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一過性の売上では意味がない。ECサイトを利用したパーソナルなサービスを実現し、「リピーター獲得」を狙う

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▼導入システム・サービス
BtoCパッケージ

1976年に「婦人ノンレザーシューズ」の卸・小売業をスタートしたアマガサ(設立当時は天笠)。革を使わない“ノンレザー”の特長は、素材が豊富にあるのでデザイン性が高い点と、制作日数が革よりも短縮できるためトレンド性の高い商品や、売れ筋がすばやく提供できる点だ。

これらのメリットを全面に打ち出し、自社でデザイン企画・開発、卸売販売を手掛けた1985年生まれのブランド『JELLY BEANS』(ジェリービーンズ)は若い女性を中心に人気を得て、業績が右肩上がりで伸び続ける大きなきっかけとなった。
2016年にはECサイトを大規模リプレイス。その背景には、ブランドをさらに躍進させるために取り除かなければならない“課題”があったという。

同社の小売事業部EC課の亀澤秀之さんと慶徳和孝さんに話を聞いた。

アマガサ 基本情報


アマガサ 基本情報



アマガサ 基本情報


<社 名>

株式会社アマガサ

<設立年月日>

昭和51年6月 有限会社天笠設立

平成2年4月 株式会社アマガサ設立

<事業内容>

婦人ノンレザーシューズの卸、小売

<従業員数>

148名(平成29年7月末日現在)

<売上高>

平成30年1月期 月次売上高447百万円

<所在地>

〒111-0032 東京都台東区浅草6-36-2

ノンレザーにより「低価格」「高いファッション性」を実現

ノンレザーにより「低価格」「高いファッション性」を実現

――アマガサ様の婦人シューズに対する“こだわり”を教えてください。

亀澤:弊社は1976年(昭和51年)の創業以来、「ノンレザー」のシューズにこだわってきました。

ノンレザーは革と違い、合皮やスウェード、綿や麻など多数の素材から自由に選ぶことができるため、デザインとカラーバリエーションの幅が広く、ファッション性に富んだアイテムを展開することができます。


また、革の場合は靴を制作するまでに2〜3カ月かかりますが、ノンレザーの場合はその半分から3分の1程度で制作することができます。制作期間を短くすることができるので、トレンドを先取りした新商品の提案サイクルの短縮や、売れ筋商品の追加の短納期化の実現が可能になります。

これらのメリットをお客様に提供することが弊社のこだわりです。

――御社の人気ブランド『JELLY BEANS』の特長は?



御社の人気ブランド『JELLY BEANS』の特長は?



慶徳:『JELLY BEANS』は創業から9年後の1985年に“初の自社ブランド”として誕生しました。私達がデザイン企画、開発、卸売販売の全てを手掛けており、現在は弊社を代表するブランドになっています。


『JELLY BEANS』という名前はお菓子のジェリービーンズをイメージしています。その名の通り、豊富に揃うデザインやカラーから楽しみながら選ぶことができるブランドですね。


御社の人気ブランド『JELLY BEANS』の特長は?



靴のタイプは、パンプス、ブーツ、サンダル、スニーカー、レインシューズがあり、ECサイトでは、だいたい6,000円〜10,000円の価格帯で、常時300点、600SKUの商品をラインナップしています。その中でも最も注力しているのはパンプスで、ラインナップの3〜4割をパンプスが占めています。特に、極上のフィット感を追求した「Fit+(フィットプラス)」というパンプスのシリーズが人気です。


お客様の層は、以前は10〜20代の女性でしたが、今は27歳前後の女性に最も多くご購入いただいています。

システム連携により商品発送にかける日数を1日短縮

システム連携により商品発送にかける日数を1日短縮

――ECサイトをはじめたのはいつ頃からでしょうか?

亀澤:最初は10年ほど前にファッションモールに出店することからスタートしました。


その後、新たな販路にチャレンジしたいと考えて、ASPサービスを導入し自社ECサイトをオープンしました。売上の拡大に従い、業務負荷が重くなって不都合が生まれたので、ECサイトの見直しをしようという話になったんです。


それで2016年にecbeingさんに依頼して、ECサイトをオープンしました。

――ecbeingを選んだ理由を教えてください。

慶徳:「リアル店舗と連携しやすいシステム」をポイントに、大手パッケージは全て検討したうえで、ecbeingさんが最もスムーズに実現できると考えました。


『JELLY BEANS』は全国にリアル店舗があるのですが、以前はリアル店舗とECサイトを別のチーム、別のシステムで運用していたんです。そのため、並んでいる商品もリアル店舗とECサイトで違うだけでなく、ポイント制度もリアル店舗はスタンプカード、ECではオンライン上のポイントとバラバラでした。


同じブランドなのにシステムが統一されていない状況では、今後さらにブランドを育てていくうえで弊害になると考え、ecbeingさんに声をかけました。

さらにもう1つ加えると、弊社のメインユーザーは若い女性なので、スマホのサイトをきちんと構築できるところも大きなポイントで、ecbeingさんはそこも安心して任せられると思いました。

――リアル店舗とのシステム連携をポイントにサイト構築を進めるうえで、問題点はありましたか?

