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EDI(電子データ交換)とは?仕組み・メリット・最新トレンドをわかりやすく解説

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更新日:   公開日:

EDI(イーディーアイ/Electronic Data Interchange)は、企業同士が「注文書」や「請求書」などの取引データを電子的にやり取りするための仕組みです。これまでのFAXや郵送といった紙のやり取りに比べて、業務効率のアップやコスト削減、ミス防止など多くのメリットがあります。
本記事では、EDIの仕組みや種類、導入メリット、注意点、さらには近年注目されるWeb-EDIや、EDIからの移行先として注目されるBtoB ECとの違いまで詳しく解説します。

サクッと理解!本記事の要点まとめ

EDIとは何ですか?

EDIとは、Electronic Data Interchange(電子データ交換)の略で、企業同士が取引に必要な情報(注文書、納品書、請求書など)を、紙ではなく電子データでやりとりする仕組みです。
たとえば、A社がB社に商品を発注する場合、FAXで紙を送るのではなく、EDIを使えばシステム同士が自動でデータをやりとりできます。 システム間で直接データを送信することで、手作業の手間を省き、業務の正確性とスピードを向上させます。

EDIとWeb-EDIの違いは何ですか?

EDIは電子データ交換の総称です。Web-EDIは、インターネットブラウザを利用するEDIの一種で、導入コストが低くテレワークに適しているという特徴があります。

ISDN回線を使った従来のEDIはいつまで使えますか?

INSネットの「ディジタル通信モード」は2024年1月から段階的にサービスを終了しています。移行猶予として提供されている補完策(切替後のINSネット上のデータ通信)を含め、INSネットのサービス提供自体が2028年12月31日をもって終了すると発表されているため、それまでにインターネット回線を利用するWeb-EDIなどへの移行が必要です。

EDIとデジタルインボイス(Peppol)はどう違うのですか?

EDIは受発注をはじめとする企業間の取引データ全般を交換する仕組みであるのに対し、デジタルインボイスは請求情報のやり取りを対象とした仕組みです。日本ではデジタル庁がJapan Peppol Authorityとして、国際標準仕様Peppolをベースにした日本標準仕様「JP PINT」を管理しています。

EDIとBtoB ECはどちらを選ぶべきですか?

目的によって異なります。既存の取引先との業務効率化が最優先であればEDIが適しています。一方で、業務効率化に加えて、新規顧客の獲得や売上向上も目指したい場合は、BtoB ECが有力な選択肢となります。自社の事業戦略に合わせて選ぶことが重要です。

EDI(イーディーアイ/Electronic Data Interchange)は、企業同士が「注文書」や「請求書」などの取引データを電子的にやり取りする仕組みです。紙やFAXのやり取りに比べて、業務効率の向上、コスト削減、入力ミスの防止といった効果があります。

いま多くの企業にとって差し迫った問題は、EDIそのものの導入検討ではなく回線の期限です。従来のEDIの多くが利用してきたISDN(INSネット)は、NTT東日本・西日本が2028年12月31日をもってサービス提供を終了すると発表しており、移行猶予として提供されている補完策も同日で終了します。INSネットを利用しているEDIは、それ以降使い続けることができません。
本記事では、この移行期限の正確な内容から、EDIの仕組みと種類、導入効果、そして移行先となるインターネットEDI・Web-EDI・BtoB ECの違いまで解説します。

EDIの2028年問題とは:終了するのはEDIではなくINSネット

「EDIが2028年に使えなくなる」という言い方をよく見かけますが、これは正確ではありません。2028年12月31日に終了するのはNTT東日本・西日本の回線サービス「INSネット」であって、EDIという仕組み自体に期限はありません。インターネット回線を利用するEDIは、この期限の対象外です。

