
AKASE GROUPがオーダー家具独特の商習慣をECで実現し顧客体験向上
安心・スムーズなUIUXと豊富なコンテンツで売上前期125%を達成
安心・スムーズなUIUXと豊富なコンテンツで売上前期125%を達成

婚礼ダンスの製造から始まったAKASE GROUP株式会社。現在は、世界三大銘木であるウォールナットの無垢材にこだわった家具ブランド「MASTERWAL(マスターウォール)」を展開しています。「100年後のアンティーク家具へ」をコンセプトに、世代を超えて愛される家具づくりを通じて、豊かな暮らしを提案し続けています。
今回は、AKASE GROUP株式会社が運営するECサイト「MASTERWAL(マスターウォール)」についてお話を伺います。ECサイト構築の経緯から、家具業界ならではの課題を乗り越えた機能面の工夫、そして今後の展望まで、EC・マーケティングをご担当されているAKASE GROUP株式会社 大滝 創 氏と川口 勇佑 氏にお聞きしました。
右から
AKASE GROUP株式会社 大滝 創 氏
AKASE GROUP株式会社 川口 勇佑 氏
・前システムの制約による施策実行の制限
・ECサイト売上が前期比125%を達成し順調に伸長
・ECサイトの会員数が約3倍に増加
・EC化率2倍以上に成長
婚礼ダンスの製造から始まったAKASE GROUP株式会社。現在は、世界三大銘木であるウォールナットの無垢材にこだわった家具ブランド「MASTERWAL(マスターウォール)」を展開しています。「100年後のアンティーク家具へ」をコンセプトに、世代を超えて愛される家具づくりを通じて、豊かな暮らしを提案し続けています。
今回は、AKASE GROUP株式会社が運営するECサイト「MASTERWAL(マスターウォール)」についてお話を伺います。ECサイト構築の経緯から、家具業界ならではの課題を乗り越えた機能面の工夫、そして今後の展望まで、EC・マーケティングをご担当されているAKASE GROUP株式会社 大滝 創 氏と川口 勇佑 氏にお聞きしました。
AKASE GROUP 株式会社 基本情報
MASTERWAL(マスターウォール) TOP
<社名>
AKASE GROUP 株式会社
<創業>
1972年
<資本金>
8,000万円
<事業内容>
家具製造・販売、システム家具製造、特注家具製造、家具・家庭用電気製品・家庭用雑貨・服飾・装飾雑貨の販売緑化用植物・観賞用植物の販売・飲食物の販売店舗及び事務所等の企画・運営並びコンサルタントフィットネスクラブの運営
膨大な商品SKUの解決に向けて
MASTERWALブランドのECサイトは、どのような経緯で始められたのでしょうか。
大滝氏:弊社のECの経歴は、2006年に楽天市場へ出店したことから始まり、当時は仕入れたインテリア雑貨の販売が中心でした。その後、自社ブランドであるMASTERWALを本格的に直販で販売していこうという流れになり、2012年に自社ECサイトを立ち上げました。そして、ブランドの世界観をより強く打ち出すために、2015年にはブランドサイトとECサイトを統合し、2020年にecbeingさんでリニューアルをお願いし、現在に至ります。
リニューアルの際、弊社ecbeingを選んでいただいた決め手は何だったのでしょうか。
大滝氏:当時、我々が抱えていた一番の課題が、家具業界特有の膨大なSKU(商品SKU)の管理でした。MASTERWALの家具は受注生産で、お客様の暮らしにフィットするように、サイズ、木の種類、ソファの生地などを細かくカスタマイズできます。生地だけでも多いものだと100種類あり、それらの掛け算で商品数が無数に増えてしまいます。
受注生産なのでお客様の注文に柔軟に応えられる反面、それをECで実現することが困難でした。
以前のシステムでは、その掛け算した数だけ商品登録をする必要があったため、チェア一脚だけでも何万SKUという単位になってしまい、非常に手間のかかる管理をしていました。この課題を解決できないかとご相談したのがきっかけです。
ecbeingさんからは、ECプラットフォームをベースにしつつも、柔軟なカスタマイズで「スペック・オプション選択」によって商品を注文できる仕組みをご提案いただき、「これならいけそうだ」と感じたのが決め手でした。
家具ならではの課題を解決するUI/UXの工夫
お客様がスムーズに購入できるよう、UI/UXの面で工夫された点はありますか?
