アメリカの有名ECサイトと小売企業の動向

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eMarketerによると2017年、世界の小売電子商取引の売上高は前年比24.8%増の2兆3,040億ドルに達したそうです。
また2017年、世界の小売売上高総額は22兆6400億ドルと報告されており、2016年と比較して5.8%増加しています。そのうち電子商取引が占める割合は、2016年の8.6%から2017年は10.2%に増えており、まだまだ増加が予測されます。

今回は、電子商取引の中でも世界第2位のBtoC-ECの市場規模を持つアメリカの有名ECサイトについて見ていきましょう(※1)。

アメリカの有名ECサイト

経済産業省の調査によると、アメリカのBtoC-ECの市場規模は2016年で3983.5億ドル、前年比16%増という伸び率で成長しています。日本のBtoC-ECの市場規模が774.1億ドルなので、日本の約5.1倍の大きさです。

アメリカBtoCのEC市場には、日本でも有名な企業から老舗のチェーン店までさまざまな企業が参入しています。

Amazon.com(アマゾン)

Amazon.com

皆様ご存知のAmazon.comはワシントン州シアトルに本拠地を置く企業で、Amazon.co.jpは日本でも人気のECサイトです。Amazon.comは、デロイトトーマツコンサルティングが発表した「世界の小売業ランキング2017」で、10位にランクインしました。

アメリカでは、Amazonやその他オンラインショッピングの影響で多くの店舗が閉店しているという情報もあります。勿論原因はこれだけではありませんが、Eコマースが小売市場に与える影響は大きいようです。

その一方でAmazonはECモールだけではなく実店舗も増やしており、2018年の1月にはシアトルにレジ係が存在しない人工知能を駆使した初の実店舗「Amazon Go」をオープンしました。

Amazon Goのアプリをインストールし、Amazonのアカウントがあればスマートフォンを持って店舗へ行くだけで利用できます。

ECモールを成熟させユーザーを囲い込んだ後、それを軸に実店舗を展開していく様子は小売市場全体を見据えた動きでもあります。

またこのようなAmazonの展開は、ユーザーがいつでも・どこでも・どのチャネルからでも垣根を感じずスムーズに購買できるオムニチャネル事例といえます。

Walmart(ウォルマート)

ウォルマート

ウォルマートはアーカンソー州に本社がある世界最大のスーパーマーケットチェーンで、「世界の小売業ランキング2017」でも1位の企業です。

Recodeの報道によるとウォルマートは、レジ係もおらずレジに並ぶ必要のない店内ショッピング体験「Project Kepler」を検討していますが、これは「Amazon Go」と類似するような印象を受けます。

また、ウォルマートはニューヨークの忙しい主婦のために「パーソナルショッピングサービス」を試験的に開始したとも報道されています。このサービスを利用すると、テキストメッセージを通して商品を注文することで家庭用品が24時間以内に無料で届くそうです。

レジのない店舗を始めたAmazonに対抗するために、新しいプロジェクトを進めているようですね。

The Home Depot(ザ・ホーム・デポ)

ザ・ホーム・デポ

ホーム・デポは1978年に設立された住宅リフォームや建材施設を取り扱うアメリカ最大手のホームセンターで、「世界の小売業ランキング2017」で6位の小売りチェーンです。2016年度の決算では総売上高945億9500万ドルで、前年と比べて6.9%増加しており、今後も成長が期待されています。

ECサイトでは2,500以上の動画やブログといったコンテンツでDIYのヒントを提供し、ユーザーの来店・購買意欲を掻き立てています。

実店舗では動画に出演している専門家からアドバイスを受けることもでき、ニーズに適した商品を購入できることも人気の理由の一つです。店頭のPOPにはECサイトでの評価を掲示するなど、ネットで商品を見て来店したユーザーも快適に買い物できるようになっているようです。

このようにホーム・デポはECサイトと連携し、ユーザー視点に立ったサービスを充実させることでユーザーの経験価値を高め売上アップへ繋げています。

Best Buy(ベスト・バイ)

 ベスト・バイ

ベスト・バイはミネソタ州に本社を置く世界最大の家電量販店です。

Amazonをはじめとした大手ECサイトに売上シェアを奪われてしまった時期もありますが、ユーザー獲得のため価格の見直しやオムニチャネルの強化などでユーザーの獲得に成功しています。

実店舗とオンラインの強みを活かした「フリーストアピックアップ」では、ネット注文した商品を店舗で受け取れる他、気になる商品が近くの店舗にない場合、他店舗から近隣店舗へ輸送してくれるといったサービスを行っています。

また、店舗の在庫をECサイトへ即座に反映させるシステムや商品を簡単に検索できるサイトの公開など、ECサイトの改善を行うことでコンバージョンアップも図りました。

店舗で受け取った中古品や返品商品などもECサイトの在庫に掲載することで、買い手が見つかりやすく値下げを最小限に抑えることにも成功しています。

成長のカギはユーザー視点の充実したサービス

アメリカのECサイトは日本に比べて市場規模も大きいですが、今回ご紹介したECサイトに共通しているのが、ユーザー視点に立ったサービスの提供です。

アメリカ国内でも人気のAmazonをはじめ、他ECサイトはAmazonに苦戦しながらも実店舗との連携強化や配送の迅速化など独自のサービスを展開することで、業績を上げています。アメリカでは実店舗とECサイトを結びつけたオムニチャネルビジネスが確立されており、日本のECサイトでも参考にできる点が多くあるので、参考にしてみてはいかがでしょうか。


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※1出典:経済産業省 平成 28 年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)

http://www.meti.go.jp/press/2017/04/20170424001/20170424001-2.pdf




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