つまり、自社が影響を受けるかどうかは、EDIの種類や通信手順の名前では判断できません。見るべきはいま契約している回線がINSネットかどうか、この一点です。


INSネットを利用しているEDIの利用期限は2028年12月31日

ISDN(INSネット)回線を利用してデータ交換を行っているEDIは、2028年12月31日をもって利用できなくなります。移行猶予として提供されている「切替後のINSネット上のデータ通信(補完策)」も同日で終了するため、INSネット上での代替手段はありません。新規申込の受付はすでに2024年8月31日で終了しています。
影響を受けるのは「回線としてINSネットを使っているEDI」です。EDI全般に一律の終了日があるわけではなく、インターネット回線を利用するEDIはこの期限の対象外です。

ディジタル通信モードは2024年1月から段階的に終了

従来のEDIの多くは、NTT東日本・西日本のISDN(INSネット)回線を利用してきました。このうちデータ通信に使われる「ディジタル通信モード」は、固定電話網のIP網移行にともない、2024年1月から地域ごとに段階的にサービスを終了しています。

終了後の移行猶予として提供されているのが「切替後のINSネット上のデータ通信(補完策)」です。ただし補完策は従来のディジタル通信モードと同一のサービスではなく、伝送遅延が生じて処理時間が増大するなど、利用する機器によっては通信に影響が発生する可能性があるとされています。すでに補完策で運用している企業も、通信品質の面で従来と同じ状態にはありません。

INSネット自体も2028年12月31日で終了

NTT東日本・西日本は、利用者の減少と2029年以降のサービス提供に必要な設備部材の枯渇を理由に、INSネット自体のサービス提供を2028年12月31日をもって終了すると発表しました。補完策もこの日で終了します。

つまり、INSネット回線を利用したEDIは2029年以降運用できません。インターネット回線を利用するEDI(AS2・ebMS・JX手順などによるシステム間連携型やWeb-EDI)、あるいはBtoB ECへの移行が必要になります。

出典:NTT東日本『INSネットの新規申込受付・提供終了について』/NTT西日本『「INSネット」をご利用の事業者さまへ』

自社のEDIが2028年問題の対象か確認する3項目

判定は回線を見るしかありません。カタログや社内資料に書かれたEDIの種類名や通信手順名からは分かりません。次の3点を順に確認してください。


  • 1. 回線契約に「INSネット64」「INSネット1500」が含まれているか
    NTT東日本・西日本との回線契約書か、請求明細で確認できます。「ISDN」という表記でも同じです。含まれていれば対象です。
  • 2. 通信手順名ではなく、実際の接続回線を確認する
    「H手順だから終了する」というものではありません。H手順はISDN回線でも専用回線でも使え、TCP/IP対応も後から追加されています。手順名では判断できないので、EDIベンダーかシステム部門に、実際に何の回線でつないでいるかを聞いてください。
  • 3. 補完策を利用している場合も移行が必要
    ディジタル通信モードの終了時に「切替後のINSネット上のデータ通信(補完策)」へ切り替えた場合、いま問題なく通信できているため対応済みだと思われがちです。補完策もINSネットの一部で、2028年12月31日に終わります。

どれにも該当しなければ、期限の対象ではありません。ebMS・AS2・JX手順などでインターネット回線を使っている構成がこれにあたります。

移行に必要な期間の目安

EDIの移行は、自社のシステム切り替えだけでは完了しません。取引先にも新しい仕組みへ移ってもらう必要があるため、社内対応より取引先調整のほうが長期化します。移行にあたって必要となる工程は、おおむね次のとおりです。

  • 現在利用しているEDIの通信手順・データ形式・接続先の棚卸し
  • 移行先(システム間連携型インターネットEDI/Web-EDI/BtoB EC)の選定と基幹システム連携の設計
  • 取引先への説明と、移行スケジュールの合意
  • 並行運用期間を設けたうえでの段階的な切り替え
  • 旧EDIの停止

取引先数が多い企業では、この全工程に1年以上を要するケースがあります。2028年12月という期限から逆算すると、着手のタイミングは早いほうが選択肢が広がります。

EDI(電子データ交換)とは

EDIとは、Electronic Data Interchange(電子データ交換)の略で、企業間の商取引に関わる書類(注文書、納品書、請求書など)を、あらかじめ取り決めたデータ形式と通信手順に基づいて電子的に交換する仕組みを指します。形式が業界標準である必要はありません。取引先ごとに個別に取り決める「個別EDI」もEDIに含まれます。

