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貿易のリスクを軽減してくれるL/C(信用状)とは?
信用状取引のメリットと取引の仕組みを解説

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更新日:   公開日:

海外企業との取引は、日本国内での取引に比べて様々なリスクが伴います。 こうした貿易取引におけるリスクを効果的に軽減してくれるのが、L/C(信用状)です。 L/C(信用状)は、国際貿易において安全性や信頼性を確保するために広く活用されている決済方法です。
この記事では、L/C(信用状)が貿易取引においてどのような役割を果たしているのか、またL/C(信用状)を利用するメリットや仕組みについて詳しく解説します。 海外との取引を検討している方は、L/C(信用状)の基礎知識をしっかり押さえて、安全かつ円滑な貿易を実現しましょう。

海外企業との取引は、日本国内での取引に比べて様々なリスクが伴います。 こうした貿易取引におけるリスクを効果的に軽減してくれるのが、L/C(信用状)です。 L/C(信用状)は、国際貿易において安全性や信頼性を確保するために広く活用されている決済方法です。
この記事では、L/C(信用状)が貿易取引においてどのような役割を果たしているのか、またL/C(信用状)を利用するメリットや仕組みについて詳しく解説します。 海外との取引を検討している方は、L/C(信用状)の基礎知識をしっかり押さえて、安全かつ円滑な貿易を実現しましょう。


L/C(信用状)とは?なぜLCが必要?

まず、L/C(信用状)の概要と重要性について解説していきます。

L/C(信用状)とは

L/C(信用状)とは、「Letter of Credit」の略称で、日本語では「信用状」と呼ばれています。L/C(信用状)は、主に国際貿易取引において利用される決済方法の一つで、輸入者(買い手)が自国の銀行に依頼して発行してもらう書類です。 L/C(信用状)を利用した取引では、単純に輸入者と輸出者の2者間だけでなく、輸入者側の銀行(発行銀行)および輸出者側の銀行(通知銀行または買取銀行)を介することで、合計4者間での取引となります。これにより、L/C(信用状)は輸出者に対して「銀行が代金の支払いを保証する」という形となり、より安全で信頼性の高い貿易取引を実現することが可能です。 L/C(信用状)を活用することで、国際取引のリスクを大きく軽減できるため、多くの企業が貿易決済にL/C(信用状)を採用しています。

L/C(信用状)取引の主な種類

L/C(信用状)取引には、貿易形態や取引リスク、契約内容に応じてさまざまな種類があります。代表的なL/C(信用状)の種類は以下の通りです。


1. 取消不能信用状(Irrevocable L/C)
現在の国際取引で主流となっているのが取消不能信用状です。一度発行されると、発行銀行・輸出者・輸入者の三者全員の同意がない限り内容の変更や取り消しができません。輸出者にとって高い安全性があります。

2. 取消可能信用状(Revocable L/C)
発行後でも発行銀行や輸入者の意思で、いつでも内容を変更・取消できる信用状です。しかし、輸出者にとってはリスクが高いため、近年ではほとんど利用されていません。

3. 譲渡可能信用状(Transferable L/C)
輸出者(第一受益者)が他の第三者(第二受益者)へ信用状の権利を譲渡できるタイプのL/C(信用状)です。商社や仲介業者を介した取引でよく利用されます。

4. 確認信用状(Confirmed L/C)
輸入地の発行銀行による信用状に加え、輸出地の銀行(確認銀行)が支払い保証を追加するL/C(信用状)です。発行銀行の信用力に不安がある場合でも、輸出者はより安心して取引できます。

5. 回転信用状(Revolving L/C)
一定期間内に複数回の取引や継続的な取引が発生する場合に利用されるL/C(信用状)です。契約ごとに新たな信用状を発行する手間が省けます。

6. 引受信用状(Stand-by L/C)
通常の支払いが行われなかった場合に限り、発行銀行が支払いを保証するL/C(信用状)です。保証状としての性格が強く、国内外で幅広く利用されています。

7. バック・トゥ・バック信用状(Back to Back L/C)
商社や仲介業者が自分宛てのL/C(信用状)を担保として、さらに別のL/C(信用状)を発行する際に利用されます。主に三国間貿易など複雑な取引で使われます。


このように、L/C(信用状)取引には様々な種類があり、それぞれの取引形態やリスクに応じて最適なタイプを選択することが重要です。

何のためにL/C(信用状)取引を行う?

