と目的について教えてください。
弊社が資材を卸す建築業の現場というのは、すごく人材が枯渇している業界で、新しい人がなかなか定着しないといったことも実情としてあります。
かつ、受発注・見積・問合せといったやり取りに関しても、電話やFAXがメインで、ここ最近メールやLINEが増えてきているものの、まだまだアナログな文化が根強いと言われています。
弊社のお客様は中小企業の方が多く、各中小企業も投資予算のハードルが高く、アナログから脱却するためのシステム投資をしたいというマインド自体もなかなか出づらい環境にありました。
そういった生産性が一向に向上しない課題感があるため、弊社のお客様である中小企業に対しシステム部門の投資を手助けして、工事業者(発注元)―電材店(二次卸)間のアナログ受発注の業務負担軽減・効率化・生産性の向上を目的に「Yattaro(ヤッタロウ)」を構築しました。
計画としては、2019年に推進をおこなう企画室が立ち上がり、しばらくは社内の受発注効率化を2年ほどおこない、社内の一定のツールを揃えることができた流れで外部に目を向け進めることになりました。
もともと構想自体はあり、実は2007年にスクラッチで「Dai2(ダイツー)」と言われる仕組みを構築しており、弊社のお客様だけに受発注や見積の機能を渡しているような形になっていたので、いずれは工事業者様も繋げたいという考えがありました。
ecbeingを選定された理由を教えてください。
一般的なBtoB ECであれば様々な選択肢があったかと思いますが、今回BtoBtoBという難易度の高い要件に対する考え方かつ、商品件数が非常に膨大にあるためそれに耐えうるシステムという点で話していく中で、ecbeingさんでないと難しいのではと考え、選ばせていただきました。
また弊社と近い商材や業種の事例、弊社よりも複雑な商品を取り扱っている事例を豊富にお持ちだったこともあり、ご依頼するにあたって参考にすることもでき、安心感がありました。
多様な商流パターンとBtoBtoBの考え方
一般的なBtoB ECよりも販売方法が複雑になりますが、どのように検討し、商流を決めていったのか、教えてください。
BtoBtoBを進めていくにあたって、気にしなくてはいけないのが「お金の流れ」と「物の流れ」なので、その辺りを整理しながら方向性を決めるような形で構築範囲を決めていくようなやり方をしました。
商流には様々なパターンがありますが、いきなりすべての全パターンを実装していくとなると新規構築サイトなので業務がかなり大変になってしまうことも考慮したうえで、どこまでの範囲を販売管理の中に含めるのかを半年ほどの期間を設けて要件定義をおこないました。
商流の考え方、配送、債権、受注の流れはもちろん、商流の様々なパターンを整理し妥協点やどういった手法にするのかの考え方は苦労しました。
お金の流れでいうと、一般的にパターンが2系統あり、販売形態が「請求」と言われるものと「リベート(手数料)」と言われているものがあります。
請求に関しては、『サイト運営側』と『得意先(卸・代理店)』とのやり取りで、その先は『得意先(卸・代理店)』と『エンド顧客(工事店)』がやり取りというような流れです。
リベートに関しては『サイト運営側』が直接お金のやり取りも『エンド顧客(工事店)』とおこない、その代わり、手数料を『サイト運営側』が『得意先(卸・代理店)』に支払うという流れになります。
この二つのパターンに対してどちらを選ぶかで、方針や必要な機能が決まってくるため一つひとつ確認しながら決めていき、弊社の場合は「請求」の販売形態を選びました。
配送パターンや引取のルールを検討する際に考慮したことを教えてください。
配送に関しては『得意先(卸・代理店)』を経由して『エンド顧客(工事店)』に配送するパターンと、直接『エンド顧客(工事店)』に配送するパターンを検討しており、『得意先(卸・代理店)』に作業負担がかかるのではないかというところを協議させていただき、最終的には弊社の倉庫から直接『エンド顧客(工事店)』に配送するパターンを選んでいます。
ただ、「Yattaro(ヤッタロウ)」をご利用いただく代理店が増えれば、代理店側のニーズとして自社倉庫在庫を使用して配送したいという話も今後出てくる可能性はありますので、そういった部分は臨機応変に協議できればと考えています。
引き取りに関しては、特段、元々の運用と大きく変えたところはなく、既存のやり方をベースにそのままシステムに落とし込んでいきました。