GS1 Japan(一般財団法人流通システム開発センター)は、EDIを通信プロトコルとメッセージの取り決めに基づくデータ交換として整理しています。つまりEDIの要件は「通信手順」と「データ形式」を事前に取り決めておくことであり、人手が介在するかどうかは形態によって異なります。

システム間で自動連携する方式では、A社がB社に発注する際、FAXを送る代わりにシステム同士が直接データをやりとりします。一方、ブラウザ型のWeb-EDIでは、担当者がログインして画面上で入力したり、データをダウンロードして基幹システムに取り込んだりする運用が残ることがあります。

出典:GS1 Japan『EDIとは?』

EDIで交換される主なメッセージ

EDIで交換されるのは、受発注から支払いまでの一連の取引データです。流通BMSで標準化されている代表的なメッセージは、次の6種類です。


● 発注
● 出荷
● 受領
● 返品
● 請求
● 支払


取引の流れに沿って、発注から支払いまでを一貫して電子データでやりとりできる点がEDIの特徴です。なお、契約書などの文書も電子的に交換することは可能ですが、EDIの典型的なメッセージは上記のように反復して発生する取引データです。

出典:GS1 Japan『流通BMS』

EDIサービスの「データ変換機能」

企業ごとに利用しているシステムやデータ形式は異なります。この違いを吸収するのが「データ変換機能」です。ただしデータ変換はEDIの必須要件ではなく、EDIサービスやEDIミドルウェアが備える機能という位置づけです。変換機能を持つ製品を利用すれば、文字コードやフォーマットが異なっていても自社が扱える形式に変換できます。

変換できるデータ 概要
文字コード 企業ごとに異なるJISやUnicodeなどを自社の文字コードに変換
データコード 同一商品のコードが異なる場合に自社のデータコードに変換
レイアウト XML形式・CSV形式・固定長形式などのデータ形式を自社のシステムで扱えるレイアウトに変換

EDIの種類と分類軸

EDIの「種類」を語るとき、取り決めの範囲提供形態アクセス方式通信手順という4つの異なる軸が混在しがちです。INSネット終了の影響を正しく判断するには、この軸を分けて考える必要があります。影響を受けるのは利用している回線がINSネットかどうかという点のみで、他の3軸は期限とは無関係です。

軸1:取り決めの範囲(個別EDI/標準EDI)

区分 特徴
個別EDI 取引先ごとにルールやデータ形式を個別に決めて使う方法。歴史的には大企業を中心に、自社独自の仕様で取引先と接続する形で広まりました。受注側は接続先ごとに個別対応が積み上がります。
標準EDI 業界や団体で決めた共通のルールでやりとりする方法。多くの取引先と同一の仕様でデータ交換できます。流通業界の「流通BMS」などが代表例です。

軸2:提供形態(自社構築/業界VAN/クラウドEDI)

区分 特徴
自社構築 自社でEDIシステムを保有・運用する形態。
業界VAN 特定の業界向けに提供されるEDIネットワークサービス。流通業界や医薬品業界などで利用されています。
クラウドEDI クラウド上で提供されるEDIサービス。ブラウザでの操作だけでなく、AS2・ebMS・JX手順などによるシステム間の自動連携にも対応する製品があります。

軸3:アクセス方式(システム間連携型/ブラウザ型)

EDIを利用する側から見た操作方法の違いです。「Web-EDI」はこのブラウザ型を指す言葉で、提供形態を指す「クラウドEDI」とは別の概念です。

区分 特徴
システム間連携型 基幹システムとEDIがデータを直接やりとりする方式。人手の介在がなく、大量・定型・反復の取引に適しています。
ブラウザ型(Web-EDI) ブラウザ上で画面を操作してデータをやりとりする方式。専用ソフトが不要で導入しやすく、テレワークにも対応しやすい一方、担当者による入力やダウンロードといった手作業が残る場合があります。取引先ごとに画面が異なると、受注側に「多画面問題」が生じます。

