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【22年下期最新版】食品ECサイトを成功に導くポイントを解説!
抱える課題や成功事例も併せてご紹介

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更新日:   公開日:

近年、EC市場が盛り上がりを見せている中、食品業界におけるECの浸透率にはまだまだ課題があります。
今回は2022年最新の食品EC市場状況から課題・メリット・事例をご紹介します。

近年、EC市場が盛り上がりを見せている中、食品業界におけるECの浸透率にはまだまだ課題があります。
今回は2022年最新の食品EC市場状況から課題・メリット・事例をご紹介します。


食品ECの主な販売方法

食品ECは、主に下記のような販売方法で展開されています。

小売り・DotC 食品ECサイト
小売店やメーカーといった事業者が一般消費者をターゲットに、自社ECサイトを構築して販売を行う、楽天やAmazonなどのモールに出店する形態です。近年では、小売店を介さずにメーカーから消費者に直接商品を販売するDtoC(Direct to Consumer)と呼ばれる形態のECを運営する事業者も増えています。

DtoC ECサイトの運営方法について詳しくはこちら
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ネットスーパー
インターネットで注文を受けて、配送先に近いスーパーマーケットから配達する販売形態です。イオンやイトーヨーカドー、西友といったスーパーマーケット業界大手各社が既に運営しています。
ネットスーパーは最短当日に商品を受け取れるというメリットがありますが、店舗在庫が軸となるため対応できないエリアも存在することが欠点です。

サブスクリプションサービス
動画・音楽配信などで導入されることが多いサブスクリプションサービスを、食品ECに導入する方法です。ユーザーは定額の代金を支払うことで、申し込んだコースに合わせて定期的に商品を受け取ることができるようになります。
ヤッホーブルーイング様やダイドードリンコ様、理研ビタミン様、マルコメ様など、ecbeingで構築した食品ECサイトでもサブスクリプションを展開している企業様が多くいらっしゃいます。

サブスクリプションについて詳しくはこちら
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ヤッホーブルーイング様の事例について詳しくはこちら
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ダイドードリンコ様の事例について詳しくはこちら
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理研ビタミン様の事例について詳しくはこちら
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マルコメ様の事例について詳しくはこちら
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食品ECの市場規模とEC化率の今

経済産業省が発表している「電子商取引に関する市場調査 報告書」によると、飲料、酒類を含めた食品ECの全ての取引におけるECの割合を示すEC化率は、2021年時点で3.77%となっております。物販系分野のBtoC EC全体と同じく年々規模ならびにEC化率が拡大していますが、物販系BtoC全体の平均EC化率が8.78%ですので他の分野と比較するとEC化率が非常に低い状態です。

物販系分野のBtoC-EC市場規模

分類 2020年 2021年
市場規模
(億円)
EC化率
(%)
市場規模
(億円)※下段:昨年比
EC化率
(%)
食品、飲料、酒類 22,086
(21.13%)
3.31% 25,199
(14.10%)
3.77%
生活家電、AV機器、PC・周辺機器等 23,489
(28.79%)
37.45% 24,584
(4.66%)
38.13%
書籍、映像・音楽ソフト 16,238
(24.77%)
42.97% 17,518
(7.88%)
46.20%
化粧品、医薬品 7,787
(17.79%)
6.72% 8,552
(9.82%)
7.52%
生活雑貨、家具、インテリア 21,322
(22.35%)
26.03% 22,752
(6.71%)
28.25%
衣類・服装雑貨等 22,203
(16.25%)
19.44% 24,279
(9.35%)
21.15%
自動車、自動二輪車、パーツ等 2,784
(16.17%)
3.23% 3,016
(8.33%)
3.86%
その他 6,423
(16.95%)
1.85% 6,964
(8.42%)
1.96%
合計 122,333
(21.71%)
8.08% 132,865
(8.61%)
8.78%

【引用:経済産業省 令和3年度 電子商取引に関する市場調査 報告書】

このように食品ECのEC化率が伸び悩んでいる理由としては、下記のような課題を抱えているからだと考えられます。
・生鮮食品などの商材とECサイトがマッチしない
・利益とコストがマッチしない
・実店舗の利便性を越えられない
これらの食品ECが抱える課題に関しては、次のチャプターで詳しく見ていきます。

食品ECのEC化率は伸び悩んでいますが、食品関係の2021年の市場規模を見てみると2兆5,199億円を記録しており、他と比較しても規模の大きい分野となっています。また前年からの比較に関しても、全ての分野の中で最も大きい14.10%の成長を見せていることから、食品ECは大きなポテンシャルを秘めたビジネスと言ってもいいでしょう。

