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職域販売(BtoE)とは?
メリット・デメリットや社内販売との違い、導入のポイントを解説【2025年最新版】

近年、企業の福利厚生や人的資本経営の一環として注目が高まる「職域販売」。従業員やその家族に向けて、特別な価格やサービスを提供することで、満足度やエンゲージメントの向上につながります。 本記事では、職域販売と社内販売の違い、最新のオンライン職域販売(職域EC)の動向、メリット・デメリット、導入時のポイントなどをわかりやすく解説。 企業のDX推進や働き方の多様化に合わせた、効果的な職域販売の活用方法を詳しくご紹介します。
近年、企業の福利厚生や人的資本経営の一環として注目が高まる「職域販売」。従業員やその家族に向けて、特別な価格やサービスを提供することで、満足度やエンゲージメントの向上につながります。 本記事では、職域販売と社内販売の違い、最新のオンライン職域販売(職域EC)の動向、メリット・デメリット、導入時のポイントなどをわかりやすく解説。 企業のDX推進や働き方の多様化に合わせた、効果的な職域販売の活用方法を詳しくご紹介します。
職域販売とは
「職域販売」と「社内販売」は一見似ているように感じるかもしれませんが、異なる点がいくつか存在します。まずは、職域販売と社内販売の意味を比較してみましょう。
職域販売、社員販売の違い
・職域販売
職域販売とは、取引先や団体などに所属している従業員やその家族、グループ企業など「職場(職域)」に関係する人々を対象に、商品やサービスを特別な価格や条件で提供する仕組みです。
主に、デットストックをブランド価値を下げずに処分することを目的に行われており、一般の流通市場でそういった商品の値下げを行ってしまうと、新商品が買われなくなる、値崩れが起きるといった原因になります。そこで取引先への訪問販売やクローズドなECサイト(職域EC)などで、一般市場にデッドストックを流通させずにブランド価値を保ちながら在庫を売上に変えていくことができます。
また、取引先で働いている従業員に対して商品を安く買えるという福利厚生を提供できるという点で取引先との関係値を構築することもできますし、職域販売をきっかけにリピーターになってもらえるなど新規顧客の開拓も行える可能性もあります。
・社内販売とは
社内販売とは自社社員のみに限定し、一般的には自社製品の割引販売が中心です。従業員への福利厚生を行いたい企業や、アパレル企業など自社商品を着用することを義務付けている企業に導入されることが多い方法です。
社内販売を成功させるためには一般消費者同様に、限定価格や割引率などの商品を買ってもらうための訴求を従業員に対して行う必要があります。
一方、さきほど述べた職域販売は、従業員のみならず、その家族やOB、グループ会社の社員など、より広い範囲を対象にできる点、また自社商品だけでなく提携先・外部サービスの商品も幅広く取り扱えるため、従業員の選択肢や満足度が高まります。
・BtoEとは
職域販売と社内販売は、BtoE(Business to Employee)というビジネスモデルに該当します。世の中のビジネスモデルは、BtoC(Business to Consumer)やBtoB(Business to Business)といったよく耳にするものから、近年増えているインターネットオークションやフリマサイトなどを通じて消費者同士の取引を行うCtoC(Consumer to Consumer)など大きく9つに分類されます。
このBtoEとその他のビジネスモデルとの大きな違いは取引対象者です。BtoE取引は、自社や取引先の従業員がターゲットということで内部になりますが、その他のビジネスモデルは一般消費者や他社、行政といったように外部に向けられています。
職域販売(BtoE)のメリットとデメリット
職域販売は、企業と従業員の双方にさまざまな利点をもたらします。近年は福利厚生の多様化や人的資本経営の推進、従業員エンゲージメント向上が重視される中で、職域販売の活用が広がっています。一方で、適切な制度設計や運用をしないと、いくつかの課題やリスクが生じることもあります。
職域販売のメリット
・従業員満足度・エンゲージメント向上
企業が従業員やその家族に向けて、特別価格や限定特典で商品・サービスを提供することで、日常生活へのメリットが実感できます。
