
「第4回 AI Challenge Day」でecbeing社のチームがユーザーエクスペリエンス賞を受賞!

はじめに
「ネットショッピングは難しくて使えない」——そんな声に応えるAIアシスタントを、たった1週間で開発しました。
2024年6月、日本マイクロソフトとASCIIが主催する「第4回AI Challenge Day」に、ecbeing・ソフトクリエイト・ATLEDの合同チームで参加。見事「ユーザーエクスペリエンス賞」を受賞することができました。
本記事では、ECサイトを使わない人でも簡単に買い物ができる"次世代EC購入アシスタント"の全貌と、短期間開発を成功させたポイントをお伝えします。
AI Challenge Day とは?
コンテスト概要
- 主催:日本マイクロソフト × ASCII
- 参加:12企業チーム
- 期間:1週間の短期開発バトル
- テーマ:生成AIを活用したECアシスタント開発
単なる検索精度だけでなく、実際に商品を購入させる「Agentic AI」の実装力が試される、高難度のコンテストでした。
作ったもの:店員さんのような買い物AIアシスタント
💡 一言でいうと
「百貨店の外商担当がスマホに入ったような、会話だけで買い物が完結するAIアシスタント」です。
誰のために作ったか
ECサイトを使わない・使えない人たちがターゲットです:
- 🧓 高齢者:「小さい文字が見えない」「操作が複雑でわからない」
- 🏪 実店舗派:「実物を見たい」「店員さんに相談したい」
- 😓 ネット苦手層:「パスワードとか面倒」「カートって何?」
2つの革新的な特徴
1. 究極にシンプルな操作
- 画面には「興味あり👍」「興味なし👎」の2つのボタンだけ
- 商品探しは音声で話しかけるだけ
- 文字入力は一切不要
2. 会話の流れで自然に購入完了
従来のECサイト:
商品検索 → カートに入れる → 購入手続き → 住所入力 → 支払い方法選択 → 確認画面... 😵
私たちのAIアシスタント:
「孫の誕生日プレゼントを探してる」→ AI「何歳のお孫さんですか?」→ 会話しながら商品決定 → 購入完了! 😊
実際の使用イメージ
アスキーと日本マイクロソフトがタッグを組んだ「AI Challenge Day」4回目に突入!(1:28:32〜頃)
使用シーン例
ユーザー(音声):「マインクラフトのグッズが欲しいんだけど」
AI:「マインクラフトのグッズですね!クリーパーのぬいぐるみや、ツルハシ型のキーホルダーなど色々ありますよ。どんなグッズをお探しですか?」
(商品画像と「興味あり👍」「興味なし👎」ボタンが表示)
ユーザー:「興味あり」をタップ
AI:「こちらのクリーパーぬいぐるみは、お子様に大人気です。高さ20cmで、プレゼントにもぴったりですよ」
※待ち時間には「ちょっとお待ちくださいね」「探してきますね」など、人間らしいつなぎの言葉が入ります
「ユーザーエクスペリエンス賞」受賞の理由
🏆 審査員からの評価ポイント
- ・ターゲット設定の独創性
「ECサイトを使う人」ではなく「使わない人」に着目した逆転の発想 - ・シンプルさの追求
2ボタンUIという思い切った割り切りが、むしろ使いやすさを生んだ - ・実店舗体験の再現
7体のAIエージェントが、まるで百貨店のチーム接客を実現

技術構成とアーキテクチャ
🔧 使用技術スタック
- フロントエンド:Next.js + Azure App Service
- マルチエージェント:AutoGen Framework(当初Semantic Kernel予定)
- 検索基盤:Azure AI Search(Hybrid Search)
- LLM:Azure OpenAI Service(GPT-4o)
- API連携:MCP(Model Context Protocol)
7体のAIエージェントによるチームプレイ
AutoGenによる協調動作の仕組み
実店舗のスタッフ連携を参考に、SelectorGroupChatというフレームワークで実装:
ユーザー「写真の商品、全部欲しい」
↓
マネージャーAgent が タスクを分解
├→ 画像Agent:写真のキャラクター特定
├→ リサーチAgent:該当グッズを検索
└→ 回答Agent:結果をまとめて返答
各エージェントが1つのタスクに専念することで、精度と処理速度を両立させています。
1週間でやり遂げた開発の工夫
効率化の2つのポイント
1. データの可視化ツール開発
- ・エージェントの会話履歴をフロー図で表示
- ・スコアの推移をリアルタイムグラフ化
- ・ボトルネックを即座に発見・改善
2. 初日でのタスク逆算
- ・提供されたデータセットの特徴を徹底分析
- ・「何か意図を感じる」特殊データの発見
- ・ゴールから逆算した開発計画立案
直面した課題
・AutoGenの情報不足(最新版の実装例がない)
・処理時間の増大(Azure Functions の230秒制限を超過)
・MCPとの連携エラー(最終日に接続...)
開発を振り返って
「スコアを追求するより、本当に使ってもらえるものを作ろう」
この判断が、UX賞受賞につながりました。技術的な正確さよりも、ユーザーの使いやすさを優先したことで、「2ボタンUI」という大胆なデザインが生まれました。
得られた確信
シンプルなUI × 高度なAIエージェントの組み合わせは、今後のEC体験のスタンダードになり得る——1週間の開発を通じて、この可能性を強く感じました。
今後の展開
3つの展開方向
- ・ECクライアントへの提供
「AI×接客」パッケージとして、既存ECサイトへの導入支援 - ・他業界への応用
旅行予約、不動産検索など、複雑な意思決定が必要な分野への展開 - ・開発ノウハウの標準化
AutoGenを使ったマルチエージェント開発のベストプラクティス整備
発表動画
実際のプレゼンテーションは以下から視聴できます(1:26:13頃〜):
※技術的な詳細や苦労話も含まれているので、ぜひご覧ください!
さいごに
ecbeingでは、AIChallengeDayのような例をはじめとして、AIを活用してお客様のビジネスをサポートする、さまざまなサービスをご準備しております。
お気軽にお問い合わせください。