亀澤:以前は弊社の基幹システムとECサイトのシステムが繋がっていなかったため、在庫調整や出荷伝票の入力は手動でやっていました。


当然それでは業務効率が悪いので、基幹システムと連携させて自動化する方向で進めたのですが、手動でやるほうが時間はかかるものの「時間をかければ何でもできる」部分があり、自動化してルールが統一されると、そこの柔軟性が失われると社内から反発が出ました。そこは時間をかけて議論を進めましたね。


自動化を実現した結果、ECサイト運営・在庫管理・出荷業務・受注管理・カスタマーサービスの人員6人は変わっていませんが、注文から商品発送まで中1日かかっていたところを翌日に発送することができるようになりました。業務効率化ができて、1日の出荷数も120%近くまでアップしています。

――リアル店舗とECサイトのブランド感を統一するうえでは「デザイン面」も重要なポイントになりますよね。こだわった点を教えてください。

慶徳:まず、色を統一しました。リニューアルしたときは淡いグリーンを基調したデザインの店舗をつくっていたので、ECサイトも淡いグリーンにしました。


ただ、それ以前に前のECサイトは長い縦スクロールで、情報がごちゃごちゃしていたので、シンプルにすっきり見せることにもこだわりました。スマホで見るユーザーも意識して文字情報はできるだけ減らし、画像をメインで打ち出し、視覚的、直感的に商品ページへと移行してもらうことを意識しています。

「越境EC」がないのに、海外に売れる理由

「越境EC」がないのに、海外に売れる理由

――海外展開についてうかがいます。アマガサ様は「越境EC」を構築されていませんが、海外からも商品を買われていると聞きます。それはなぜでしょうか?

亀澤:現状では越境ECも海外のリアル店舗もないのですが、日本製の高品質の靴を求められている香港や台湾、タイの靴販売店に弊社のシューズを卸しているため、『JELLY BEANS』は海外にも一定のファンがいて、認知度があります。


そこでBuySmartJapanなどの海外販売代行サービスを導入して、海外のお客様にもリーチするようにしています。弊社では海外販売代行サービスへの流入を増やすため、Facebookや中国版ツイッターのウェイボーを使って、積極的に情報を発信しています。

――海外からも確実に需要があるという状況ですね。そうすると、今後は海外に自社で直接販売するために「越境EC」の導入も検討されるのでしょうか?

慶徳:越境ECは今後の重要課題として社内で共有されています。今すぐに構築するというわけではありませんが、グローバルの状況を注意深く見つつ、検討を進めたいと考えています。

ECの活用で「よりパーソナルなサービスを実現したい」

ECの活用で「よりパーソナルなサービスを実現したい」

――本格的にECサイトを導入してから約2年が経過します。ECサイトの運営で改めて気づいた点はありますか?

亀澤:売れれば何でもいい、という設計ではダメということですね。


以前のサイトは新規登録するとポイントをプレゼントするサービスを行なっていたので、同じお客様が何度も繰り返し登録するというケースがありました。短期的にはメリットですが、継続的なサービスの提案ができません。また弊社にとっても、お客様のデータの精度が下がるため、売上向上の施策が打てない状況になってしまいます。


先に繋がらない情報ばかりになってしまうと厳しいので、今回のECサイト構築では以前のようなことが起きないように顧客管理には時間をかけて設計しました。

――EC化率は上がりましたか?

慶徳:この2年で6%から10%程度まで上がりました。


ただ、私達はEC化率をKPIに設定していません。なぜなら、EC化率がアップしても、リアル店舗を含めた全体の売上が下がっていたら意味がないからです。ブランド全体としていかに売上を上げていくか、そのためにECをどのように活用できるか、ということを考えています。


――ブランド全体の売上アップのためにECに何を期待していますか?

亀澤:お客様に対して、よりパーソナルなサービスをするための情報収集です。


靴の場合はサイズの選択が重要なポイントになるので、ECサイトの顧客情報でお客様の靴のサイズを把握していて、リアル店舗に来た際にその情報を紐づけて見ることができれば、お客様に提案する商品も変わってくると思います。


また、メルマガや@LINEも現在は一元化した情報を送っている状況ですが、ここもお客様の特性に合わせて変化させていき、パーソナルなサービスを実現したいと思っています。

ecbeingさんでECサイトをつくってから全体の売上はあがっているので、さらにステージをアップして、これらのことにチャレンジしていきたいと思っています。

ファッション小売りはリピーター獲得が重要

ファッション小売りはリピーター獲得が重要

――ありがとうございました。最後に、EC事業を成功させるためのポイントを一言お願いします。

亀澤:ファッション小売りの場合は「リピーターの獲得」が重要なので、一過性の売上をあげることよりも、「もう一度ここで買いたい!」と思ってもらえる設計にすることです。


私達もそのために、「ただ売る」だけではなく、お客様がストレスなく使えるECサイトの構成やリアル店舗と連携したパーソナルなサービスを実現することで、さらにリピーターを獲得していきたいと考えています。


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亀澤秀之(かめざわ・ひでゆき)

株式会社アマガサ 小売事業部EC課課長 兼 営業企画課課長

慶徳和孝(けいとく・かずたか)

株式会社アマガサ 小売事業部EC課係長


●取材・文:廣田喜昭




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