急成長を続ける『インドEC市場』の可能性

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インドのEC市場は規模こそまだ大きくないものの、世界一の成長率を誇る注目株です。
国連の予測では2022年にインドの人口は中国を抜き世界一となる見通しで、インフラの整備やスマートフォンの普及も進んでおり、インドEC市場は今後も順調に成長を続けていくと見られています。

今回は世界一の成長率を誇りながらも、日本ではあまり馴染みのないインドのEC市場にスポットを当て、将来確実に世界をリードする存在になるであろうインドEC市場の現状や、将来性についてご紹介します。

急成長を続ける『インドEC市場』の可能性

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JETROの調査によると、2009年時点では38億ドルだったインドのEC市場規模は、2015年には230億ドルとなり、大きな成長を遂げています。インターネット利用者の増加から、2020年には1031億ドルと、更なる拡大が予測されています。

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また経済産業省の調査によると、2017年のインドのBtoC市場規模は209億ドルで世界ランキングは10位となっていますが、対前年比は42.1%と突出して高い成長率を記録しています。

なお、ランキング1位の中国は市場規模が11,153億ドルで対前年比が35.1%、ランキング4位の日本は市場規模が953億ドルで対前年比が6%でした。


インドのEC市場規模は中国の約60分の1、日本の約5分の1程度ですが、このまま成長を続ければ世界ランキングの上位に食い込んでくるのは間違いないでしょう。

EC化率

インドのEC市場の特徴として挙げられるのは「EC化率の低さ」です。インドのEC化率(商取引に占めるECの割合)は世界的に見て最も低い水準にあります。


同様にEC化率の低い国にブラジルやイタリアがありますが、それらの国とは異なり、インドのEC市場は群を抜いて高い成長率を誇っているため、このEC化率の低さはむしろ、それだけポテンシャルを秘めていると捉えるのが妥当でしょう。EC化率が進めば、さらなる成長が見込まれます。

インターネット普及状況

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インドにおけるインターネット利用者数は、2015年時点で約3.8億人で、人口13億人の約3割に達しています。2020年には約6.7億人にのぼると見られており、急速にインターネットの普及が進んでいることが窺えます。


またインド国内の中間所得層の拡大により、スマートフォンやタブレットといったモバイル端末の普及も進んでいます。現にECサイトへのアクセス方法はモバイル端末経由が78%で、PC経由の22%を大きく上回っています。

インドのECサイト

インドには様々なECサイトが存在しますが、その中でも『Flipkart』と『Amazon』が二大サイトとして君臨し、『Snapdeal』『Jabong』などのサイトが追従する格好となっています。

シェアNo.1『Flipkart』

『Flipkart』はインドを代表するECサイトで、インドEC市場の約4割のシェアを持ちます。

2007年にAmazonの元幹部であるインド人二人によって設立されたFlipkart社は、複数のベンチャーキャピタルから巨額の資金を調達し、国内外の有力企業やECサイトを買収して規模を拡大してきました。


2018年5月、米国ウォルマートがFlipkartの株式の77%を160億ドルで買収するとのニュースが世界を駆け巡りましたが、これはインド史上最高額での買収となります。

インド市場での覇権を狙うウォルマートと、ウォルマートの持つ商品調達力を得たいFlipkartの利害が一致したM&Aといえます。

シェアNo.2『Amazon』

Amazonのインド進出は遅く、2013年にマーケットプレイス型事業に乗り出しました。Amazonがインド進出に慎重な姿勢を見せていたのは、インド市場は魅力的なものの、ECに関しては発展途上であると認識していたためと見られます。しかし近年のEC市場のめざましい発展を受け、積極的にインド進出に向けて投資を行ってきました。


現在AmazonはインドEC市場の約3割のシェアを持ち、Flipkartと熾烈な覇権争いを繰り広げています。ウォルマートのFlipkart買収により、この競争はさらに激化すると見られています。

その他ECサイト

FlipkartとAmazonに追従する各ECサイトも、独自の戦略や強みを持っています。

『Snapdeal』は農村部の低所得層に強く、地域に密着したビジネスを展開しています。

2016年、Flipkart傘下のMyntraに7000ドルで買収された『Jabong』はアパレル・ファッション関係に強く、都市部の中間所得層からの支持が厚いECサイトです。

売れ筋の日本製品は?

インドのECサイトでは多くの日本製品が出品されています。家電・電子機器ではソニー、パナソニック、ニコン、キヤノン、カシオ、ベビー用品ではユニ・チャームやピジョンなど、世界的にも有名な日本ブランドの製品が販売されています。


JETROの調査によると、富裕層と中間所得層のユーザーの5割から8割はECサイトを通じて日本製品を購入したことがあると回答しています。購入したものは携帯電話や家電(カメラ、テレビ、冷蔵庫、エアコン等)などが挙げられました。


また日本製品に対するイメージは「品質が良い」「機能が多い」「デザインが良い」といった回答が多くを占めており、好印象を持っていることが分かります。

ECサイトで購入したい日本製品は「電子機器」と答えた回答者が圧倒的に多く、次いで「文房具」「台所用品」などが挙げられています。


しかし一方では「日本製品は値段が高すぎる」というネガティブなイメージを持っていることも分かりました。

日本企業の可能性

今回は、巨大マーケットに成長することが予測されているインドEC市場についてご紹介しました。

日本製品の品質の良さはインドのユーザーにも広く認知されており、日本企業にとってはチャンスと言えます。


日本製品といえば家電や電子機器というイメージが強い一方で、アパレル・ファッション関連や、日用品、メディア・ゲームといったジャンルでは遅れを取っている印象があります。


特にアパレル・ファッション関連はインドEC市場において最も人気の高い商品ジャンルの一つなので、日本製品の魅力を伝えることができれば、十分に勝機はあるでしょう。

今回の記事を参考にして頂き、可能性に満ちたインドEC市場への進出を検討してみてはいかがでしょうか。

※1参考:インドのeコマース市場調査

https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/02/2017/fd56a15c5cb4289b/in-rp-201701.pdf

※2参考:「平成29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る 基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」調査結果要旨

http://www.meti.go.jp/press/2018/04/20180425001/20180425001-1.pdf




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