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レコメンドエンジン入門
知っておきたいレコメンドの仕組みやECサイトに導入するメリット

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ECサイトにおいて、「おすすめ商品」は重要な役割を果たしています。顧客がほしいものをおすすめできれば、顧客からの信頼度は上がり、より利用してもらいやすくなるでしょう。今回の記事では、そんなおすすめ商品を表示させるために必要なレコメンドエンジンについて、EC事業者が知っておきたい仕組みや注意点などについて紹介していきます。

ECサイトにおいて、顧客が本当に欲しい商品を最適なタイミングでおすすめする「レコメンド機能」は、顧客体験を向上させ、売上を伸ばす上で極めて重要な役割を果たします。顧客一人ひとりのニーズに応えることでサイトへの信頼度は上がり、継続的な利用へとつながるでしょう。今回の記事では、このレコメンドを実現するために不可欠な「レコメンドエンジン」について、EC事業者が知っておきたい仕組みやメリット、導入時の注意点などを網羅的に解説していきます。

レコメンドエンジンとは?

まず、レコメンドエンジンとは何か、その基本的な概念から解説します。

レコメンドエンジンとは

レコメンドエンジンとは、ECサイトやWebメディアなどで、ユーザーの興味や関心に応じた「おすすめ(レコメンド)」を表示させるためのシステムです。「レコメンデーション」とも呼ばれます。

おすすめされる商品は、ユーザーの購入履歴や閲覧履歴といった行動データ(ライフログ)を基に選ばれます。例えば、「この商品を買った人はこんな商品も買っています」といった表示が代表的です。
ECサイト以外にも、ニュースサイトなどで表示される「この記事を読んだ人は他にこんな記事も読んでいます」といった関連記事の紹介も、レコメンドエンジンによるものです。

レコメンドエンジンの種類

レコメンドエンジンを導入する方法は、主に以下の4種類に分類できます。

・ASP(Application Service Provider)
Webアプリケーションとして提供されるタイプのレコメンドエンジンです。既存のWebサイトにタグを追加するだけで利用できるなど導入が簡単で、多くはクラウドサービスのためサーバーも不要です。コストを抑えてスモールスタートしたい場合に適していますが、一般的に機能のカスタマイズは難しい傾向にあります。

・オープンソース
インターネット上で無償公開されているソースコードを使い、自社のECサイトにレコメンドエンジンを組み込むタイプです。無料で利用でき、カスタマイズの自由度が高い点がメリットですが、導入・運用には専門的な知識が不可欠です。また、日本製のオープンソースは数が少ないのが現状です。

・プライベートDMPとレコメンド機能の連携型
自社でプライベートDMPを構築し、そこに蓄積された多様な顧客データとレコメンド機能を連携させるタイプです。より精度の高い高度なレコメンドが期待できますが、他の方法に比べてコストがかかるため、本格的に大規模なデータ活用を目指す企業向けです。

・ECシステムに搭載されているレコメンド機能
ECシステム(ECプラットフォーム)の中には、レコメンド機能が標準搭載されているものもあります。追加コストがかからない点が最大の利点ですが、専用のレコメンドエンジンと比較すると、機能や性能が限定的である場合も多いです。

レコメンドエンジンの仕組み

ひと口にレコメンドエンジンと言っても、おすすめ商品を決定する仕組み(アルゴリズム)は複数存在します。ここでは、代表的な5つの仕組みを紹介します。

協調フィルタリング

最も一般的とされる仕組みで、多くのユーザーの行動履歴データを基におすすめを決定します。「この商品を買った人は、こんな商品も買っている」「この商品を見た人は、あんな商品も見ている」といったように、自分と似た行動をとる他のユーザーのデータを活用するのが特徴です。この仕組みは、さらに「アイテムベース」と「ユーザーベース」に分けられます。

・アイテムベース: ある商品と一緒に購入・閲覧されやすい商品をレコメンドします。例えば、カメラを購入した人にメモリーカードやレンズフィルターをおすすめするケースです。

・ユーザーベース: 行動パターンが似ているユーザーを見つけ、そのユーザーが購入していて自分がまだ購入していない商品をレコメンドします。

ルールベース型レコメンド

事前に「商品Aが閲覧されたら、商品Bをおすすめする」といったルールを設定し、それに基づいて商品をおすすめするタイプです。EC事業者側が意図的におすすめしたい商品(セール品や季節限定品など)を表示できるため、キャンペーン施策と連動させる際に有効です。ユーザーデータが少ないサイト立ち上げ初期でもすぐに機能するという利点もあります。

コンテンツベースフィルタリング

ユーザーが過去に閲覧・購入した商品の情報(カテゴリ、ブランド、色、価格帯など)に注目し、それに類似した特徴を持つ商品をおすすめする手法です。各商品の特性を事前にタグ付けしておくことで、精度の高いレコメンドが可能になりますが、商品数が多い場合はタグ付けの作業に時間がかかるというデメリットもあります。

パーソナライズドレコメンド

特定のユーザー一人の購入履歴・閲覧履歴のみを基におすすめ商品を決定する手法です。協調フィルタリングとは異なり、他のユーザーの行動データを参照しないため、そのユーザー個人の趣味嗜好に深く寄り添った提案が可能です。ただし、精度を高めるには、対象ユーザーに関する十分なデータ蓄積が必要となります。