軸4:通信手順と、利用している回線

誤解が多いのがこの軸です。H手順を使っているEDIが一律に2028年で終了するわけではありません。
日本の流通業界で使われてきた通信手順には、電話回線・DDX回線を使うJ手順と、ISDN回線・専用回線を使うH手順があります。H手順にはその後、オープンシステム対応としてTCP/IPが追加されました。つまりH手順はISDN専用ではないため、同じH手順でも専用回線やTCP/IPでつないでいる構成なら、INSネット終了の影響は変わってきます。手順名ではなく、契約している回線を見る必要があります。

通信手順 適用回線 通信速度 INSネット終了の影響
J手順 電話回線/DDX回線 2,400bps INSネットは使わないが、旧来の低速回線に依存
H手順 ISDN回線/専用回線
(TCP/IP対応が追加)
64kbps INSネットを使う構成は2028年12月31日で利用不可。専用回線やTCP/IP利用の構成は要確認
ebMS/AS2
(サーバ−サーバ)
インターネット ブロードバンド 影響なし
JX手順
(クライアント−サーバ)
インターネット ブロードバンド 影響なし

重要なのは、標準EDIであってもインターネット回線を利用するものがあるという点です。流通BMSは、サーバ−サーバ間の手順として国際標準の「ebMS」「AS2」を、クライアント−サーバ間の手順としてSOAP-RPCを使用した「JX手順」を採用しており、いずれもインターネット上で動作します。「標準EDIだからISDNに依存している」という理解は誤りです。

出典:GS1 Japan『通信制御手順』

レガシーEDIとインターネットEDIの違い

電話回線・ISDNを利用する従来型を「レガシーEDI」、インターネット回線を利用する形を「インターネットEDI」と総称します。ただしインターネットEDIにはサーバ間の自動連携もブラウザ操作も含まれるため、運用形態は一様ではありません。

項目 レガシーEDI (旧) インターネットEDI (新)
通信回線 電話回線・ISDN インターネット (光回線等)
通信手順 J手順・H手順 ebMS・AS2・JX手順など
通信速度 低速 (2,400bps〜64kbps) 高速 (ブロードバンド)
運用形態 専用端末・専用ソフト サーバ間の自動連携、またはブラウザ操作
セキュリティ 回線の秘匿性に依存 通信の暗号化(SSL/TLS等)や電子証明書
INSネット終了の影響 INSネットを使う構成は2028年12月31日で利用不可 INSネット終了に伴う一律の期限はない

『GS1 Japan(一般財団法人流通システム開発センター)』『経済産業省』『NTT東日本・西日本』などが公開している情報を基に作成


なお、EDIの歴史をたどると、1970年代に大企業が独自ルールで使う「個別EDI」から始まり、1980年代に業界標準EDI、1990年代にWeb-EDIが登場しました。ISDNの終了は、この50年以上続いた仕組みの通信基盤が入れ替わる転換点にあたります。

経済産業省『受発注のデジタル化に関する推進方策報告書』を基に作成

EDIを導入する3つのメリット

EDIの導入効果は、業務効率化・人的ミスの低減・コスト削減の3つに整理できます。中小企業庁も、受発注業務がEDIにより標準化されることで「業務効率アップでコスト削減」「人的ミスを軽減」「過去現在の取引データの検索の簡素化」が実現できるとしています。

出典:中小企業庁『中小企業共通EDI』


■1.業務の効率化
システム間連携型であれば、受発注データの入力や帳票の作成・送付といった手作業を自動化でき、担当者の業務負荷が軽減されます。取引先ごとに用意していた専門端末や用紙が不要となり、伝票をデータで一元管理できるため、業務スピードの向上やリードタイムの削減にもつながります。ただしブラウザ型のWeb-EDIでは、前述のとおり画面への入力やデータのダウンロードといった作業が残ることがあり、削減幅は運用形態によって変わります。

