中国BtoC-ECシェアNo.1の「天猫」(Tmall)とは?

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中国のBtoC-EC市場は世界一の規模を誇り、成長率も対前年比40%増とその勢いは止まるところを知りません。その巨大市場を支えるのが、中国BtoC-EC市場の約6割を占めるECサイト「天猫」(Tmall)です。

今回は、中国のEC市場を理解する上で欠かすことのできない存在である「天猫」(Tmall)についてご紹介します。

「天猫」(Tmall)とは?

天猫(Tmall)は2013年にアリババグループが開設したショッピングモール形式のBtoC-ECサイトです。天猫は「テンマオ」と発音します。

アリババグループといえば淘宝網(タオバオワン)が有名ですが、淘宝網がCtoCのECサイトであるのに対し、天猫はBtoC向けのECサイトです。

圧倒的な流通規模

2016年時点での中国のBtoC-EC市場は、シェアNo.1の天猫が57.7%を占め、No.2の京東(JD)が25.4%を獲得しています。天猫と京東の二強が実に8割以上の市場を獲得している状況です。


天猫の2016年の年間流通総額は約22兆円と見られています。楽天の年間流通総額が約3兆円なので、その約7倍の規模があります。またAmazonグローバルの流通総額は約16兆円と推測されており、Amazonグローバルをも上回る規模を誇っています。

「独身の日」1日で2.87兆円

天猫は2009年から11月11日を「独身の日」(W11)と称して安売りセールを開催していますが、W11は今や中国ECを代表する一大イベントに成長しました。天猫の2017年のW11における流通総額は過去最高の2.87兆円を記録し、この1日だけで楽天の年間流通総額に匹敵します。このことからも中国は桁外れの購買力を持つことが分かります。

「天猫」の特徴

天猫の圧倒的なシェアと高い集客力は、越境ECに参入する日本企業にとっても大きな魅力であり、ユニクロやパナソニック、ソニーといった日本を代表する大企業が出店しています。それでは越境ECの観点から天猫の特徴を見ていきましょう。

高い信用度

元々、淘宝網というCtoC-ECサイトで成功を収めていたアリババグループが、あえてBtoC専門のECサイトを設立した背景には、中国の偽物や非正規品の氾濫という問題がありました。淘宝網は登録料や販売手数料が無料で手軽に出品できるとあって爆発的に発展してきましたが、同時に質の悪い出品者が横行する結果を招きました。


そこでアリババグループは、高級志向・本物志向のユーザーニーズに応えるべく、厳格な審査をパスした法人のみが出店できるモールとして天猫をスタートさせました。

このような背景から、天猫に出店しているショップは信用度が高く、天猫へ出店すること自体が一種のステータスにもなっています。


さらに消費者保護の観点から、第三者決済の支付宝(Alipay)の採用や、商品到着後7日以内の返品・交換を自由にするといった措置が取られています。

厳しい診査

天猫には世界中の名だたる有名ブランドやグローバル企業が出店しており、越境ECの舞台としてはハードルが高いといえます。まず前提として、中国本土での営業許可証を持った法人でなければなりません。さらに中国における商標登録証や販売権利証などを提出し、2〜3ヶ月の審査期間を経てようやく出店の認可が下ります。

「天猫国際」(Tmall Global)とは?

「天猫国際」(Tmall Global)とは?


天猫への出店は中国国外の企業にとっては敷居が高いため、アリババグループは国外のEC事業者を呼び込むべく越境EC向けのモールをオープンしました。それが「天猫国際」(Tmall Global)です。


天猫国際は中国本土に現地法人を持たなくても出店が可能なため、海外企業の出店が容易になり、中国における越境ECプラットフォームの代表格としての地位を確立しています。

日本企業では資生堂、花王、ムーニー、ミキハウス、カルビー、ライオンなど多数の企業が天猫国際に出店しています。

天猫国際の売れ筋商品

天猫国際では美容関連、食品/健康関連、マタニティ/ベビー関連の売り上げが多く、この上位3カテゴリだけで全体の8割を占めています。


また2017年の国別売上ランキングは、1位が日本、2位アメリカ、3位オーストラリアとなっており、日本製品では紙おむつや美容フェイスマスク、美容器具に人気が集まっています。これは中国では他国に比べ高品質でありながら安全な製品が入手しづらいという国内事情の表れといえるでしょう。

天猫国際のユーザー層

天猫国際のユーザーは、1990年代生まれのいわゆる「90後」と呼ばれる若者世代が半数を占め、売上全体の約40%を支えています。天猫国際で成功を収めるには「90後」を意識した商品開発やマーケティングが求められます。

中国向け越境ECなら天猫国際

国内需要が伸び悩んでいる日本企業にとって中国のEC市場は非常に魅力的です。また高品質で安全な日本製品は、中国人ユーザーから絶大な支持を集めているため、売上アップが見込めます。


中国本土に現地法人がなくても出店できる天猫国際は、これから中国向け越境ECに参入する企業にとっては格好のプラットフォームとなるでしょう。

今回ご紹介した内容を参考にして頂き、中国向け越境ECに進出してみてはいかがでしょうか。




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