キーコーヒーが顧客の囲い込みやリピート促進施策でファン化を実現
〜ECを軸に「予約管理」「CRM」等と連携しビジネスの幅を広げた戦略とは〜
〜ECを軸に「予約管理」「CRM」等と連携しビジネスの幅を広げた戦略とは〜
1920(大正9)年の創業以来100年以上、キーコーヒー株式会社は一貫して「品質第一主義」を掲げ、味わいや品質にこだわったコーヒーをお客様に提供しています。
業務用のみならず家庭用の商品も販売しており、ブランドや商品の拡充を進め、広くキーコーヒーのおいしさを知ってもらう活動をしています。皆さんも喫茶店などで、「おいしさのカギ」の意味を持つ、青いロゴマークを目にしたことがあるのではないでしょうか。
そんなキーコーヒー株式会社は2022年10月に直営ECサイトをリニューアルし、予約管理やポイント・クーポン施策などを可能にしました。今回はリニューアルに至った背景や目的、意識された点や今後についてなど、キーコーヒー株式会社 マーケティング本部 市場戦略部 カスタマーリレーションチームリーダー 兼 コーヒー教室 室長 阿部 祐美子 氏とマーケティング本部 市場戦略部 カスタマーリレーションチーム 係長 前田 智紗 氏にお話しいただきました。
左から
キーコーヒー株式会社阿部 祐美子 氏
キーコーヒー株式会社 前田 智紗 氏
1920(大正9)年の創業以来100年以上、キーコーヒー株式会社は一貫して「品質第一主義」を掲げ、味わいや品質にこだわったコーヒーをお客様に提供しています。
業務用のみならず家庭用の商品も販売しており、ブランドや商品の拡充を進め、広くキーコーヒーのおいしさを知ってもらう活動をしています。皆さんも喫茶店などで、「おいしさのカギ」の意味を持つ、青いロゴマークを目にしたことがあるのではないでしょうか。
そんなキーコーヒー株式会社は2022年10月に直営ECサイトをリニューアルし、予約管理やポイント・クーポン施策などを可能にしました。今回はリニューアルに至った背景や目的、意識された点や今後についてなど、キーコーヒー株式会社 阿部 祐美子 氏と前田 智紗 氏にお話しいただきました。
キーコーヒー株式会社 基本情報
<社名>
キーコーヒー株式会社
<創業>
1920年8月24日
<事業内容>
海外におけるコーヒー農園事業から、コーヒーの製造、販売、ならびにコーヒー関連事業経営など
<資本金>
46億2,800万円
<所在地>
本社:東京都港区西新橋2-34-4
ファン化施策と強固なセキュリティの実現
ECサイトをリニューアルするに至った背景や課題について教えてください。
キーコーヒー公式オンラインショップ画面
前田氏:リニューアルの背景としては、当時コロナ禍ということもありEC事業に力を入れていくことが会社の方針としてありました。ECを強化するにあたり、当時直営ECサイトで使用していたシステムには課題がありました。
一つは機能面で、当時使用していたECシステムがオープンソースであったため、機能追加は可能であったものの、弊社が実現したい顧客の囲い込みやリピート促進のための「会員ランク」「ポイント」などの機能がありませんでした。
またセキュリティ面においても、当時使用していたものと同じシステムで個人情報漏洩が問題になっていたことが気がかりでした。システムが古いので新たに保守を依頼できる会社も少なく、リスクに対する不安があったため、システム見直しの必要性を感じ始めました。
ecbeingを選んでいただいた理由について教えてください。
前田氏:新たなシステムを検討する際に、前提として今までのシステムを踏襲できるかどうかに着目していました。その中で費用を抑えつつ、今まで以上のことができるシステムとしてecbeingさんを選ばせていただきました。
もちろん、ecbeingさんのECに特化した強固なセキュリティ面もシステム選定する上での安心材料の一つでした。
また、正式にご提案依頼をする前にも関わらずご相談に乗っていただくなど、サポート面で親身な対応をしてくださったことも決め手になりました。
構築時には、開発・デザイン・マーケティングで分断せずチームとして情報共有して対応していただいたので、スムーズに進めることができました。
ファン化のための会員制度と買い物の楽しさを提供するデザイン
会員ランク・会員制度を設け、ポイントやクーポン施策を行っていますが、具体的な施策内容や戦略について教えてください。
前田氏:顧客の囲い込み、リピート化を目的として「ロイヤルティプログラム」を導入しています。年間の購入金額によって会員ランクが決まり、ランクに応じたクーポン配布やシークレットセールなどを実施しています。初めてご利用いただいたお客様に2回目以降の購入も後押しができるような施策を今後も考えていきます。