■2.人的ミスの低減
システム間でデータを直接受け渡す構成にすれば、人の手によるデータ入力が不要になり、入力ミスや転記漏れといったヒューマンエラーを防げます。ブラウザ型で手入力が残る場合でも、必須項目のチェックや商品マスタとの突き合わせをシステム側で行うことで、FAXや電話に比べて誤りは減ります。

■3.ランニングコストの削減
ペーパーレス化により、用紙代・印刷代・郵送費といった直接的なコストが削減されます。帳票の保管スペースや管理コストも不要になります。なお印紙税については、すべての紙帳票に課税されるわけではありませんが、課税文書に該当する書面を電子化する場合は印紙税の負担も削減できます。


FAX受注をBtoB EC+基幹連携へ移行すると、どの程度工数を削減できるか

ecbeingが支援したアルパインマーケティング株式会社では、受注業務の工数が全社で1日あたり66時間から32時間へ、およそ半分になりました。担当者は11名から4名です。


移行前の同社は、全国7拠点で受注を兼務する担当者11名が、1人あたり1日6時間ほどを受注業務に使っていました。販売店からの注文はすべてFAXで届き、それを基幹システムに転記して受注登録し、納期回答を再びFAXで返す。加えて在庫や納期を尋ねる電話にも対応していたためです。

BtoB ECサイトを構築して基幹システム(SAP)と連携させた後、この業務にあたる人数は4名になり、工数は1日あたり32時間程度まで下がりました。切り替えは短期で、稼働から2ヶ月で受注のEC化率99%に達しています。


ひとつ注意点があります。この数値はEDIの導入事例ではなく、FAX受注をBtoB ECへ移行した事例のものです。ただ「人が転記していた工程をシステム間の受け渡しに置き換える」という構造はEDI移行と同じなので、削減規模の目安には使えます。裏返すと、基幹システムとの連携まで組まなければ転記工程は残ります。その場合、ここまでの削減にはなりません。

出典:アルパインマーケティング様 導入インタビュー

EDIが求められている5つの背景

ISDN終了という期限のほかに、EDIやその後継の仕組みが求められている背景が5つあります。

1.BtoB取引のEC化率が43.1%に到達

2019年から2024年までのBtoB取引におけるEC化率についてのグラフ

経済産業省の調査によると、2024年の日本国内のBtoB-EC(企業間電子商取引)市場規模は514兆4,069億円(前年比10.6%増)に拡大し、EC化率は43.1%(前年比3.1ポイント増)となりました。企業間取引の4割超がすでに電子化されており、紙やFAXでの受発注を続ける企業は、取引先から電子化を求められる側になりつつあります。

出典:経済産業省 商務情報政策局 情報経済課(2025)令和6年度 電子商取引に関する市場調査 報告書

2.DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進

政府は産業界のDXを推進しており、経済産業省はDXを「データとデジタル技術を活用して製品・サービス・ビジネスモデルを変革し、業務や組織、プロセスまで変革して競争上の優位性を確立すること」と定義しています。

この定義に照らすと、EDIを入れてデータのやりとりに切り替えただけでは、デジタル化の段階にとどまります。受発注の進め方そのものを見直したり、溜まった取引データを分析して判断に使ったりするところまで進んで、はじめてDXと呼べます。EDIの導入はその出発点です。

出典:経済産業省ミラサポplus『「デジタル・トランスフォーメーション」DXとは何か? IT化とはどこが違うのか?』

3.電子インボイス(Peppol/JP PINT)との連携

2023年10月に開始されたインボイス制度を受け、EDIの役割は「受発注」だけでなく「請求」まで含めたデジタル連携へと広がっています。

デジタル庁は日本のPeppol Authority(Japan Peppol Authority)として、国際標準仕様「Peppol(ペポル)」をベースにしたデジタルインボイス標準仕様「JP PINT」を管理しています。2026年6月8日にVer. 1.1.3へ更新されました。
JP PINTはあくまで請求書の標準仕様で、決済そのものを実行する規格ではありません。ただ受発注のEDIと請求のデジタルインボイスを同じ標準でつなげれば、バックオフィス側のデータ連携は一段進みます。