また『エンド顧客(工事店)』が直接弊社の物流センターに取り比来るケースも多々ありますので、「Yattaro(ヤッタロウ)」でも仕様として対応できるようにしています。
通常の管理画面とは別に代理店専用の管理画面もご用意していますが、その経緯と専用で設けることによって実現できたことを教えてください。
代理店も自社に一定数の在庫を抱えていますので、そういった場合、工事業者から発注が来た時に自社の倉庫から出すといった人間的な判断が1つの発注レコードに対して発生します。
それを一元管理できるような管理画面があった方がいいという考えのもと、ecbeingさんからのご提案で実現した形になります。
その代理店専用の管理画面で工事店の管理や、それこそ債権の管理もできる仕様になっています。
代理店専用の管理画面がないと複数の工事業者さんからの発注を効率的にさばくことが難しくなりますので、重要な機能だと感じています。
社内外のローコスト化と売上拡大へ
BtoB ECを構築したものの、今までと業務フローが変わることに抵抗があり、理解を得ることに苦労するケースが多いですが、御社の場合いかがだったでしょうか。
得意先への普及活動はこれからにはなりますので今後の話にはなりますが、弊社の代理店には既存の弊社の受発注システム「Dai2(ダイツー)」を活用していただいている得意先とそうでない得意先の大きく二つに分かれます。
「Dai2(ダイツー)」を活用していただいている得意先であれば、高い割合で「Yattaro(ヤッタロウ)」もご利用いただけると思っています。ただ「Dai2(ダイツー)」を活用していただけていない得意先の場合は、一定数の壁があると思っています。
そもそも「Dai2(ダイツー)」をご利用いただけていない代理店は自社の基幹システムに受注入力をしないといけないため活用してもらえていない中、工事事業者が「Yattaro(ヤッタロウ)」で注文をしてくるので、必然的に因幡電機産業で発注せざるおえない形になります。
そのような中で代理店にどのように納得してもらうかを考えた時に、電材卸をヒアリングしてわかったこととして、代理店の基幹システムの伝票の形にしたデータを因幡電機産業から送る形であれば、特段問題ない意向を示した代理店が一定数いらっしゃいましたので、「Yattaro(ヤッタロウ)」から個社ごとにCSVでA社仕様、B社仕様のような形でダウンロードできるように今後なると、得意先の入力作業がなくなることはもちろん、売るという作業自体がなくなりますのでよりニーズが高まるのではないかと思っています。
システムを構築したことによる今後期待したい効果について教えてください。
まだテストの段階なので満額回答は難しいですが、仮に稼働が進んでいるという前提で達成できることとしては、社内のローコストオペレーションが実現できると考えています。
また弊社の得意先でいうと「Yattaro(ヤッタロウ)」を軸に新規得意先の獲得にも繋がり、事業領域売上の拡大、利益の拡大みたいなものはこのBtoBtoB ECサイトを通じてできるのではないかと考えています。
解決できることでいうと業界全体の不要なやり取りは減らせると考えています。
ちょっと先の話になりますが、問合せ・見積もり等のデータベースができるのであれば、同じような商品の値段を何回も確認するみたいなことを「Yattaro(ヤッタロウ)」使えば使うほどなくなってくると思います。
今後、取り組んでいかれたい構想や、戦略をお聞かせください。
まずはしっかり基幹連携をおこなうのが最初のステップだと考えています。
商品データベースも増やしていますので、「Yattaro(ヤッタロウ)」にしかるべきタイミングで掲載アイテムを増やしていくことを、まずしっかり土台を固めるという意味でもやっていきたいと思っています。
将来的な話で言うと、データの活用のところになってくるのかなと思います。顧客から得られたデータを仕入れ先に提供するなり、データ起点のビジネスをやっていきたいとも考えているところです。
ありがとうございます。これからECを構築したい方や、サービスを検討している方へアドバイスをお願いいたします。
社内のシステムや会社の商流的にEC・DX化を諦めていらっしゃる企業さんもまだまだ多いかと思います。まずはあきらめずにデジタル化が一般的な今の時代に合わせて早急に動けるかが重要になってきますので、そういった時にecbeingさんであれば枠にとらわれず、並走して話を進めていただけるので安心かと思います。
――
因幡電機産業株式会社 井上 勝史 氏
因幡電機産業株式会社 吉田 美波 氏
因幡電機産業株式会社 杉野 愛璃 氏
●取材・文:塩見 駿介