また、illy(イリー)カプセル型エスプレッソマシンのご愛用者様用の「illy倶楽部会員」など、会員ランクとは別軸の会員制度もあります。そこでは、限定のグッズがついた商品の販売や、そのブランドが好きな人へ向けたコンテンツの配信などをおこなっています。このように特定の会員グループの方だけが見ることのできるページを作ることで、顧客の囲い込み、さらなるファン化を図っています。
UIUXを含むデザイン面で工夫された点について教えてください。
阿部氏:過去運用していたECサイト「通販倶楽部」はデザインが古く、導線も分かりづらいことが課題でした。検索性もなく、使い勝手が悪かったです。また、「通販倶楽部」という名前も含めサイト全体でキーコーヒーらしさがなかったので、リニューアルでは視覚的にも名前的にもキーコーヒーの直営サイトであることを伝えるように意識しました。
前田氏:旧サイトである「通販俱楽部」は商品カタログのようにただ商品が並んでいるだけで、買いたい商品を買ったら終わり、という使い方をされていました。
しかし、直営サイトとして、買い回りをするなど、もっと買い物を楽しんでもらいたいという思いがあったため、今回は回遊性のあるサイトを目指しました。
豊富な検索軸
阿部氏:「コーヒー好きの人に集まってもらう」ことを目指し、新たな切り口のコンテンツも増やしました。検索軸ではカテゴリーだけでなく、「価格帯」「飲むシーン」などからイメージに合った商品を探せる導線を設け、検索性の向上を図る工夫をしました。
また、初めての方へ向けてコーヒー診断を設けたり、おすすめのコーヒーをチャート式で表示させたりするなど、お客様と商品の新たな出会いを創出する仕掛けもあります。
ECを軸とした周辺機能の連携でビジネスの幅を拡大
コーヒーについて知識と技術を学ぶ有料教室「コーヒーセミナー」で予約管理システム「RESOMO(リソモ)」を導入した背景と目的、戦略について教えてください。
阿部氏:当時、コーヒーセミナーは独立しており、申し込みに関しても外部の予約システムを利用して管理をしていました。そのため、コーポレートサイトやECサイトとの横の連携もなく、大々的な集客もおこなえていませんでした。
また、コーヒーセミナーで利用していた以前の予約システムでは予約画面から別のドメインに遷移するため、遷移後の動きの把握・分析ができず、使いにくさを感じていました。
そのような中、コロナ禍になり、対面で行うリアルセミナーは開催を自粛し、オンラインで行うライブセミナーやセミナー動画の販売を開始したものの、良い結果が出ていませんでした。
これを改善するため、アイディアとして「会員数の多い公式オンラインショップの中にセミナーページを引っ越し、予約や決済を同サイト内で実施可能か」をecbeingさんにご相談させていただいた流れで、「RESOMO」を提案していただき導入しました。「RESOMO」はecbeingさんのマイクロサービスの一つですのでドメインを跨ぐ遷移もなく、操作性にも優れています。
また、今まで独立していたコーヒーセミナーがECサイトと横の連携ができ、会員情報も共通になったため、セミナー会員に商品を勧めることや、商品購入者にセミナーを周知するなど相乗効果を生める環境を実現しました。
そこから発展し、セミナー動画付きの商品を販売するという、今までになかった発想も生まれ、実際におこなったところ、想像以上に反応も良く売上も増加しました。
コーヒーセミナー予約ページ
RESOMO(リソモ)とは…
イベントや来店予約、店舗受け取り、オンライン接客など顧客体験のDX化を実現できる予約管理システム。
「LINEミニアプリ」をご導入頂いていますが、具体的にどのような使い方をしているか教えてください。
前田氏:現在、弊社には豆を挽き売りで販売する直営店が百貨店内などにあり、かなりロイヤルティの高いお客様が多くいらっしゃいます。
その方々を囲い込み、リピートを促進する施策として、紙のスタンプカードを長年利用していましたが、そのポイントをデジタル化し、ECサイトやセミナーで使用しているポイントと共通化する目的でLINEミニアプリを導入しました。
LINEミニアプリの導入により、ECサイトと店舗でポイントだけでなく会員制度も共通化することができ、ECサイトの利用・セミナーの受講・店舗の利用全ての合計利用金額で会員ランクが決まるようになりました。1人1人のお客様により広い選択肢で弊社のサービスを利用してもらえるようになると良いと考えています。
LINEデジタル会員証
LINEミニアプリとは…