食品ECサイトにおける課題

ここでは、前述の食品ECのEC化率が伸びない要因として考えられる3つの課題について、詳しく見ていきます。

生鮮食品などの商材とECサイトがマッチしない

野菜や魚・肉といった生鮮食品は、実際に手に取って鮮度や産地などを確かめるという方は多いのではないでしょうか。ECサイトでは産地を知ることはできますが、鮮度を確認することは難しいため生鮮食品は百貨店やスーパー、コンビニなど実店舗で購入するユーザーが多いことからECとの相性が良いとは言えません。

また、生鮮食品を宅配等でユーザーに届ける場合、購入の決め手となる鮮度を保つためにスピード感のある配送に加え、常温だけではなく冷蔵・冷凍といったように温度帯の設定もしなければなりません。
このように鮮度を保ちながら配送エリアを広げるためには、基盤となる食品に特化した独自の物流拠点とルートが必要です。

利益とコストがマッチしない

食品ECは商材の特質上、在庫や受注の管理、ピッキング指示といったEC運営で発生する業務が他の商材と比較すると難しいです。
全ての食品には賞味期限・消費期限が指定されているので、そこを踏まえた在庫管理をしなければなりません。また、生鮮食品に関しては、天候不良などによる野菜の不作や魚介類の不漁等で満足に商品入荷ができない場合もあります。その際は変動に合わせた価格調整対応だけではなく、入荷数が不透明になるため予約を受け付けられないこともあるという点で受注管理に影響を及ぼす可能性もあります。

加えて商品のピッキング指示に関しては、ネットスーパーを中心に生鮮食品は実店舗の売り場にあるものを指示して配送するということが多いです。例えば、ユーザーから「曲がっていないキュウリが欲しい」といった要望があれば、ピッキング時にリクエストに見合った品物を選定するという業務工数がかかってきます。そして配送方法に関しても温度帯を指定する必要もあるうえ、条件を満たした場合は無料配送を行う事業者も多いので、配送に関するコストも多くなります。

このようにコストがかさむ一方で、高級品を取り扱っているなどの事情がない限りは、食品は他の商材と比較すると客単価が低い傾向にあります。こうしたことから食品ECは、売上から得られる利益と、運用・配送コストがマッチしないという状況に陥ってしまいます。

実店舗の利便性を越えられない

ECサイトのメリットは、いつ・どこにいても購入ができることです。ただ、食品を取り扱うスーパーやコンビニは店舗数も多く、立地的にも駅前などにあることから手軽に購入ができます。また、鮮度や状態を自分の目で確認し購入できるので、注文から商品が到着するまで時間のかかる食品ECサイトは他の商材以上に実店舗の利便性を越えることが難しいです。

食品ECサイトを構築することで事業者が得られるメリット

ここまで食品業界とECサイトの相性の悪さを説明してきましたが、そんな状況で食品ECが注目を浴びている理由とECだからこそのメリットを事業者とユーザー両方の目線で説明します。

商圏・販路を大幅に広げられる

ECサイトは前述の通り、ユーザーはいつ・どこにいても商品を注文できるという強みがあります。地元の顧客をターゲットにしていた事業者も、ECの強みを活かすことによりこれまでリーチさせることができなかった全国のインターネットユーザーにアプローチができるようになるため、商圏を広げることが可能です。

販売時間の制限がないため受注機会を増やせる

繰り返しになりますが、ECサイトでは24時間365日いつでも注文受付が可能です。コンビニやスーパーといった24時間営業の店舗以外でも、ユーザーが欲しいと思った時にすぐに注文ができるようになるため、受注機会の増加に繋げることができます。

ユーザーに商品の魅力をダイレクトに届けられる

実店舗では売り場が限られていることもあり、一つひとつの商品情報を発信することが環境的に難しいです。一方ECサイトでは、商品ごとに詳細ページを用意することができるので、商品概要だけではなくストーリーなどを交えながら商品固有の魅力をユーザーにダイレクトに届けることができます。

ユーザーが得られるメリット

日常生活が便利になる

ECサイトを利用することで実店舗に足を運ぶ手間を削減できるため、悪天候や交通渋滞などによるストレスを受けることなく買い物をすることも可能です。
またどこからでも注文が可能となり、冷蔵庫の中身を確認しながら足りないものを注文できるので買い忘れなどもなく、万が一買い忘れがあったとしてもすぐに追加注文ができます。

食品ECが他の商材と異なる点は、オンライン・オフライン関係なく購入しなければならない生きるために必要な商品を取り扱っていることです。こうした商材を高齢者や主婦が実店舗に毎日買いに行くことは、ルーティーンとはいえ負担になります。ECであれば、サイト上で注文さえすれば、自宅まで商品を届けてもらえるという点でとても魅力的なサービスです。