川口氏:お客様が商品を選ぶ際に、サイズや生地を頭の中で組み立ててイメージできるか、という点が重要でした。というのも、全ての組み合わせパターンの商品画像を用意するのは現実的に不可能だからです。
ただ、何でもかんでも選べるようにすれば良いというわけでもない、という気づきもありました。例えば、テレビボードの配線穴を好きな場所に開けられる、といったニッチなカスタマイズも可能ですが、そこまで選択肢に入れてしまうと、かえってお客様を迷わせてしまいます。選択しなければいけない項目が10個もあったら、一つの商品を買うのがすごく大変ですよね。
ですので、あまりに特殊なご要望は選択肢から外し、お問い合わせで対応するように切り分けるなど、「選びやすさ」と「カスタマイズの自由度」のバランスは常に意識して調整しています。
商品詳細ページ
商品詳細ページ>スペック・オプション選択
購入前に規約として「搬入経路の確認」や「商品仕様の確認」を表示できるようにしていらっしゃいますが、事前にこういった注意書きを表示する形にした経緯について教えてください。
川口氏:これは導入時に、こちらから要望としてお伝えした機能です。実店舗であればスタッフが直接ご案内できるのですが、ECではそれが難しく、実際にご購入いただいた後に搬入が出来ず、キャンセルになってしまうケースがよく発生していました。お客様をがっかりさせてしまいますし、会社にとっても損失になっていました。また、対応するスタッフも日々不安に思いながら働いていたため、お客様ご自身に事前に確認していただくための注意喚起を入れたいとオペレーションスタッフから要望が上がっていました。
ただ、これも先ほどの話と同じで、リスクばかりを伝えてしまうと今度は「気軽に買えない」ものになってしまいます。お客様に安心していただくことと、購入意欲を下げないことのバランスは、今もチームで議論しながら都度見直しを続けています。
「カートに入れる」ボタンを押下後の「商品購入規約」の同意画面
オフィスや飲食店といった法人が購入されるパターン(スモールB)もあるかと思いますが、法人のお客様のECサイトの利用状況について教えてください。
大滝氏:売上の構成比で言うと、件数では雑貨なども購入される一般のお客様が中心になります。
ただ、法人のお客様は一度にまとめてご購入されるなど単価が大きいため、売上金額で見ると全体の3〜4割を占める重要な柱となっています。
現在のECサイトは一般のお客様向けに作られているため、法人のお客様には専用のランディングページをご用意し、そこからお問い合わせをいただいて個別に見積もり対応をする、という流れをとっています。
法人様からのお問い合わせは前年比120%ほどのペースで順調に増え続けており、ホテル業界の需要拡大といった市場の追い風もあるので、今後は会社全体として法人向けビジネスをさらに強化していきたいと考えています。
コラムといった御社独自のコンテンツもございますが、記事の内容を考える上で工夫されている点やターゲットとしている部分について教えてください。
大滝氏:家具を買う経験って、人生ですごくたくさんあるわけではないですよね。だから、よほど家具がお好きな方でないと、生地や木の種類、サイズ選び、お部屋とのコーディネートなど、いざ考えるとなると結構難しい部分があると思います。
実際、実店舗にはそういった「わからないこと」を相談するためにご来店されるお客様がとても多いです。ECサイトでは直接の接客がしにくい分、そうしたお客様の疑問にお応えできるような情報をお届けすることが、コラムコンテンツの主な目的になっています。
今一番伸びている記事は、「床の色と家具の色の組み合わせ」について解説した記事です。この記事が伸びていることからも、多くの方が「何が正解かわからない」と感じていることがよく分かります。そうした専門的な知識を分かりやすく解き明かし、お客様の悩みの解決につなげたいと考えており、実際に大きな反響をいただいています。
実店舗とECの連携、そしてOMO戦略
実店舗もある中でECも運用されていらっしゃいますが、実店舗とECの立ち位置や実店舗とECで連携されている戦略等について、お伺いさせて下さい。
大滝氏:実店舗とECの連携で最も分かりやすいのは、ECサイトの商品ページにその商品を展示している店舗の情報を表示させていることです。これは、お客様から「この商品はどこで見られますか?」というお問い合わせが非常に多かったために導入しました。
商品詳細ページ>展示店舗の表示
川口氏:私たちは、ECサイトも実店舗と同じく「店舗の一つ」と位置づけています。ただ、それぞれを切り離して考えるのではなく、お客様がオンラインとオフラインをシームレスに行き来できる方がメリットは大きいと考えています。
おかげさまでECのユーザー数は増えていますが、無理にECで買っていただこうとは思っていません。ECから店舗へお客様を送客する機能をつけたり、反対に、店舗で購入できなかったお客様がECを活用して購入できる環境を作ったり、双方向のOMOを重視しています。
また、弊社はアプリもあるのですが、アプリのウェブビューでecbeingの中に入れている店舗情報を表示させ、お客様が近くの店舗を探したり、お気に入りの店舗を登録したりできる機能を設けています。
以前の調査からも、多くのお客様がECと店舗を行き来しながら購入を検討されていることは明らかでした。だからこそ、私たちがチャネルを強制するのではなく、お客様が「こうしたい」と思った時に、スムーズに繋がれる仕組みづくりに取り組んでいます。
ecbeing導入後の効果
弊社システムを導入いただいてから、どのような効果を感じられていますか?