会員証表示やLINEアカウントに紐づいたユーザーデータの取得などが可能。
LINE株式会社の「LINEミニアプリ」をEC事業者向けにカスタマイズ。
Instagram連携ツールの「visumo(ビジュモ)」とレビュー最適化ツールの「ReviCo(レビコ)」もご利用いただいているかと思いますが、それぞれの導入経緯や活用状況について教えてください。
前田氏:商品の使用感などは企業発信の説明的な文章よりも、実際に使用した方のリアルな感想の方が信頼性もあり、自分に合っているかどうかの判断もしやすいと思います。「visumo」はそれを視覚的に打ち出すことができます。実際にECサイトやコーポレートサイトで使ったところ、回遊率は向上し、visumo経由のECサイトのコンバージョン率は通常時の約3.5倍になっています。
公式オンラインショップ(visumo)
阿部氏:コーヒーセミナーのページには元々「お客様の声」というレビューコーナーがありましたが、すべてvisumoに差し替えました。今後も、セミナーを受講した方の声や写真を集め、visumoで視覚的に見せるようにしていくつもりです。
またリニューアル以前のECにはレビューがありませんでしたが、もはやECサイトにレビューはあって当たり前になってきたと感じています。そのため「ReviCo」も必要不可欠なものとして導入しました。
visumo(ビジュモ)とは…
Instagram・Twitterのユーザー投稿、スタッフによるコーディネート例や接客コメント、LIVE配信動画やIGTV、Youtubeなどの動画などをECサイトに埋め込み、コンテンツを充実させることができるビジュアルマーケティングプラットフォーム。
visumoについて詳しくはこちら >
ReviCo(レビコ)とは…
良質なレビューをカンタン収集し、運用負荷なくEC購入率大幅アップできる“自走する”レビューマーケティングプラットフォーム。
ReviCoについて詳しくはこちら >
複数のマイクロサービスをご導入頂いていますが、ECを軸に循環するような体制・戦略を構築するに至った経緯と状況を教えてください。
阿部氏:LTVを最大化するという使命のもと、キーコーヒーのファンを増やす方針で、ユーザーが横断的に弊社のサービスを使えるようにしていくために、複数のマイクロサービスを導入しました。ECサイトを土台に予約やユーザーレビューなど、全てがキーコーヒーのファンを作るための機能として使えるなと思い、現在も活用しています。
前田氏:ECプラットフォームだけが整っている状態で満足するのではなく、流入設計からファンになってもらうまでの一連の仕組み作りが重要だと考えます。
ecbeingさんのマイクロサービスを使うと、顧客接点全体の連携・循環によって利用してもらえるサービスの幅を広げることが可能になると思います。
ビジネスの幅を拡大するECを軸とした戦略
ECサイトリニューアルによって得られた効果について教えてください。
前田氏:実現したかったポイントや会員ランクなどの機能が導入できたので、販促の幅が広がり、サイト自体が活性化しているように感じています。
リニューアルによってページの滞在時間も増え、直帰率も改善してきています。
また、決済機能ではAmazon Payを導入することで、多くの新規の方にもご利用していただいていることが確認できており、利便性も高まったと感じています。
visumoやReviCoに関しては、サイトの回遊率の向上やコンバージョン率の上昇など、期待以上の効果が出ています。
今後取り組んでいかれたい構想や展望について教えてください。
前田氏:ECサイトを中心にオウンドメディアの最適化をしていきたいと考えています。弊社ではECサイト以外にも複数のサイトをもっており、ドメインは統合してデータの活用はできるようになっていますが、ユーザーからするとまだ情報を取りづらい状態だと思っています。よりユーザー目線で使いやすいように改善していくことを目標にしています。
ありがとうございます。最後にECの構築・リニューアルを検討している企業に対してアドバイスがあればお願いします。
阿部氏:EC構築だけでなく、流入からファン化までを一連の流れで考えていくことがポイントになると思います。
そういった面で、ecbeingさんではECサイトを作って終わりではなく、売り上げにつなげる施策やブランド価値を上げる施策など、運用フェーズでのブラッシュアップも一緒にやっていただけるのでおすすめです。
――
キーコーヒー株式会社
阿部 祐美子 氏
キーコーヒー株式会社
前田 智紗 氏
「キーコーヒー公式オンラインショップ」はこちら
●取材・文:岡田 美生