ファンマーケティングとは？
メリットや注目されている背景を解説

ファンマーケティングとは

まず、ファンマーケティングという言葉の定義から確認していきましょう。

ファンマーケティングとは

ファンマーケティングとは、言葉の通り企業や企業が展開するブランドに対しての「ファン」を増やすことで売上を増やそうとするマーケティング戦略のことです。

ファンとは、特定のものや人を熱烈に支持してくれる顧客のことを指します。ファンに似た言葉としては、優良顧客、リピーターなどがありますが、以下のような違いがあります。
・優良顧客：高価格な自社の商品・サービスを高頻度で購入し、直近でも利用している顧客
・リピーター：何度も繰り返し自社の商品・サービスを利用している顧客

どちらも、繰り返し自社の商品・サービスを購入してくれている顧客ですが、ファンとの違いは、購入している理由にあります。優良顧客やリピーターは「他よりも安いから」といった理由で購入している一方、ファンは企業やブランドを支持し、応援する目的も込めて購入してくれているのです。

ファンマーケティングのメリット

ファンマーケティングを行うメリットとしては、主に以下の4点が挙げられます。

・新規顧客の増加が見込める
ファンが商品を購入して情報を発信することで、その情報に興味を持った人が新たに商品を買ってくれるなど、新規顧客の獲得が見込めます。

・LTVの向上が期待できる
LTV（ライフタイムバリュー）は、一生のうちに顧客が特定の企業に対してどれほどの利益をもたらすかを表す指標です。自社のファンは商品を継続的に購入してくれるため、ファンの獲得を目指すファンマーケティングはLTVの向上にもつながるでしょう。

※なお、LTVについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。

EC担当者が見るべき指標「LTV」とは？LTVが重視される理由と向上のための具体策を紹介！

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・ユーザーの声を集めやすくなる
ファンマーケティングの一環として、ファンとの交流の場を設けたり、意見を募集したりすることで、ファンが何を望んでいるのかを知ることもできます。その結果、集まった消費者の声に基づいて商品開発がしやすくなるのもファンマーケティングのメリットです。

・広告費の削減につながるケースも
SNSの普及によって多くの人が情報を発信するようになった現代では、ファンが発信する情報の意味も大きくなっています。企業が広告費をかけて自社の商品をPRするよりも、ファンを獲得する戦略を立て、ファンの人に自発的に商品をアピールしてもらうほうが効果的なケースも少なくありません。

ファンマーケティングが注目される背景

では、なぜ現代においてファンマーケティングが注目を集めているのでしょうか。その背景には、以下の2点が関係していると考えられています。

SNSの普及

1点目はSNSの存在です。SNSが普及したことで、商品を購入した人が気軽に情報を発信できるようになりました。その影響もあって、SNSで投稿されている商品に関するレビューや感想をもとに購入するかを判断する人も増えてきています。こういった背景から、商品のファンを増やし、ファンの人にポジティブな情報を発信してもらうことで、売上の拡大が見込めるようになっているのです。

新規顧客の獲得が以前に比べて困難になっている

もう1点は日本の構造の問題です。日本では少子高齢化が進み、消費者人口は減少してきていることから、新規顧客の獲得が以前よりも困難になっています。新しい顧客を得られないからこそ、既存顧客との関係性を重視し、より多くの商品を買ってもらえるようファンになってもらうというファンマーケティングに注目が集まっています。

ファンマーケティングの手法

ここからは、代表的なファンマーケティングの手法をいくつか紹介していきます。

・ファンミーティング
自社のファンを招き、企業がファンと交流できるイベントを開催する。

・ファンコミュニティの形成
ファン同士が交流できる場を設ける。

・サブスクリプション型サービスの展開
月額いくらなどの形式でファン限定のサービスを提供し、ファンに特別感を抱いてもらう。

・サンプリング
サンプリングを行い、その感想をファンに発信してもらう。

・SNSでの交流
SNSで情報を発信するとともに、ファンと交流したり、ファンの意見をもとにした企画を実施したりする。

・ライブ配信
自社の商品を紹介するライブ配信を実施する。コメントを読み反応することで、双方向のコミュニケーションにする。

ファンマーケティングを実施するうえでの注意点

最後に、ファンマーケティングを実施するうえでの注意点を2つ紹介します。

ファン獲得には時間がかかる

ファンマーケティングのための施策を実施したからといって、すぐにファンを獲得できるというわけではありません。顧客にファンになってもらうためには、顧客に愛着を持ってもらえるよう、継続的に施策を打ち出していく必要があります。顧客に対して、この企業・ブランドは自分たちのことを気にかけてくれているということをアピールし続けることが重要です。長期的な視点を持って計画を立てることを意識しましょう。

「ヘビーユーザー」ではなく、「ファン」獲得を目指す

ファンマーケティングにおいて重要なのが、「ファン」を獲得することです。例えば商品を何度も購入してくれるヘビーユーザーであっても、ちょっとしたきっかけで商品を買わなくなるケースは少なくありません。そういったユーザーは「一番安いから」「いつも行く店に置いてあるから」などの理由でなんとなく購入しており、値上げなどのきっかけで離れてしまいやすい傾向にあります。ただたくさん買ってもらう顧客を作るのではなく、「このブランドを応援したい」という思いを持つファンを作ることで、顧客離れを最小限に抑え、売上を安定させることができるでしょう。

まとめ

消費者人口が減少し、新規顧客獲得が以前よりも難しくなっている現代において、既存の顧客にファンになってもらう重要性は増しています。中長期的な視点を持ち、いかに自社の商品・サービスのファンになってもらうための仕組みを作れるかが重要です。