では、なぜわざわざ銀行を介してL/C(信用状)取引を行うのでしょうか。それは、貿易におけるリスクを効果的に軽減するためです。長年の取引実績がある信頼できる取引先同士であれば、輸入者と輸出者の2者間だけでスムーズな取引が可能です。しかし、初めて取引を行う海外企業や、十分な信頼関係が築けていない取引先の場合、様々なリスクが発生します。
たとえば、輸入者にとっては「代金を支払ったのに商品やサービスが届かない」というリスクがあり、輸出者にとっては「商品を出荷したのに代金が支払われない」というリスクが伴います。こうした取引リスクを回避するために利用されているのがL/C(信用状)です。
L/C(信用状)取引では、万が一輸入者が支払いできなくなった場合でも、L/C(信用状)を発行した銀行が代金の支払いを保証します。このように、L/C(信用状)の仕組みによって、輸入者・輸出者の双方が安心して国際取引を行うことができます。
ただし、L/C(信用状)取引には注意点もあります。L/C(信用状)を利用する際には、銀行への手数料が発生するほか、L/C(信用状)を介さない直接取引に比べて手続きや書類のやり取りに時間がかかる場合があります。

L/C(信用状)取引のメリット・デメリット

次に、L/C(信用状)取引のメリット・デメリットを説明します。

L/C(信用状)取引のメリット

L/C(信用状)取引には、国際貿易におけるさまざまなリスクを軽減できるという大きなメリットがあります。主なメリットは以下の通りです。

1.支払いの安全性が高まる
L/C(信用状)は、発行銀行が支払いを保証する仕組みのため、輸出者は確実に代金を受け取ることができます。万が一、輸入者が支払い不能となった場合でも、銀行が代金を立て替えて支払うため、未回収リスクを大幅に減らせます。

2.取引の信頼性が向上する
L/C(信用状)は、国際的に認知された決済手段です。取引先が初めての場合や信頼関係が十分でない場合でも、L/C(信用状)を利用することで安心して取引ができます。

3.資金調達の手段として活用可能
輸出者は、L/C(信用状)を担保に銀行から資金を調達することも可能です。これにより、キャッシュフローの改善や事業拡大に役立てることができます。

4.取引条件の明確化
L/C(信用状)では、必要な書類や納期、支払い条件などが明確に記載されます。これにより、誤解やトラブルを未然に防ぐことができます。

5.国際貿易の円滑化
L/C(信用状)は、複数の国・銀行が関与することで取引の透明性や安全性を高め、スムーズな国際取引を実現します。

このように、L/C(信用状)取引は国際貿易において安全性・信頼性・資金調達など多くのメリットを持つ決済方法です。リスクを最小限に抑えた確実な取引を目指すなら、L/C(信用状)の活用が非常に有効です。

L/C(信用状)取引のデメリット

L/C(信用状)取引は国際貿易において多くのメリットを持つ一方で、いくつかのデメリットや注意点も存在します。主なL/C(信用状)取引のデメリットは以下の通りです。

1.手数料やコストが発生する
L/C(信用状)を利用する際には、発行銀行への発行手数料や、書類取り扱いのための費用など、さまざまなコストがかかります。これらのコストは、取引額や銀行ごとに異なりますが、直接取引よりも費用負担が増える点に注意が必要です。

2.手続きが複雑で時間がかかる
L/C(信用状)取引では、多くの書類作成や銀行とのやりとりが必要です。書類の内容に不備があると、支払いが遅れる原因となるため、迅速な対応が求められます。また、L/C(信用状)を発行してから実際に決済が完了するまでに時間がかかるケースもあります。

