中国ECの市場動向とシェアランキングTOP5をご紹介

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経済産業省の調査(※1)によると、2016年のBtoC-EC市場規模トップは中国の9276.0億ドルで、前年比40%という驚異的な伸び率で他国に大差をつけています。第2位はアメリカの3983.5億ドル、続いてイギリスの1060.8億ドル、日本は第4位で774.1億ドルと前年比6%の伸び率でした。

BtoC-ECだけ見ても中国のEC市場規模はアメリカの2倍以上と非常に大きく、日本の約12倍もあります。今後ますます拡大が予想され、市場調査会社イーマーケターの予測では中国の電子商取引小売額は2018年までに1兆ドルに達し、世界のEC市場の4割を占めると見られています。

今回は、拡大し続ける中国のBtoC向けECサイトについて詳しく見ていきましょう。

中国BtoC-ECの市場シェア


中国BtoC-ECの市場シェア



中国電子商務研究センターが発表しているデータによると、2016年と2017年上半期では大きな変化はありませんが、「天猫」と「京東」、上位2強の占める割合が83.1%から74.7%へとやや小さくなっています(※2)。

シェアナンバー1 天猫(Tmall)


シェアナンバー1 天猫(Tmall)

https://www.tmall.com/


シェアナンバー1の「天猫(Tmall)」はアリババグループの総合オンラインショッピングモールです。

アリババグループは2003年にCtoCショッピングサイト「淘宝網」をオープンしましたが、それと切り分ける形で2008年にBtoC版を設立し、2012年に「天猫」に改名しました。

天猫のターゲットは高品質・高付加価値な商品を求める中国のユーザーで、中国国内外で約7万ものブランドを取り扱っています。

出店企業は5万を超え、ユニクロやアディダス、P&Gなど日本でも馴染みのある多くのブランドメーカーも天猫に出店しています。

模倣品や模造品が多い中国で安心して購入できる仕組みが作られていることも、天猫が大きなシェアを獲得している理由の一つです。

シェアナンバー2 京東


シェアナンバー2 京東

https://global.jd.com/


2004年にパソコン機器のネット販売から始めた「京東」ですが、現在では家電や家庭用品、衣類、書籍、食品などあらゆるジャンルの商品を販売しています。

2017年には中国ネットサービス大手の「テンセント」と中国BtoC-EC市場シェア3位の「唯品会」に出資しており、アリババグループに対抗していることが分かります。

シェアナンバー3 唯品会


シェアナンバー3 唯品会

https://www.vip.com/


2008年にサービスを開始した「唯品会」は、中国で最も大きなフラッシュセールスのECモールです。フラッシュセールスとは、登録会員に期間限定で割引価格などの特典が付いた商品を販売する方式のことをいいます。

唯品会はブランドメーカーと提携し、ファッション、化粧品、バッグ、アクセサリー、香水などをリーズナブルな価格でユーザーに提供しています。

シェアナンバー4 蘇寧易購


シェアナンバー4 苏宁易购

https://www.suning.com/


「蘇寧易購」は中国の家電量販店「蘇寧電器」のオンラインショッピングサイトです。蘇寧電器は 190の都市に900店舗以上を展開している中国家電量販最大手で、電化製品だけではなく書籍や食品、ファッションアイテムなど幅広く取り扱っています。

シェアナンバー5 国美在線


シェアナンバー5 国美在線

https://www.gome.com.cn/


中国の家電量販店大手「国美電器」のオンラインショッピングサイトです。こちらも電化製品だけではなく食品や日用品など幅広く扱っています。

あのAmazon中国のシェアは?


Amazon中国のシェア


アメリカや日本のEC市場で圧倒的なシェアを占めるAmazonは、2004年に「卓越網」を買収して中国でサービスをスタートしました。アメリカ、カナダ、フランス、ドイツ、日本、イギリスに続いて7ヶ国目となりましたが、中国のBtoC-EC市場では1.3%程度とシェアを獲得できていません。

中国BtoC-EC市場拡大の背景

中国市場の拡大は、中国政府の政策やオンラインショッピング時に必要な端末とインターネット環境の普及が大きく影響しているようです。

モバイルオンラインショッピングの普及

モバイルオンラインショッピングの普及

※2

中国電子商務研究センターの情報によると、中国のモバイルオンラインショッピングの取引額は2017年上半期に2兆2,450億元に達し、2016年上半期と比較すると39.7%増加しています。

モバイルオンラインショッピングの急速な発達の背景には携帯電話やスマートフォンの普及があり、パソコンの使用を難しく感じている中高年でも簡単に買い物ができるため、幅広い年齢層のユーザーがオンラインショッピングを行っていると考えられます。

スマートフォンがあれば「アリペイ(支付宝)」を使って簡単に決済することが可能です。アリペイはアリババグループ傘下の企業を経由して支払う決済方法なので、オンラインショッピングでも安心して取引できます。

クロス・マーケティング社の調査によると「街なかの買い物でスマートフォンを使って決済する人」が中国は80.9%で日本の5.2%と比較してとても高く、いかにスマートフォンが身近な決済方法なのか分かります(調査対象者は18〜69歳の都市部在住者)。

オンラインショッピングを可能にするスマートフォンと、安心して取引できるアリペイの両方が市場拡大に大きく影響しています。

急速に拡大する農村部のオンラインショッピング市場

急速に拡大する農村部のオンラインショッピング市場

※2

中国電子商務研究センターの情報によると、中国の農村オンラインショッピング市場規模が2016年は4,823億元で、2017年末までに前年比約30%増の6,300億元に達するという予想がされました。

中国政府は国の経済が発展するには都市部と農村部の連動が重要だと考えているようで、そのために農村経済を発展させる政策を打ち出していますが、インターネットや交通などのインフラ整備もその一つです。インフラが整ったことに加えて、農村部の所得が向上し消費が伸びていることも農村部の市場規模が拡大している背景だと考えられます。

しかし中国国土は広く、まだまだ農村部は交通インフラが整っていない地域もあるため物流問題は依然として課題です。BUSINESS INSIDER JAPANの情報によると、中国BtoC-EC市場2位の「京東商城」が中国南西部で185のドローン専用空港を建設する計画があるため、これが実現すれば物流コストの低減や、農村と都市部間の物流もスムーズに行えるようになると考えられます。

農村部の人口は多いため、より多くのユーザーがオンラインで商品を購入するようになれば中国のEC市場規模はさらに拡大することが予想されます。

拡大する中国市場への参入

中国の経済成長率は緩やかに減速していますが、それでも年々上昇し、拡大し続けています。少子高齢化が進んでいる日本にとって、中国市場は重要なマーケットです。既に日本の企業も中国市場に進出しており、大手ホームセンターや食品会社などが中国ECサイトへ商品展開をしたり、2017年にはヤマトホールディングスが中国の大手ネット通販「京東集団(JDドットコム)」と提携拡大で合意したりしています。

文化の違いやコストなど越境ECには大きなリスクが伴いますが、今後も拡大が予想される中国市場への参入は大きなビジネスチャンスといえるでしょう。遅れをとらないよう、中国の市場規模拡大には今後も注目する必要があります。


その他越境EC・海外情報はこちらをご覧ください




※1出典:経済産業省 平成 28 年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)

http://www.meti.go.jp/press/2017/04/20170424001/20170424001-2.pdf

※2出展:中国電子商務研究センター

http://www.100ec.cn/detail--6397448.html

http://www.100ec.cn/zt/17wllsbg1/




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