2018年中国EC「独身の日」を振り返る

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日本では年末年始の時期になると、ECサイトは非常に盛り上がりを見せ、Amazonが実施するサイバーマンデーのように、各ショップがセールを打ち出します。同じように他国でも、繁忙期に合わせてセールが行われています。
中国では「独身の日」に合わせてセールを行いますが、このセールでアリババグループが中国市場にて凄まじい売上を叩き出しました。さらに年々売上も増加しており、参加ブランドも増加しつつあります。一体なぜなのでしょうか。

ここでは、2018年の「独身の日」を振り返りつつ、アリババグループの躍進理由に迫ります。

中国の独身の日(ダブルイレブン)とは

中国では11月11日が独身の日とされており、通称ダブルイレブンと言います。正式名称は、「光棍節」です。

公式な祝日ではなく、独身者が互いを慰め合う日とされています。特段この日に合わせた風習があるわけでもないので、独身の日になったら独身同士で食事などをするようです。


そんな独身の日に合わせて、中国EC大手アリババは2009年より、毎年「双十一」と言うセールを打ち出すようになりました。そのセールは2018年には、スタートから約2分で、日本円で約1600億円を突破。1日で過去最高となる、日本円で3兆4160億円を記録するほどの凄まじさです。


大手ECサイトのセールから始まった独身の日のセールですが、あまりにも話題になるので、この日に合わせてセールを行う習慣が中国で出来てしまったほどです。規模も売上も共に年々拡大中であり、参加ブランドも増加傾向にあります。

2018年アリババグループの売上

アリババグループは独身の日に驚異的な売上を誇っていますが、独身の日の売上が毎年上がるのに比例して総売上もかなり伸びています。2018年3月期の決算で、前期比58%増の約4兆2800億円を記録し、2017年3月期の倍以上の売上を記録したことも明らかになっています。

さらに株価上昇率もあの米アマゾンを上回ることから、売上面だけでなく株価の伸びでも驚異的な数字を残しているのです。

アリババグループの成長要因とは?

アリババグループはなぜここまで成長し、ビジネスモデルとして拡大したのでしょうか。その秘密は、営業利益率から読み取れます。アリババグループの営業利益率は31.25%です。アマゾンが2.31%と言えばどれだけ利益率が高いかは、お分かりいただけるでしょう。なぜ営業利益が高いのか、そこを紐解けば成長要因が明確に見えてくるかもしれません。


ここでは、アリババグループの成長要因を理由別にまとめていきます。

巨大な市場をターゲットにしている

アリババグループが拠点にしている中国は、ECサイトにとって非常に巨大な市場です。

中国のインターネットの利用者はアメリカの2倍も存在しています。当然のことながら、日本よりもアメリカの方がインターネット利用者は多いですが、さらに多いのが中国です。インターネットに触れる人が世界で1番在籍している巨大な市場に本拠地を置き、ターゲットに指定してビジネスを展開しています。


さらに市場拡大を狙い、インド企業買収を機にアジア進出へ舵を取り、大手IT企業を買収しアメリカ進出も狙っています。

「範囲の経済」と「規模の経済」

アリババは、Amazonのマーケットプレイス出品者のような小規模な業者がノーブランド商品を取り扱う「淘宝(タオバオ)」とブランド品を取り扱う「天猫(Tmall)」の2種類を運営しています。


サイトが分かれているとはいえども、Web上で取引が成立するため、無駄なコストをかけず自社での買い物を増加させることができる「範囲の経済」の仕組みをうまく利用しています。また、多くの商品を大量に仕入れ、大量に同一の流通チャネルから巨大市場へ向けて販売をする「規模の経済」の仕組みを取り入れることで、利益率を高めています。

AIへの投資を積極的に行っている

アリババグループは、アマゾンを上回るほどAIへの投資を積極的に行っており、成功を収めています。

中国は人口が巨大で、かつ個人情報保護の規制が他国より厳しくないため、個人情報を細かに集めることができます。そのため、AIで顧客分析する際の情報を多岐にわたり手に入れることができるのです。


【トレンド】人工知能(AI)はECサイトでどう活用すべきか?

アリババグループの「天猫 Tmall」

日本でも話題になる中国や他国でのコピー商品の問題から、ECサイトで販売するブランド商品は信頼が不可欠です。そこでアリババグループは、法人だけが厳しい審査を通過した場合のみ出品できるネットショップ「天猫 Tmall」を作りました。中国ECサイト1位の売上も記録しています。ここに出店することが1つのステータスと中国国内でもなってきているほど、信頼が非常に高いサイトです。


この「天猫 Tmall」は日本企業も多く出品し成功しています。信頼度が高いだけに、日本企業も積極的に進出を狙いたいところです。


中国BtoC-ECシェアNo.1の「天猫」(Tmall)とは?

まとめ 〜 2019年11月11日はどうなる?

今後、アリババグループは中国国内だけではなく、積極的にアジアなどに市場を広げていきます。自社のビジネスモデルを確固として持っていることから、未開拓地域をどんどんと開拓していくでしょう。

今後は得意のAIを使用した顧客分析をしながら進んでいくはずですが、他国は個人情報保護が厳しいため、中国同様の顧客分析ができるかという点は今後の海外進出のキーになるはずです。




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