これにより従業員の満足度や企業への愛着・忠誠心(エンゲージメント)が高まり、離職率低下やモチベーション向上にもつながります。
例:社員割引で人気家電や生活用品を購入できると、家族からも会社への評価が上がるケースが増えています。
・企業ブランディング・人的資本経営の強化
自社製品や提携サービスを利用・体験することで、社内外へのブランド浸透や自社理解の促進が図れます。社員のリアルな声を集めて商品開発や改善に活かすこともでき、人的資本経営(企業の成長源として人材を重視する経営)の実践にも寄与します。
・新商品マーケティング・フィードバックの活用
職域販売は、一般市場に出す前のテストマーケティングの場としても活用できます。従業員を通じて新製品やサービスの反応をチェックしたり、率直な感想を集めたりすることで、商品改善や市場展開の判断材料となります。
例:食品メーカーが新商品を社員向けに先行販売し、アンケート結果を一般販売戦略に反映。
職域販売のデメリット
・運営や管理コスト
従来の訪問販売では販売員の手配や会場調整が必要で、企業側にも手間やコスト負担がかかっていました。オンライン化によって業務効率化は進んだものの、ECサイトの運用や在庫・配送管理、カスタマーサポートなど、一定のリソースやノウハウは必要です。特に初期導入時は、システム構築や社内周知に手間がかかる場合があります。
・不正転売や購入偏りリスク
社員限定・特別価格の商品が、外部への転売目的で購入されるケースや、人気商品が一部社員に集中してしまうリスクがあります。これを防ぐためには購入回数・数量制限や抽選制の導入、利用履歴のチェックなどのルール作りが必要です。
例:ブランドバッグや限定家電などがネットオークションで転売される事例も報告されています。
・個人情報・セキュリティ管理
クローズドECサイトの運営では、社員データや購入履歴などの個人情報を安全に管理する必要があります。不正アクセスや情報漏洩を防ぐため、シングルサインオンやSSL、アクセス権限管理などのセキュリティ対策が不可欠です。
・利用促進の課題
制度を導入しても、従業員に十分に認知されず利用が進まないこともあります。社内ポータルやメール、説明会などを通じてしっかり周知し、初回利用キャンペーンやポイント付与などの工夫で利用を促す必要があります。
・公平性や透明性の担保
社員間で不公平感が生じないよう、購入条件や抽選ルールを明確にし、システム上で一貫して管理することが重要です。また「購入を強制されている」と感じられないよう、あくまで福利厚生の一環である旨を丁寧に伝えることも求められます。
職域販売(BtoE)の近年の動向と導入事例
職域販売の近年の動向
職域販売や社内販売を実店舗のように対面で行う場合、取引先の会議室を借りた上で先方に足を運ばなければならない、独自の商品管理や事業所・営業担当ごとに注文集計や集金を行わなければならないなど、多くの業務が発生します。
しかし職域販売をECサイトにシフトできれば、こうした業務の大幅削減が可能となり、業務効率化を実現できるため、急速にオンライン化が進んでいます。
運用設計やセキュリティ管理、公平性担保などに細やかな配慮が必要ですが、クローズドECサイトの導入によって、課題にも柔軟に対応できる仕組みづくりが進んでいます。
職域販売のオンライン化、特にクローズドECサイトによる構築には、従来の主流手法だった対面・カタログ型にはない多くの利点があります。
職域販売の導入事例
ここでは代表的なECサイトで構築した導入事例をご紹介します。
■事例1:オフィスグリコ(江崎グリコ株式会社)
オフィス内にお菓子が入ったボックスを設置し、硬貨の投入口に購入代金を支払う非対面型の職域販売。全国のコンビニの数よりも多い約10万台が設置されており、従業員のリフレッシュ時などに活用することができるサービスです。
■事例2:OFFICE DE YASAI(株式会社 KOMPEITO)
オフィスに冷蔵庫を設置するだけで、サラダやフルーツ、惣菜などの健康的な食事を従業員が購入できる職域販売のサービス。サービス開始から、様々な規模・業界の4500以上の拠点に導入されています。
■事例3:オフィスでヤクルト(株式会社ヤクルト本社)
これまでヤクルト本社では、ヤクルトレディ(販売員)による出張の職域販売を企業に対して行っていました。近年では出張販売以外にも、企業がヤクルト製品を購入して福利厚生の一環として従業員に配布するプランや、自動販売機で製品を購入できるプランなどを「オフィスでヤクルト」という名称で展開しています。