在庫切れが起きない

近所に小規模なスーパーしかなく、欲しい商品が売り切れていて購入できなかった経験を持つ方も多いのではないでしょうか?また、台風の接近などによる非常時には、生活必需品や飲料水、インスタント食品などの買いだめが起きて多くの店舗でも欠品が発生することもあります。
インターネットを使える環境さえあれば複数のECサイトから在庫のある店舗を探して、いち早く自宅に届くサイトに注文をかけられます。ですので、基本的には在庫切れが起きず商品を購入することができます。

遠方からの取り寄せができる

在住エリア以外の特産品は実店舗では購入する場合、現地に足を運ぶ以外では物産展が開催される、地元にアンテナショップがあるといった状況でなければ入手が困難です。
旅行先で食べた品や、TV等のメディアで見て欲しくなった遠出しなければ買えない品物も、ECサイトを利用することで簡単に取り寄せることができるという点は、ユーザーにとって大きなメリットになります。

食品ECを成功させるために必要なポイント

利便性の高いサイトを構築する

ECサイトで商品を購入してもらうためにはスムーズな購入導線の設計や、SNSなどの外部サービスのアカウントで簡単に会員登録やログインができる「ソーシャルログイン」の導入など、ユーザーにとって利便性の高いサイトを構築することが必要です。実店舗の利便性とは大きく開きのある食品ECは特にこの部分が求められます。

ここに関しては、オープン後も「どこで離脱していることが多いのか」など、分析と対策を行いながら常にユーザーが使いやすいサイトを追求するようにしましょう。

コンバージョン率を高める施策について詳しくはこちら
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ソーシャルログインについて詳しくはこちら
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顧客のリピート率を高める

再度購入しに来てもらうユーザーのリピーター化に注力することが大切です。 単純に都度購入に来る顧客、いわゆるファンを作るだけではなく、定期購入やサブスクリプションサービスを導入することで安定した売り上げに繋げることも一つの方法です。 その他でリピート率を高める施策としては、メルマガの定期配信、次回使用できるクーポンの配布、キャンペーン実施、会員特典など、顧客との接点を持つことや顧客のロイヤリティを高めるといったことがあります。

EC独自の販売施策を行う

遠方からの取り寄せができるというEC強みを活かして各地の地場産品などEC限定の商品を取り扱う、季節に合わせたキャンペーンの実施、ECサイトだけで使えるクーポンの配布を行うなど独自の販売施策を行うことで、サイトへの集客や購入の促進を図るようにしましょう。

また、事業者が特定の食材を組み合わせた割引価格でのセット販売や、ユーザーが商品を組み合わせることで購入時に割り引かれる「よりどり割」、まとめ買いをすることで割引価格が適用される「バンドル販売」などEC限定の割引を行い、実店舗との差別化を図ることも一つの手です。

SNS活用などのマーケティング施策を行う

実店舗でもTVCMやチラシといった広告を打つなどマーケティング施策を行うことで集客できるのと同様に、ECサイトの集客にもマーケティング施策が必要です。主な施策としては、商品情報の発信やプロモーションなどをSNSで行うなどユーザーとのタッチポイントを作る方法があります。

その他にも、ビジュアル面で訴求する場合はユーザーがSNS上に投稿しUGC(User Generated Contents)コンテンツを活用したり、実際に商品を購入したユーザーの生の声をユーザーレビューとして集めてECサイト上に見やすく掲載するといったような施策を行う事業者も増えています。

こうしたマーケティング施策を行いながら、新規顧客の獲得を目指していきましょう。

物流管理システムやアウトソーシングサービスを駆使する

ECサイトにとってサイトオープンはゴールではなく、オープンをスタートと捉えながら売上を創出しなければ構築の意味がないと言ってもいいでしょう。オープン後はここまで紹介してきた施策の対応だけではなく、注文受付や配送など様々な業務が発生します。

実店舗の数が多い場合はピッキング作業などの配送業務が煩雑になる、受ける注文が増えてきたら担当者の数によっては対応しきれない状況に陥る可能性もあります。

こうした事態を避けるためにも御社の社内体制等の状況に応じて、物流管理システムを利用して配送業務の効率化を図る、受注対応やカスタマーサポートなどの業務を外部にアウトソーシングするなどの対策を検討するようにしてください。

食品ECオープンまでの手順と必要な許可

食品販売では保健所による営業許可が必要な場合もあるため、食品ECサイトをオープンさせるにはアパレルなどのその他の物販系ECサイトとは違う手順で進めなければならない点がいくつかあります。
ここではECサイトオープンに向けた手順や、運営を行うために必要な許可について見ていきましょう。