近年ではハイブリッド型が主流に

近年では、ここまで紹介したいずれか一つの仕組みだけでなく、複数の仕組みを組み合わせる「ハイブリッド型」のレコメンドエンジンが主流になっています。それぞれの長所を活かし、短所を補い合うことで、より状況に応じた精度の高いレコメンドを実現できます。

レコメンドエンジンを利用するメリット

ECサイトにレコメンドエンジンを導入することで、主に以下の3つの大きなメリットが期待できます。

1. 購入率・客単価の向上(クロスセル・アップセル)

顧客の興味に合った商品を提案することで、購入率の向上が見込めます。また、購入を検討している商品と関連性の高い商品をあわせて提案する「クロスセル」や、より上位のモデルを提案する「アップセル」を促すことで、顧客一人あたりの購入単価アップにつながります。

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2. 顧客体験の向上と信頼獲得

自分の好みを理解した的確な提案は、ユーザーに「自分のための接客」を受けているかのような快適な購買体験を提供します。こうした良質な体験はサイトへの信頼と愛着を育み、顧客のファン化・リピーター化を促進し、長期的な顧客価値であるLTV(生涯顧客価値)の向上に貢献します。

3. サイト回遊率・滞在時間の改善

トップページや商品ページにおすすめ商品を掲載することで、ユーザーはウィンドウショッピングのようにサイト内を巡るようになります。これにより、サイトの回遊率や滞在時間が増加し、直帰率の減少といった効果も期待できます。これらの指標改善は、検索エンジンからの評価にも間接的に良い影響を与える可能性があります。

レコメンドエンジンを利用するうえでの注意点

多くのメリットがある一方、レコメンドエンジンは万能ではありません。導入・運用にあたって注意したいポイントを3つ紹介します。

1. コールドスタート問題

多くのレコメンドエンジンはユーザーの行動データを必要とするため、サイト開設当初などデータが十分に蓄積されていない状態では、レコメンドが正しく機能しません。これを「コールドスタート問題」と呼びます。データが少ない初期段階ではルールベース型レコメンドを中心に運用するなど、この問題を補う工夫が効果的です。

2. 少カバー率問題

購入データが極端に少ないニッチな商品や、一部のファンにしか購入されない商品は、レコメンドの対象から漏れやすくなる「少カバー率問題」があります。購入数は少なくても根強い人気を誇る商品も存在するため、そういった商品も埋もれさせない仕組みが求められます。

3. 導入目的の明確化

レコメンドエンジンを導入する際は、「なぜ導入するのか」という目的を明確にしましょう。「客単価を5%向上させる」「リピート率を10%改善する」といった具体的な数値目標を設定することで、導入すべき機能が明確になり、導入後の効果測定も正しく行えます。

ecbeingが提供するAI活用型レコメンド「AiReco」

ecbeingでは、AIがお客様一人ひとりに最適な商品をオススメする高精度なレコメンドエンジン「AiReco」を提供しています。

AiRecoは、お客様の性別や年齢などの「会員属性」、カート投入やお気に入り登録といった「行動属性」、過去の「購買履歴」をAIが複合的に分析。これにより、お客様の潜在的なニーズを捉えた商品を的確にピックアップし、購入を強力に後押しします。

さらに、AiRecoは常に最新のデータを基に自動で学習を続けるため、運用すればするほどレコメンドの精度が向上します。これにより、ECサイト上での検索・購買体験の質を継続的に高め、売上を最大化する最適なレコメンドを実現します。

レコメンドとレビューの連携で顧客体験を最大化

レコメンド機能によって興味を持った商品も、購入の最終的な決め手に欠ける場合があります。そこで重要になるのが、第三者の客観的な評価、すなわち「レビュー(口コミ)」です。

ecbeingには、レビュー最適化ツール「ReviCo」も搭載可能です。AiRecoで「おすすめ」された商品のページに、ReviCoで収集した豊富なレビューが表示されることで、顧客は「他の人はどう評価しているのか?」という疑問をその場で解消できます。この「おすすめ」と「信頼できる評価」の組み合わせは、顧客の不安を払拭し、購買決定率を飛躍的に高める相乗効果を生み出します。

まとめ

レコメンドエンジンは、ECサイトの売上を構成する客単価や購入率を向上させるだけでなく、顧客満足度を高め、LTV向上にも貢献する強力なツールです。近年ではAIを活用した高精度なエンジンも登場しており、その重要性はますます高まっています。

自社の目的や課題を明確にした上で、最適なレコメンドエンジンを選び、顧客から「信頼されるサイト」を構築していくことが成功の鍵となります。レコメンドエンジンの導入や、レビュー機能との連携にご興味をお持ちの方は、ぜひecbeingまでお気軽にご相談ください。




ecbeing

この記事の監修者

株式会社ecbeing
塩見 駿介
ECサイト構築プラットフォーム「ecbeing」・BtoB専用ECサイト構築プラットフォーム「ecbeing BtoB」をご導入いただいている企業のへの取材を通じて得た知識をもとに、EC構築・運用するうえで役に立つ情報や最新トレンド情報を発信。
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