出典:デジタル庁『JP PINT』

4.中小企業共通EDIと「多画面問題」

受注側の中小企業は、発注企業ごとに異なるWeb-EDIの画面を使い分けなければならない「多画面問題」を抱えてきました。取引先が10社あれば10通りの画面と操作手順を覚える必要があり、ブラウザ型のWeb-EDIで取引する相手が増えるほど受注側の負担が増える構造です。

この課題を受け、国連CEFACTに準拠した「中小企業共通EDI」の標準仕様が策定されました。実証事業では、受発注企業ともに約50%程度の業務時間削減効果が確認されています。標準仕様はITコーディネータ協会より提供され、対応するクラウドEDIサービスも登場しています。

出典:つなぐITコンソーシアム『中小企業共通EDIとは』

5.産業構造の変化

コロナ禍を境に、非接触での取引や、押印・印紙の省略が一気に広がりました。出社しないと処理できない受発注業務は、事業継続上のリスクとして見られるようになっています。

EDI導入・移行時に注意すべき点

  • 取引先側も電子データでやりとりできる状態になっていないと、期待した効果が出にくくなります。移行が一部にとどまれば旧来の運用が併存し、負荷が下がりません。なお取引先と同じ製品・システムを使う必要はありません。通信手順とメッセージ仕様を合わせるか、データ変換機能を持つサービスを介せば、異なるシステム間でも接続できます。
  • システム同士で通信手順やデータ形式が合わないと、データ交換が成立しません。移行前に接続先ごとの仕様を棚卸しする必要があります。
  • INSネットを利用しているEDIは、補完策を含めて2028年12月31日で利用できなくなります。取引先との調整期間を考慮した逆算スケジュールが必要です。
  • ブラウザ型のWeb-EDIに移行しただけでは、画面への入力や基幹システムへの取り込みといった手作業が残ることがあります。工数を削減するには、一括取込機能の有無や、システム間連携・基幹連携まで含めた設計を確認する必要があります。
  • 情報漏えいや不正アクセスを防ぐセキュリティ対策も欠かせません。

INSネット終了後のEDI移行先3パターン

INSネット終了後の移行先は、@システム間連携型インターネットEDI、Aブラウザ型Web-EDI、BBtoB ECの3パターンに分かれます。判断材料になるのは、取引件数、取引先のIT環境、販売機能が必要かどうかの3点です。

なお「Web-EDIかBtoB ECか」という二択で語られることがありますが、大量・定型の取引ではシステム間連携型が有力な選択肢になります。これを外して比較すると判断を誤ります。

INSネット終了後のEDI移行先3パターン比較

項目 システム間連携型
インターネットEDI
Web-EDI
(ブラウザ型)
BtoB EC
通信手順の例 ebMS/AS2/JX手順 HTTPS(画面操作) HTTPS(画面操作)+API連携等
主目的 既存取引の受発注を自動化 既存取引の受発注をデジタル化 受発注のデジタル化+販売機会の拡大
人手の介在 なし(自動連携) 画面入力・ダウンロードが残る場合がある(CSV一括取込等に対応する製品もある) 発注側は画面操作。受注側は基幹連携で自動化可能
得意な取引 大量・定型・反復の発注 取引件数が限られる発注。一括取込機能があれば大量取引にも対応可能 商品を選びながら発注する取引
商品情報の掲載 対象外 限定的 商品ページ・画像・仕様を掲載可能
販促機能 なし 限定的 検索・レコメンド・キャンペーンなどを搭載
新規顧客の獲得 対象外 対象外 オープン型であれば狙える
取引先側の負担 取引先もシステム対応が必要 ブラウザのみで参加できる ブラウザのみで参加できる

どう選ぶか

判断の起点は「取引の性質」です。取引件数が多く発注内容が定型で反復する場合、画面への手入力を前提とするWeb-EDIでは工数が残りやすくなります。この場合はebMS・AS2・JX手順などを用いたシステム間連携型のインターネットEDIが第一候補になります。なおWeb-EDIでもCSVの一括取込やファイル連携の機能を備える製品があり、手入力が前提とは限りません。製品ごとに、どこまで自動化できるかを確認する必要があります。

