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CtoC ECの市場規模はどのくらい? 今後の動向についても予測

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公開日:

経済産業省が毎年発表しているEC市場調査報告書は、EC市場の動向を把握し、今後の事業計画を立てるのに非常に役立ちます。

今回は、現時点での最新版である「平成29年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」の内容をもとに、CtoC ECの市場規模にスポットを当てて紹介し、CtoC EC市場の今後の展望について予測していきます。

CtoC ECとは?

はじめにCtoC ECについておさらいしておきましょう。

EC(電子商取引)には大きく分けて3つの形態があり、それぞれ『BtoB』『BtoC』『CtoC』と呼ばれます。


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『BtoB』は『Business to Business』の略で、企業間での商取引を指します。企業が販売し、企業が購入するという形態です。

2017年の日本のBtoB EC市場規模は約317兆円で、EC市場全体の95%を占める最も主要な取引形態です。※1


『BtoC』は『Business to Consumer』の略で、企業と一般消費者間での商取引を指します。企業が販売し、消費者が購入するという形態で、「個人が企業のECサイトでネットショッピングを行う」といった取引です。

2017年の日本のBtoC EC市場規模は約16兆円で、BtoB市場の20分の1ほどの規模になります。※1


そして『CtoC』は『Consumer to Consumer』の略で、一般消費者同士で行われる商取引を指します。消費者が販売し、消費者が購入するという形態です。

2017年の日本のCtoC EC市場規模は約3,569億円程度と見られており、BtoBやBtoCと比較すると非常に小さい市場規模といえます。※1


CtoC EC市場は規模こそ小さいですが、近年の新たな経済活動の動きとして世界的に注目が集まっている「シェアリングエコノミー」の一形態として捉えられており、「リサイクル」や「リユース」といった循環型社会の促進にも一役買う存在として期待されています。


なおCtoC EC市場は、主に2つの販売方式に区別することができます。

1つは『ネットオークション』で、もう1つは『フリマアプリ』です。いずれも個人間での売買の場を提供するサービスですが、主に販売価格の決定方法に違いがあり、それ以外にもそれぞれ特徴を持っています。

ネットオークションの特徴

ネットオークションは、その名の通りオークション形式(せり)によって最終的な販売価格が決まる方式で、『ヤフオク!』がその代表格です。


売り手が出品した商品に対し、購入者が入札を行っていき、最終的に一番高い額で入札した者が落札する仕組みなので、なるべく高く売りたい場合に向いています。

取引が成立すると、出品者はヤフオク!に落札額の数パーセントを手数料として支払うというビジネスモデルになっています。


ネットオークションは、年代や性別に関係なく幅広いユーザー層が利用している傾向にあり、利用デバイスについてはPCとスマートフォンの両方が使われているのが特徴です。

フリマアプリの特徴

一方フリマアプリは、売り手が販売したい価格を設定し、購入者がその価格で購入すれば取引成立となる方式で、『メルカリ』がその代表格です。


フリマアプリのメリットは、スマートフォンのアプリで手軽に出品でき、短時間で買い手が見つかるという点にあります。販売価格の数パーセントを手数料として支払うシステムはネットオークションと同様ですが、不用品を手軽に換金できるところが魅力のようです。


またフリマアプリの利用者は若年層、女性、主婦等に多く、利用デバイスはスマートフォンが中心という傾向があります。


CtoC ECの市場規模

つぎにCtoC ECの市場規模について詳しく見ていきましょう。


CtoC ECの市場規模


まずネットオークションですが、2017年のネットオークション全体の市場規模は11,200億円でした。しかしこの中にはBtoCも含まれており、CtoCに該当する市場の取引額は前述のとおり3,569億円です。※1


ちなみに2016年のネットオークション(CtoC)の市場規模は3,458億円で、前年比は3.2%増となっています。※1

BtoBの前年比9.0%増、BtoCの前年比9.1%増と比較すると、ネットオークション(CtoC)の市場規模の伸び率は穏やかといえます。

成長著しいフリマアプリの市場規模

成長著しいフリマアプリの市場規模


一方、フリマアプリの2017年の市場規模は4,835億円で、2016年の3,052億円から58.4%増と著しい成長を見せています。※1

2017年にフリマアプリの市場規模は、ネットオークション(CtoC)の市場規模を初めて上回り、今後この差を広げていくものと思われます。

フリマアプリ市場盛況の背景

フリマアプリ市場規模がここまでの成長を遂げている背景には、近年のスマートフォン利用者の増加にあると考えられます。

インターネットの端末別利用状況を見ると、パソコンは近年横ばいなのに対し、スマートフォンとタブレット型端末は右肩上がりで増加しています。


フリマアプリ市場盛況の背景


2016年時点の利用状況はパソコン58.6%、スマートフォン57.9%と拮抗しており、2017年の統計はまだ出ていませんが、既にスマートフォンがパソコンを逆転している可能性が高いです。※1


また、フリマアプリの利用目的も少しずつ変化を見せています。これまでは若年層や主婦層が不用品を販売するという利用スタイルが主流でしたが、男性の利用者も増え、さらにリユース目的だけでなく、利益目的(転売)での利用も拡大しており、フリマアプリが「個人向け小売の総合プラットフォーム」になりつつあるといえるでしょう。


CtoC ECの今後の展望

フリマアプリの市場規模の成長率を見ると、CtoC EC市場の成長は今後も続くと判断してよいでしょう。

またリユース市場の調査結果からも、CtoC ECの将来性を示唆する数字を読み解くことができます。


CtoC ECの今後の展望


過去1年間に不用となった製品(自動車・バイクは含まず)の推定価値を試算すると、7兆6,254億円にも上るそうです。

これら不用品のうちBtoCとして店舗販売されるのが約1兆円、BtoCとしてネット販売されるのが約2,600億円、そしてCtoC EC市場(ネットオークション・フリマアプリ)に流れるのが8,404億円として、まだ5兆円以上の販売リソースが残されていることになります。※1


すべての不用品が販売されることはないにしても、消費者のリユース意識やリサイクル意識が高まれば、今まで家庭で捨てられていた製品をCtoC EC市場に還元できるのではないでしょうか。


さらに海外に目を向けると、BtoCよりもCtoCのほうが盛んな中国市場があります。

日本製品は中国で人気が高いことは知られていますが、日本人は物を大切に扱うので、中古でも状態が良いという評価もあり、日本の中古品を中国に輸出する「越境EC」は大きなビジネスのチャンスを秘めているといえるでしょう。※1


拡大を続けていくであろうCtoC EC市場

今回は経済産業省の市場調査報告をもとにCtoC EC市場規模について見てきました。

CtoC ECの主力プラットフォームは、ネットオークションからフリマアプリに移行していることが垣間見えましたが、ネットオークションが持つメリットもあるので、お互い共存しながらCtoC EC市場は拡大していくでしょう。


また、不用品が十分にリサイクルされているとはいえない状況であり、販売リソースは豊富に存在しているので、リユース市場にはまだ伸びしろがあります。

加えてシェアリングエコノミーの意識がさらに一般化すれば、CtoC ECの市場は更に拡大していくことでしょう。



※1参考 平成 29 年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)

https://www.meti.go.jp/press/2018/04/20180425001/20180425001-2.pdf




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