食品ECオープンまでの手順

@保健所への事前相談
営業を行える施設基準に合致しているのかを事前に確認するために、施設の図面を準備した上で保健所の食品衛生担当に相談します。

A営業許可の申請
必要な書類を保健所に提出します。

B施設の確認検査の実施
営業を行う施設が申請内容通りであるのか、適切な設備であるのかなどを保健所の担当者が確認します。

C営業許可の交付とサイト構築
保健所で営業許可書の交付を受け正式に食品ECを運営できる状態になった後、サイトの構築をスタートさせます。

Dサイトオープン
食品を取り扱うECサイトをオープン後は、施設を基準通りに管理できているのかを点検したり、衛生的に食品を販売したりするようにしましょう。

これらの手順は都道府県によって異なる場合がありますので、管轄の保健所に事前に確認するようにしてください。

ECサイトの構築に必要な準備に関して詳しくはこちら
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必要な許可

食品ECなどで食品を取り扱うにあたっては、食中毒や食品衛生法の違反を防ぐために「食品衛生責任者」を店舗・施設に1名は配置しなければなりません。
この役割を担うためには、栄養士や調理師などの資格を持っているか、保健所が実施する講習会を受講して資格を取得する必要があります。

その他にも商材によっては下記のように、独自の許可を得て初めて販売が可能となるケースもあります。

■酒
ECサイト上で酒類の販売を行う際は、「通信販売酒類小売業免許」という実店舗での販売に必要な「一般酒類小売業販売免許」とは異なる免許が必要です。また、この免許で販売できるお酒の種類には制限があります。
もし、無免許での販売を行った場合は懲罰が課せられることや、その他不正な販売を行って免許を取り消されることもありますので、注意しましょう。

■肉関係
牛・豚・鶏といった生肉を販売する際は「食肉販売業許可」を得ることが食品衛生法で定められています。また、ハムやベーコン、ウインナーといった加工済みの「食肉製品」は都道府県の条例によって販売許可が必要な場合もありますので、管轄の保健所に確認するようにしてください。

■魚介関係
生肉と同様に、生魚の販売も「魚介類販売許可」を得ることが義務付けられています。かまぼこなどの魚肉を使ったねり製品などの「魚介類加工品」は、条例によって許可が求められることもありますので、食肉製品と同じく管轄の保健所に確認を取るようにしましょう。

EC構築パッケージecbeingの食品EC成功事例

これまで1,500以上のECサイトを構築してきたecbeingには数多くの成功事例があり、その中には食品ECの事例も存在します。今回は食品ECの成功事例の中から、特に参考にしていただきたい3つの事例をピックアップしてみました。

株式会社ヤッホーブルーイング

「よなよなエール」などクラフトビールを販売するヤッホーブルーイング様は、従来利用してきたASPカートではできることが限られていたことからecbeingでECサイトのリニューアルを実施し、商品の魅力を発信する独自のコンテンツや、従来行っていた定期購入の強化などを図りました。 リニューアル以前より定期購入をしていた会員の内、98%がリニューアル後も定期会員を継続させることに成功しています。

株式会社ロック・フィールド

惣菜の販売を行う「RF1」などを展開しているロック・フィールド様は、店舗とECの会員情報の統合ならびに、それまで別々になっていたECサイトと実店舗での取り置きができる予約サイトを一つにした新サイトをecbeingで構築しました。
新サイトオープン後は、前年の同時期と比較すると注文数が2.4倍、売上が約3倍にアップするなど右肩上がりの成長を記録しました。

マルコメ株式会社

味噌や糀食品の製造販売などを行っているマルコメ様は、一般消費者向けのBtoC ECサイトのリニューアルを実施して5%だったEC化率を25%に向上させたほか、社内の運用面に関しても業務効率化を実現しています。
またBtoCサイト内で業務用の商品に関しては、別途BtoB向けECサイトを新規オープンさせ、そこで取り扱うようになりました。

まとめ

商材との相性や実店舗との利便性を越えられないといった課題を抱えていることもあり、食品ECは他の商材と比較して浸透しているわけではありません。しかし、事業者にとっては販路や受注機会の拡大、ユーザーにとっても日常生活が便利になるといったようなメリットが多くあります。
こうしたメリットを前面に出すことに加えて、独自の施策を行ったりユーザーが使いやすいサイトを構築したりすることで課題を乗り越えながら成功に導くことができますので、現在食品ECサイトの新規構築やリニューアルを検討している皆様は、今回紹介したポイントや成功事例などを含めて検討を進めてみてはいかがでしょうか?




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