一方、取引先の規模が小さくシステム対応が難しい場合は、ブラウザだけで参加できるWeb-EDIのほうが移行のハードルが低くなります。取引先の体力に合わせて、システム間連携とブラウザ型を併用する構成も一般的です。

そして、取扱商品数が多く取引先が自社の全商品を把握していない、あるいは受注側として売上機会も取りにいきたいという場合は、BtoB ECが検討対象になります。EDIが「守り」の業務効率化を目的とする仕組みであるのに対し、BtoB ECはそれに加えて「攻め」の機能を持つ点が違いです。BtoB ECでは、関連商品や上位モデルのレコメンドで顧客単価の向上を図ったり、購買データを基にマーケティング施策を展開したりできます。新規顧客の獲得については、誰でも閲覧・購入できるオープン型であればWeb上での受注を狙えますが、既存取引先のみに限定するクローズド型では対象外です。どちらを選ぶかは商流の設計次第です。

なお、これらは排他的な選択ではありません。BtoB ECの中には、注文に必要な項目を1ページで完結して入力できる機能を持つ製品もあります。従来のWeb-EDIに近い操作性を維持したい取引先にはその入力方法を提供しながら、商品を選びながら発注したい取引先にはEC的な購買体験を提供する、という運用も可能です。

EDIに慣れた取引先にも使いやすいBtoB EC「ecbeing BtoB」

BtoB ECプラットフォームecbeing BtoBのEDI注文入力画面

BtoB ECプラットフォームecbeing BtoB注文画面

ecbeingが提供するBtoB EC構築プラットフォーム「ecbeing BtoB」は、前述の「2つの発注方法を併存させる」運用に対応した製品です。BtoB ECとしての販促機能を備えつつ、支払い方法や配送を含む注文時に必要な項目を、Web-EDIのように1ページで完結できる「EDI注文入力」機能も搭載しています。

従来のWeb-EDIのような1画面完結の入力方法に慣れた取引先には、その操作性を維持したまま移行してもらいながら、商品を選びながら発注する取引先にはマーケティング施策を展開して売上拡大や新規顧客獲得を狙う、といった使い分けができます。前述のアルパインマーケティング様の事例も、基幹システム(SAP)との連携を含めて構築したものです。


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まとめ

EDIは、データ形式と通信手順を事前に取り決めたうえで、注文書や請求書などの取引データを企業間で電子的に交換する仕組みです。業務効率化・人的ミスの低減・コスト削減という3つの効果があります。

ただし現在の最優先事項は回線の期限対応です。ISDN(INSネット)は2028年12月31日にサービス提供が終了し、移行猶予の補完策も同日で終了します。ディジタル通信モードは2024年1月から段階的に終了しており、新規申込受付も2024年8月31日で終わっています。INSネットを利用しているEDIを2029年以降も使い続ける選択肢はありません。一方で、インターネット回線を利用するEDIはこの期限の対象外です。

移行先は、ebMS・AS2・JX手順などを用いたシステム間連携型のインターネットEDI、ブラウザ型のWeb-EDI、そしてBtoB ECの3つに分かれます。大量・定型の取引では手入力が残らない構成が要件になり、取引先がシステム対応できない場合はブラウザで参加できるWeb-EDIが選択肢になります。売上機会の獲得まで狙うならBtoB ECが検討対象です。

取引先との調整に時間がかかるため、期限から逆算した着手が判断の幅を広げます。まずは現在利用しているEDIの通信手順・データ形式・接続先を棚卸しするところから始めると、移行先の要件が具体化します。






ecbeing

この記事の監修者

株式会社ecbeing
塩見 駿介
ECサイト構築プラットフォーム「ecbeing」・BtoB専用ECサイト構築プラットフォーム「ecbeing BtoB」をご導入いただいている企業のへの取材を通じて得た知識をもとに、EC構築・運用するうえで役に立つ情報や最新トレンド情報を発信。
  

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