こうしたBtoEのビジネスを導入することによって下記のようなメリットを得ることができるため、企業だけではなく従業員にもメリットがあるビジネスになります。
【企業】
- 企業のイメージ向上と採用への好影響
- 従業員満足度の向上ならびに離職防止
- 環境改善による働きやすい環境の実現と生産性の向上
【従業員】
- 格安でサービスを受けられる
- 環境改善によって働きやすさが向上
- モチベーションアップ
職域販売ECサイト導入時のポイント
職域販売をクローズドECサイトで導入する際は、いくつか注意すべき重要ポイントがあります。これらに配慮することで、制度の効果や継続的な利用率向上が期待できます。
・クローズドサイトで構築を行う
自社や取引先の従業員を対象にする職域サイトを構築する上で一番大切なことは、対象者のみが利用できるクローズドサイトにすることです。大幅な割引で商品販売をしますので、対象者以外に利用されるサイトになってはいけません。こうした問題を避けるために、職域販売や社内販売のECサイトは会員のみが閲覧可能なクローズドサイトで構築しましょう。

・セキュリティ・個人情報保護の徹底
社員や家族の個人情報を扱うため、シングルサインオンやアクセス権限管理、SSL通信など、強固なセキュリティ対策は必須です。導入時には、システムベンダーのセキュリティレベルや法令対応状況も確認しましょう。
・公平性・透明性の確保
人気商品が特定の社員に偏ったり、不正転売が発生しないよう、購入回数や数量制限、抽選制、利用履歴の管理などルールを明確化しましょう。また、社員にとって分かりやすく、納得感のある制度設計が重要です。
・社内周知・利用促進策の強化
せっかく制度を導入しても利用されなければ意味がありません。社内ポータルやメール、説明会、初回利用キャンペーン、ポイント付与などを活用して、利用を積極的に促しましょう。
・在庫管理
職域サイトを運営するにあたっては、割引額に合わせた販売価格や在庫数を登録するだけではなく、注文がある度に在庫の引き当てを行わなければなりません。 もし一般消費者向けのECサイトや、実店舗の在庫と同じ在庫を管理する場合は、基幹システムを用いて自動連携を図るといった対応が必須です。

・課税の確認
自社の商品や製品を従業員などに販売する場合、下記要件を満たせば経済的利益として課税の必要がないと所得税法で明記されています。
(1)値引販売に係る価額が、使用者の取得価額以上であり、かつ、通常他に販売する価額に比し著しく低い価額(通常他に販売する価額のおおむね70%未満)でないこと。
(2)値引率が、役員若しくは使用人の全部につき一律に、又はこれらの者の地位、勤続年数等に応じて全体として合理的なバランスが保たれる範囲内の格差を設けて定められていること。
(3)値引販売をする商品等の数量は、一般の消費者が自己の家事のために通常消費すると認められる程度のものであること。
もし、上記の条件を満たさなければ通常の金額と割引額の差が現物支給の給与とみなされるため、従業員の所得税として課税されることになります。社内販売のECにおいては特に(1)、すなわち割引率を30%以内にするということを念頭に入れて価格設定をすることが重要になります。
引用:国税庁「所得税基本通達 給与等に係る経済的利益」
職域販売(BtoE)ECサイトを構築できるecbeing BtoB
職域販売や社内販売のECサイトは顧客情報や在庫の管理、クローズドサイトで構築するといったように一般的なECサイトの構築と異なる点が多くあります。ecbeing BtoBは、20年以上に渡って築いてきた多数のサイト構築実績をベースにしたノウハウで、BtoEにマッチしたECサイトも実現できます。
また実際に、売上や利用率の向上、運用不可の削減といった導入効果が出た社内販売サイトも構築しています。
\ ecbeing BtoBで社内販売サイトを構築した事例はこちら /
詳しくはこちら
まとめ
職域販売や社内販売のECサイトは顧客情報や在庫の管理、クローズドサイトで構築するといったように一般的なECサイトの構築と異なる点が多くあります。
ecbeing BtoBは、20年以上に渡って築いてきた多数のサイト構築実績をベースにしたノウハウで、BtoEにマッチしたECサイトも実現できます。
また実際に、売上や利用率の向上、運用不可の削減といった導入効果が出た社内販売サイトも構築しています。