川口氏:以前のシステムでは、やりたい施策があっても制約が多く断念せざるを得ませんでしたが、導入後は施策実行のハードルが下がり、スピーディーなサイト改善が可能になりました。
直近ではトップページのリニューアルなどを実施し、売上は前期比125%を達成しています。さらに、この5年間でECサイトの会員数は約3倍、EC化率は倍以上に伸長しています。
また、ECサイトをきっかけに実店舗へご来店くださるお客様も前年比110%と増加しており、ビジネス全体に良い循環が生まれていると思います。
構築時や運用時の弊社スタッフ(エンジニア、ディレクター等)の対応はいかがでしょうか?
川口氏:構築時から現在まで、非常に密な連携のもとで進められていると感じています。
私自身、EC事業の担当になった2021年当初はEC関連業務の経験が全くなく、正直なところ不安も大きい状態でした。今振り返ると初歩的な質問も多かったと思いますが、皆様が常にこちらの知識レベルに合わせてサポートしてくださいました。
今でも開発チームの方やディレクターの方々とは日々連携して業務に取り組んでいますが、専門的な内容もわかりやすく説明してくださるので、非常に助かっています。
visumoもご活用いただいておりますが、目的と活用状況について教えてください。
大滝氏:もともと弊社では、SNSが普及する前から独自のシステムを構築し、納品事例をECサイトに掲載することに注力してきました。
サイトリニューアルの際にvisumo socialの導入を決めたのは、Instagramと連携することで、お客様の投稿をよりスムーズに活用できると考えたからです。特に、投稿者の方への掲載依頼がしやすくなり、コミュニケーションのハードルが下がる点に大きな魅力を感じました。
インテリアをお求めになるお客様にとって、実際に商品が空間に置かれたイメージは何よりも重要な情報です。弊社でも写真撮影やCGを活用して伝わるように工夫をしていますが、やはり、よりリアルなイメージが伝わるInstagram投稿からの納品事例は、非常に有益な情報であると同時に、弊社の実績を示す貴重な財産でもあります。
おかげさまで納品事例のコンテンツはサイト内でもかなり閲覧数が多く、たくさんのお客様にご活用いただけている手応えを感じています。
今では、visumo social のほかに、visumo videoやvisumo recommendも導入し、サイトのコンテンツの充実に取り組んでいます。
TOP RECOMMENDエリア
ROOM SNAP 納品事例
今後の展望について
今後のECサイトの展望についてお聞かせください。
川口氏:今後の展望としては、店舗とECが独立した現在の関係性を見直し、よりOMOに適した構造へと進化させていきたいと考えています。
この構想はシステム構築の段階からありましたが、EC単体、あるいは店舗単体での成長には限界があるという認識が、世の中の流れ的にもますます強まっています。
具体的な計画はこれから煮詰めていく段階ですが、最終的にはEC領域も含めた会社全体の商流を最適化し、お客様にとっても一貫性のあるサービスを提供できる体制を目指すことが目標です。
これからECを検討されている企業様へ、ecbeingをおすすめできる点があれば、ぜひ一言お願いします。
大滝氏:私たちのように、業界特有の複雑な要件があっても、実現したいことを形にするための提案力と、柔軟なカスタマイズ対応力がecbeingさんの強みだと思います。また、導入後もECの専門知識がない担当者にもレベルを合わせて丁寧にサポートしてくれるので、安心して運用を任せられています。継続的にサイトを改善し、成長させていきたいと考えている企業には、非常におすすめです。
家具ブランド「MASTERWAL」の商品ご紹介
DANISH SOFA
(https://www.masterwal.jp/cp/danishsofa)
DANISH FREE SOFA
(https://www.masterwal.jp/shop/g/gDFSO-16090/)
書籍「こだわらないブランディング なぜ、岡山の婚礼家具メーカーが、銀座へ出店するブランドになれたのか」
AKASE GROUP株式会社 代表取締役社長 藤井幸治が自らの言葉で、その試行錯誤の軌跡を語りつくした書籍が2025年8月8日に出版されました。
(https://www.masterwal.jp/shop/g/gMW-BK-SC01/)
――
AKASE GROUP 株式会社
大滝 創 氏
川口 勇佑 氏
・『MASTERWAL』サイトはこちら
●取材・文:塩見 駿介

株式会社ecbeing
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