3.書類不備によるリスク
L/C(信用状)取引では、銀行は提出された書類のみを確認して支払いを行います。必要書類に不備や記載ミスがあると、L/C(信用状)条件を満たさないと見なされ、代金が支払われない場合があります。細かい書類チェックや管理が必要です。

4.柔軟な対応が難しい
L/C(信用状)取引は、契約内容や信用状条件に厳格に従う必要があります。取引途中で条件を変更したい場合や、イレギュラーな対応が求められる場合に柔軟性が低い点がデメリットです。

このように、L/C(信用状)取引は安全性や信頼性が高い一方で、コストや手続き面の負担、書類管理の煩雑さなどのデメリットも存在します。L/C(信用状)を利用する際は、これらのポイントを十分に理解した上で、適切に対応することが重要です。

L/C(信用状)取引の流れ

最後に、L/C(信用状)取引を行う際の実際の流れについて説明します。

L/C(信用状)取引の7つのステップ

L/C(信用状)取引は、複数のステップを経て安全かつ確実に貿易決済を行う仕組みです。ここでは、L/C(信用状)による取引の流れを7つのステップで分かりやすく解説します。

@ 輸出者・輸入者間で売買契約を締結
まず、輸出者(売り手)と輸入者(買い手)で商品やサービスに関する売買契約を結びます。この際、取引条件やL/C(信用状)による決済方法、納期、必要な書類などを明確にしておくことが重要です。

A 輸入者が銀行にL/C(信用状)発行を依頼
契約締結後、輸入者は自国の銀行(発行銀行)にL/C(信用状)の発行を依頼します。依頼時には、契約内容や支払い条件、L/C(信用状)の有効期限などを指定します。

B 発行銀行が輸出地の銀行を通じてL/C(信用状)を輸出者に送付
輸入者の銀行は内容を確認し、問題がなければL/C(信用状)を発行し、輸出者の取引銀行(通知銀行や買取銀行)を通じて輸出者に通知します。国際的なL/C(信用状)取引では、「信用状統一規則(UCP)」が適用され、L/C(信用状)と売買契約は別契約とされる(独立抽象性の原則)、銀行は書類のみを審査する(書類取引の原則)などのルールがあります。

C 輸出者が商品を出荷し、必要書類を銀行に提出して代金を受け取る
輸出者はL/C(信用状)の内容に従い、商品を船積み(出荷)します。出荷後、請求書や船荷証券など必要な書類を輸出地の銀行に提出します。銀行が書類を確認し、条件を満たしていれば、輸出者は代金を受け取ることができます。

D 輸出地の銀行が輸入地の銀行に書類を送付し、代金を受領
輸出地の銀行は、輸出者から受け取った船積書類や為替手形を輸入地の銀行に送付します。輸入地の銀行が書類を審査し、問題がなければ、輸出地の銀行へ代金を支払います。

E 輸入地の銀行が輸入者に書類到着を通知し、代金の支払いを要求
輸入地の銀行は、書類が到着したことを輸入者に通知し、契約に基づいて代金の支払いを求めます。

F 輸入者が代金を支払い、商品を引き取る
輸入者は銀行に代金を支払い、船積書類を受け取ります。これらの書類を船会社に提出することで、商品を無事に引き取ることができ、L/C(信用状)取引は完了となります。

L/C(信用状)取引は、輸出者・輸入者双方のリスクを大幅に軽減し、安全な国際貿易を実現するための有効な決済方法です。各ステップをしっかり理解し、L/C(信用状)を活用した安心・確実な貿易取引を行いましょう。

まとめ

L/C(信用状)取引は、手数料を支払うことで取引リスクを大幅に軽減できる仕組みです。特に初めての海外取引先との取引や、信頼関係が十分に築けていない場合には、L/C(信用状)を活用することで安心して取引を進めることができます。必要に応じて、L/C(信用状)取引を上手に取り入れましょう。

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